ミッシェル・ゴークラン(Michel Gauquelin)

astrologer, psycholgist, suicide, VI: 3.

11/13/1928 10:15PM UT, 48N52 2E20

ミッシェル・ゴークランは占星術史の中では有名であり、統計的手法によって、占星術が間違いであることを証明しようとして、結果として占星術が正しいことを認めざるを得なくなったというユニークな経歴の持ち主である。この彼の立場の変遷は、彼が少なくとも誠実な人間であり、科学的手法を信じる一人の研究者であったことを示している。

彼の代表的な研究−火星効果(Mars Effect)−などは基礎研究に値する重要な研究であり、西洋科学的な立場の中では科学的方法論や研究手法の教科書的研究であるかのごとく、占星学史ばかりでなく、科学の本にも取り上げられるくらいである。

然し、インド占星術を研究する人間にとっては占星術が再現性があり、究めて厳密な科学であることは自明の理であり、既にそれを使って日々実践に取り組んでいるのであり、ゴークランの研究は全く当たり前の事実を今更証明しようとする作業に見えるのである。

これは全く西洋の文化と東洋の文化の違いを浮き彫りにする実例である。

西洋科学はデカルトに始まり、彼が物心二元論を唱え、自然と神を切り離し、自然を単なる物質として、研究し始めたところから始まったのであり、その時点で錬金術的な精神論−つまり、実験者が実験をする前に身を清めたりする行為に表されるような−を失ったのである。それは科学からの神秘主義の追放であった。そして、直感を排除し、出来るだけ自然の客観的な観測とそれの数量化などの科学的方法論を確立したのである。この過程で科学的方法論に権威が与えられ、この手法を使わない研究はたとえ、リアリティであるかもしれなくても無視されたり、嘲笑される風潮にある。

東洋では科学的方法論は発達しなかったが霊的探求をする聖者の系譜や精神文化など霊的遺産があり、その古典の研究や聖者からのインスピレーションによって、西洋文化が科学的方法論でやり始めた研究に比べて問題にならないほど膨大な知の遺産があり、まだそれが解明されていないものがたくさんあるのである。

そもそもジョーティシュとは古の聖者が深い瞑想の中で神からインスピレーションを受けて書き記された知識であり、現在のインド占星術研究者はそれを尊重し、研究とはそうして書き記された古典を研究することである。

であるので、ミシェル・ゴークランの研究は西洋文化では評価されており、彼の名前はどの教科書にも載るくらい有名ではあるが、彼は西洋文化の中で、全く聖者や古典の力を借りずに一から出発しなければならなかったのであり、そういった意味では彼はあまり恵まれた環境であったとは言えない。

ラオ先生も彼のことを自著の中で、彼はあまりにもスキル不足で、占星術によって真理を発見する訓練を十分に受けていたかどうか自問自答するべきだったというようなことを述べている。

つまり、真理を発見する訓練とは古の聖者によって伝承された知識や技法の数々の習得であり、そうすることによって最短で占星術によって真理を発見するテクニックを身につけられるのであるが、彼はそうした環境にはなかったといえる。

そもそも西洋文化における西洋占星術の歴史は不幸な歴史であり、キリスト教文化の影響もあって、輪廻転生が教会の教義から取り除かれ、また春分点の歳差運動を発見したときにトロピカル方式を採用したために現在ではハウスシステムも機能しなくなるというように思想的にも技法的にも貧困化した西洋占星術での研究であったため、環境的に恵まれていなかったといえる。

彼は9室支配の木星が10室のケンドラに在住して、友好星座の牡羊座からムーラトリコーナの6室射手座にアスペクトしており、木星の配置は非常に良いと言える。

10室の木星は成功する占星術師を表し、高い地位や評価の対象となることを表している。実際、彼はその統計的研究が第一級の研究として、今でもその業績は高く評価され、占星術のテキストには頻繁に掲載され、占星術ばかりでなく、科学的方法論の本や科学史の本でも取り上げられるのであり、10室の木星は偉大な仕事をなし、有名になることを示している。そして、木星は4室の水星にアスペクトしており、占星術のカラカとの絡みを生み出している。水星は月から12室目であり、本来、占星術を修めたい強い欲求を生み出す配置をしている。また4室ケンドラで強い状態にあり、木星と相互アスペクトしている。

