ディラン・クレボルド(Dylan Klebold) 生年月日:1981年9月11日 出生時間:15:11(GMT) 出生場所:39N44、104W59 経歴:コロンバイン銃乱射事件の犯人 、コロラド州コロンバイン高校3年 |
映画「ボウリング・フォー・コロンバイン」でも取り上げられたコロンバイン高校銃乱射事件。事件が起こった4月20日のダシャーはラーフ−ケートゥ−金星。本人のチャートでは火星が減衰して、ラーフとコンジャンクトしており、対向の山羊座には月がケートゥとコンジャンクションしている。ラグナに在住する土星はムリチュバーギャ度数であり、金星、水星もかなりムリチュバーギャ度数に近いところにいる。アシュタカヴァルガとトランジット、そして、ヴィムショッタリダシャーをあわせると、何故、事件を起こしたかが、見えてくる。
1999年4月20日午前6時、コロラド州の小さな町リトルトンに住む2人の高校生はボウリングに興じていた。12時過ぎ、彼らはショットガン2丁と自動小銃1丁に大量の銃弾、インターネットで製造法を学んだ手製の爆弾を手にコロンバイン高校へ向かい、笑いながら銃を乱射。約1時間後、2人は自らにも銃を向け、自殺した。12人の生徒と教師1人が死亡、23人が重傷。2人の仕掛けた爆弾の処理が済み、警察が安全宣言を出したのは午後4時だった。 ( ウェブより http://www.s-woman.net/column/data/tue/00092.shtml )
<チャートの強さ> ラグナから見ると、火星は3、8室支配の機能的凶星で、最低星位で蟹座に在住し、敵対星座に在住して凶星化したラーフとコンジャンクトしている。月は土星の星座に在住し、富、配偶者、健康、幸福、心の平安などあらゆるものを失うとされるケーマドルマヨーガを形成し、月から見て、ケンドラにはケートゥ、ラーフ、火星と3つの凶星が在住し、10室に金星が在住しているため、ケーマドルマヨーガの影響を和らげると思われるが、金星の天秤座におけるビナシュタカヴァルガポイントは2点と低いため、吉星として働く力は弱いと考えられる。然し、ムーラトリコーナに在住しているため、影響力は大きいと考えられる。ラグナに在住する土星はムリチュバーギャ度数であり、水星もムリチュバーギャ度数に近い度数に入っている。土星は5室を支配しており、これは良いと考えられるが、ムリチュバーギャ度数であることと、6室を支配しているということ、ラグナを傷つけている。木星は4、7室を支配して吉意を失い凶星化しており、敵対星位の乙女座に在住している。水星は1、10室支配でケンドラを2つ支配して、吉意を失っているが、最高星位にあり、これは良いと考えられる。 次に月から見ると、4、11室支配の機能的凶星の火星が7室のマラカに在住し、敵対星位のラーフとコンジャンクション。太陽は8室で定座にあり、9室には、ラグナロードで、マラカの2室を支配する土星と6、9支配の水星、3、12支配の機能的凶星の木星が在住しており、9室に在住していることは良いことであり、救われる要素があるとすればこの辺りと思われるが、そんなに良くもないと言える。金星は5、10室支配でムーラトリコーナであることは良いと言えるが、ムリチュバーギャ度数にあることと、ビナシュタカヴァルガポイントが低いことは同じである。 最後に太陽をラグナとすると、2室のマラカに6、7室支配のマラカの土星が在住し、ムリチュバーギャ度数であり、また2、11室支配するマラカの水星がムリチュバーギャ度数に近いところにある。5、8室支配の木星は吉星と言えるが、マラカと同室し、傷つけられている。金星は3、10室を支配し、機能的凶星化し、3室に在住している。3室の吉星は怠惰な傾向を生むとして良くないとされる。また月は12室を支配し、6室にケートゥと在住している。対向の12室には4、9室を支配する火星(4、9室支配は良いと言える)が、12室で減衰して凶星化し、ラーフとコンジャクトしてさらに傷つき、月と相互アスペクトして月を傷つけている。太陽からはケンドラに吉星はなく、ウパチャヤにも6室にケートゥが在住してはいるが、チャートを保護する条件は非常に少ないと言える。これはラグナと月を1室とした場合も同様である。このように静的なチャートの強さを見る限り非常に傷ついていることが分かる。
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ラシチャートの次にナヴァムシャを見ると、特に悪い配置には思えない。ラグナロードの太陽が4室で3、10支配の機能的凶星の金星とコンジャンクトし、6、7室支配でマラカの土星からアスペクトされており、また、マラカの土星は定座の月と木星にアスペクトしている。また、2室にラーフが在住し、8室にケートゥが在住しており、在住する部屋は悪いが、双子座と魚座でラーフ、ケートゥが吉星化する星座に在住しているので、複雑である。ナヴァムシャだけを見た限り、それ程、チャートが傷ついているようには見えないが、やはり、ラシでムリチュバーギャ度数だった土星は、ナヴァムシャではラグナロードの太陽や月にアスペクトして、ラグナと月を傷つけており、またラーフ、ケートゥ軸がマラカとドゥシュタナに在住していることには問題がある。
次に動的な側面として、トランジットと各惑星のアシュタカヴァルガポイントを見てみたい。図は、事件の起こった1999年4月20日6:00の出生チャートとトランジットの惑星が配置された図である。