また木星はナヴァムシャでは3、12室を支配し、7室で高揚し、ラグナに在住する9室支配の水星と相互アスペクトしている。木星はナヴァムシャにおいても高揚しており、占星術のカラカである木星は非常に強いと言える。

チャートを見ていくとラグナが蟹座アーシュレーシャであり、ラグナロードの月が5室蠍座で減衰し、7、8室支配の土星とコンジャンクトし、またケートゥともコンジャンクトして傷ついている。逆行の火星が月にアスペクトしており、かなり月が傷ついている。また5室支配の火星は12室に在住しており、月のディスポジターの状態も良くないようである。また月はヴァルゴッタマであり、減衰する惑星のヴァルゴッタマはその減衰の悪影響を増すのであり、非常に月が傷ついていると言える。

また4室支配の金星が6室に在住し、火星からのアスペクトを受けており、6室支配の木星からのアスペクト、3、12室支配の水星が4室に在住し、4室(母親、心の安定)が、かなり傷ついていることが分かる。ナヴァムシャにおいても4室に土星と火星がアスペクトし、両親を表わす2室に土星と火星が在住し、また土星は減衰する月に10室目のアスペクトをしている。

彼の詳しい経歴はよく分からないが、出生データにsuicide(自殺)と書かれており、これが間違いでなければおそらく彼は自殺したのである。蠍座での月の状態を考えると非常に月は傷ついており、蠍座での土星や火星との絡みは通常自殺につながる配置である。

もしインド占星術師であれば自分が自殺をするのであれば何故、自分が今自殺をするのか占星術的に完全に理解していなければならないが、ゴークランの場合はどうだっただろうか。

 

 

(資料)

Michel Gauquelin, astrologer, psycholgist, suicide, VI: 3. 11/13/1928 10:15PM UT, 48N52 2E20 ゴークラン (Michel Gauquelin,1928-1991) フランスの占星術師。 1928年 ミシェル・ゴークリン (仏:心理学者,占星学者) Michel Gauquelin 火星効果(Mars Effect)  フランスの統計学者ミシェル・ゴークランが出生時の惑星の位置が本人に与える影響の一つとして主張したもので、一流のスポーツ選手には火星が天球上の特定の位置にある者が統計上有意な確度で多いというもの。同様の現象は木星についても主張され、木星効果と呼ばれる。CSICOPの統計学者アービン・ゼレンはポール・カーツやジョージ・アベルとともに1976年から1980年にかけて火星効果を反証しようと試みたが、レイ・ハイマンやエリザベス・スコット、ローリンズらはその手法に問題があることを指摘、ディングウォールやドルッチら多くの会員が脱会する結果となった。いわゆる超常現象に属する事例のなかで未だ反証されていないものの一つである。一部の西洋占星術師たちは火星効果について、西洋占星術が正しいという証明であるような言い方をしているが、ゴークランは同時に他の占星術上の理論をも検証し、それらは統計上まったく意味がないことも証明している。またゴークランが指摘した火星の位置は、伝統的な西洋占星術では軽視されてきたケーデントの位置にある。 参考:H.J.アイゼンク、D.K.B.ナイアス著『占星術』(誠信書房)

英国人アディーは占星学の論理的な研究者として有名です。最初は精神的な研究が優先しましたが、1960年 ころから次第に自然科学的な手段を使用して長年解明することができなかった占星学の仕組みを研究するよ うになりました。1982年の62歳のとき肺炎で急逝しました。アディーの経歴は石川源晃著・調波・占星学 入門・平河出版社刊・16ページを参照してください。英国占星学協会(AA)の機関誌1982年夏号に筆者の アディーへの弔辞が掲載されています。

John M. Addey (1920-1982) is the world wide famous researcher of the system of astrology. Although he has commenced his study in the connotation of spiritual field of research, however, he has aimed his target with the aid of scientific method after 1960s to the basic construction of the art of astrology that has been lurked behind the scene for long. He has past out in 1982 on his age of 62 in the acute pneumonia suffered. For the details of his life, please see CYOUHA・SENSEIGAKU・NYUUMON, by H. M. Gen ISHIKAWA in HIRAWAKA・SYUPPANSYA released. Memorial note to Addey by this author was published in 1982 Summer edition of The Astrological Association (England).

アディーの功績としてはアディー調波が有名です。人々は占い技術にばかり注目をしますが、アディーの 功績はむしろ直接の占い技術でなくて、占星学の基本的な仕組みを解明するという地道な努力にあったの でした。アディーの研究の材料はフランス人ゴークランの約5万人の出生資料でした。ゴークランは 心理学者ですが占星学に疑問を持ち占星学が誤りだという証明をしようと考えヨーロッパ各地の登記所を巡り出生記録を調べました。成人後の職業と成功・不成功が判明している人物約5万人をゴークラン資料 として1955年以降に順次公表しました。アディーはゴークランが公平に収集した資料を使用したのです。 ゴークランは占星学が間違っているということを証明しようとして資料を集めましたが、その後占星学が 正しいことを知って反省の言葉を述べています。

Harmonics in Astrology is the famous title of his work. People are interested in his art of prediction. Instead, the most wonderful contribution of Addey should be the exploration of basic construction of the art of astrology that must be in an honest way of progress that only a few students have devoted the works concealed. Addey analyzed the marvelous birth data of fifty thousand people or more that were compiled by Michel Gauquelin (1928-1991) of France released. Gauquelin was a psychologist and he was in a serious doubt on the reliability of the art of astrology. He was in mind to certify his belief on the unreliability of astrology and has visited the registry offices in Europe to compile the records of birth of person as well as the acceptability of the society either in successful career or not that was achieved. Gauquelin has released his works in sequence after 1955. Addey was lucky enough to use the Gauquelin notes that were described without having any prejudice of fanatic belief on the astrology destined. It was because Gauquelin was in a suspicious on the art of astrology in his works of compilation performed. Gauquelin afterward has changed his mind and he was shameful on his hastiness in his youth that he has once placed a serious doubt on the reliability of astrology lurked.

長い占星学の歴史の中で多くの研究者は占星学を信じている人々ですから、収集する資料も占いが的中したことを宣伝するために占い営業に有利な材料で有名人として宣伝価値の多い資料を集めて研究してきました。 これに対して、ゴークランは占星学を否定しようとして有名でない一般人の資料を集めました。そして、 生まれ時刻が正確に記録されていて、しかも成人後に社会でどのような評価を得た人物であるかを正確に 記録した一般人の資料を5万人以上集めたのですから、偏りがない公平な資料ということができます。

During the long lasting years, the most researchers of astrology have come from the people that believe the art without doubt. Therefore, their examples are selected to make profit for their propaganda campaign of astrology demonstrated. Gauquelin, on the other hand, had intended to deny the function of astrology and has selected data on the people of ordinary life that are enjoying the conventional daily life at the town found. The data of Gauquelin in the number of fifty thousand or more are compiled from the ordinary persons of exact birth moment are registered and their social accessibilities after growth are also studied. Thus, the data will be most fair and unbiased information without any intention of propaganda involved.

血液型が発見されたのは1901年、オーストリアの病理学者であるランドシュタイナーによってABO式血液型分類が行われた。この血液型と気質との関連について、特に兵士の性質を分類しようという動機から研究が進んだ。その後も心理学者のレオン・ブールデルやゴークランらによって、血液型別の性格分析が行われた。これらの研究から、「血液型によって先天的な傾向がわかる」とする血液型占いが生まれた。血液型占いは特に日本において人気のある占いとなった。昭和40年代半ばに能見正比古による「血液型でわかる相性」(青春出版社)が出版されたのをきっかけとして、血液型占いブームが起きた。その他の占いや心理テストとも融合した形で現在でもよくみかける占いの一つである。

(http://www1.odn.ne.jp/~segu/soturon/2.1.htmlより引用)