まず、トランジットの土星が最低星位である牡羊座の8室を通過中であり、対向の2室にアスペクトしているが、通過中の8室の土星のビナシュタカヴァルガが0ポイントであり、対向の2室は0ポイントであり、さらに土星は5室の月に対して10室目のアスペクトをしている。この5室も土星のビナシュタカヴァルガポイントは2ポイントと低いのである。土星はこの配置だとこれらの部屋で非常に悪影響を及ぼすことが分かる。また2室には火星がトランジットしており、金星にコンジャンクトしているが、火星の2室におけるビナシュタカヴァルガポイントは2ポイントであり、火星も非常に悪影響を及ぼしている。従って、2室の金星は土星、火星のアスペクトを受け、非常に傷ついているのである。また、水星と木星はこの金星からは8室目にトランジットしており、6、8室の関係でラシチャートで吉星として働く要素も多少あったこれらの惑星は金星に対して、守護を与えることができないのである。
また、出生のラーフ-ケートゥ軸に対して、トランジットのラーフ、ケートゥがコンジャンクトしており、ラーフ-ケートゥ軸で表されたことが再現されやすい配置となっている。
このようにして見ていくと、ラーフ-ケートゥ-金星期に事件が起こったということが、少し理解できてくるのである。
ラーフ-ケートゥは出生図ではケーマドルマヨーガの月と重なり、凶星化した火星とともに在住することで、月に大きなダメージを与えている。ナヴァムシャを見ても、ラーフ-ケートゥ軸は2室-8室に入っており、配置的に良くないのである。また、土星はトランジットでアシュタカヴァルガポイントの低い星座を通過し、金星を傷つけているが、ナヴァムシャチャートでも金星とラグナと月にアスペクトし、またラシチャートではムリチュバーギャ度数に在住している。この金星はサルヴァアシュタカヴァルガポイントが19ポイントと象意が破壊された部屋に在住しており、土星と火星がこの部屋に非常に悪影響を与えたことはアシュタカヴァルガポイントを見れば明らかである。
このようにヴィムショッタリダシャーにおけるラーフ-ケートゥ-金星期とトランジットの惑星群は相互に関連しており、矛盾していないのであり、この時に事件が起こったというのは納得がいくのである。
因みにヨーギニダシャーでもこの事件が起こった日は土星-月-金星期であり、やはり、金星、土星、そして、傷ついた月と鍵となる惑星は全て登場しているのである。また、チャラダシャーでも天秤座-牡羊座のダシャーであり、非常に関連を見出せるのである。
各惑星のビナシュタカヴァルガ
ダシャー
出生時のヴィムショッタリダシャー
次にヴィムショッタリダシャーに注目しながら、彼の経歴を辿ってみたい。
すると、彼は生まれて直ぐに火星のマハダシャーに入ったことが分かる。火星をラグナとすると、ラグナにはラーフが在住し、ラグナの支配星である月は7室に在住し、ケートゥとコンジャンクトして、ラグナに在住する火星からアスペクトされている。 太陽は2室で定座に在住している。 6、7室支配の機能的凶星で、マラカでもある土星は3室に在住し、3、12室支配でムーラトリコーナの水星と、6、9室支配で3室の敵対惑星に在住する木星とコンジャンクトしている。 また、金星は4、11室を支配して、凶星化し、4室でムーラトリコーナの星位にある。 凶星化して強い金星が4室に在住していることから、物質的に不足はなく、むしろ、贅沢を許され、物質的には過剰であり、また火星の悪い影響を受けて、精神的に派手で過激な傾向がこの火星期には見られたのではないかと思われる。 また、3室に惑星集中しており、吉星が在住していることから、忍耐力や集中力を欠き、快楽が許される一方で、愛情のある規律などが与えられなかったと思われる。また、ラグナロードの月が7室に在住しており、ケートゥとコンジャクトして、ケーマドルマヨーガであることから、幼少時から友達がなく、また相手をしてくれる仲間がいなかったことを示唆する。 特に4室の機能的凶星化した金星は快楽主義や贅沢、歯止めの効かない性格を形成した可能性は高く、また月の状態から母親自身が非常に寂しい人であり、子供を甘やかし、物質的に何不自由なく与えたことが忍耐心のない性格を形成したかもしれない。 アートマカラカの太陽がナヴァムシャで蠍座に在住しており、幼少時に母親から滋養を受けられなかったことを示唆しているが、ナヴァムシャで太陽は金星と3、10室支配で機能的凶星化した金星とコンジャンクトし、やはり、金星が表す物質的、感覚的快楽の一方で、精神的には滋養が受けられなかったことを示唆するように思えるのである。 精神分析的視点を取り入れると、彼は幼年期、少年期と火星期、ラーフ期と対人関係においては寂しく、また家庭ではおもちゃやテレビゲームなど快楽主義的に育てられ、忍耐力がなく、直ぐに短期を起こすような性格として育ったのである。 事件の当日、彼は笑いながら銃を乱射したというのはポイントであり、歯止めの利かない快楽主義の金星がトランジットの火星の影響を受け、また、マラカの土星がトランジットすることで、このような暴力事件に発展したのである。表面的には何かに対する復讐とか、怒りとかではなく、快楽主義+暴力のコンビネーションの結果である。然し、その根底には寂しさや精神的欠乏感が見え隠れする。