マータ・アムリターナンダマイー (アマチ)



聖母アマチのチャートである。
彼女は毎年5月頃にツアーで来日し、ダルシャンでは沢山の人を抱擁するのである。
日本ではメディアが取り上げることがないため、多くの一般人に知られてはおらず、インドや精神世界に縁がある人々の間でのみ知られているが海外では、”抱擁する聖者”(the hugging saint)としてよく知られているようである。



抱擁する聖者

英語版ウィキペディアによれば、インドでは彼女はときには1日20時間以上座り続けて5万人以上を抱擁するそうである。そして今まで過去30年間で、少なくとも30億人以上の人々を抱擁してきているということである。

彼女の弟子であるプラサンナン・ヘルケ氏のコンサルテーションなどを受けて、ジョーティッシュを知ることになった人は多いはずである。かく言う私(筆者)自身もそうである。ジョーティッシュ、プージャ、ホーマといったインドの秘教科学を知ることになったきっかけはアマチを通じてである。ディボーティー(信奉者)ではなくても彼女の人柄や慈善活動などに敬意を持ち、親しみを持つ人は多いのではないかと思われる。


愛と調和の聖母

アマチのチャートの特徴はまず、天秤座ラグナであり、愛と調和を愛する性格の持ち主であるということである。
1室で土星が高揚しており、土星の義務感や責任感、民主主義的で、相手を対等とみなす公平性、 誠実さが、そのパーソナリティーを特徴づけている。そして、その土星に対して、木星が一方的にアスペクトしており、1室に土星と木星のダブルトランジットが見られる。木星が土星のアスペクトによって傷つかずに、土星に対してのみ木星の影響が及ぶ理想的な配置である。1室に土星と木星が絡むことは、彼女には自分の理想を理想で終わらせずに、具体化するだけの実践力、組織力があることを表している。


ジョーティッシュ

もう一つの大きな特徴としては12室で高揚する水星である。
水星は占星術の表示体であり、12室は秘教科学、隠された教えという象意を持っている。
彼女はジョーティッシュを高く評価しており、土星が月の12室目から2室目まで通過していく時期(サディサティ)の人々が不幸な時期をやり過ごすための寺院を各地に建立したり、ジョーティッシュがヴェーダを修める為の”目”に該当することをよく理解しているようである。

占星術のもう一つの表示体である木星も9室に在住しており、人に教えたり、カウンセリングしたり、霊性を伝えていくのが彼女の奉仕であることが分かる。

アマチのチャートを見て気がつくのはK.N.ラオ先生と同じ天秤座ラグナで12室に水星と太陽が在住しているということである。 プラサンナン氏がK.N.ラオ氏をジョーティッシュグルとして仰ぎ、交流していることが理解できるのである。
そのような関係から、プラサンナン・ヘルケ氏は乙女座ラグナではないかと想像されるのである。
常にアマチの来日時に同行して、ダルシャン会場の端っこ(12室)の方で目立たたずにジョーティッシュのコンサルテーションを行なう、プラサナン氏はアマチが奉仕(9室)を実践する手助けをする強力な弟子であり、それは9室の支配星が12室で高揚していることでよく分かる。


聖なる出費-献金

12室に吉祥な9室の影響があるために彼女は海外で慈善活動をし、そして、何か災害が起これば自分が行けない場合でも直ぐに献金して、奉仕できる人達を援助している。

インドネシア沖地震や米国のハリケーン・カトリーナによる災害に対しても直ぐに義援金を送るのは彼女の12室で9室の支配星が高揚しているからである。12室は出費のハウスであり、それに精神性が加われば献金を表すのである。

・インドネシア沖地震 23ミリオンドル(約30億円)を災害義援金として寄付
・ハリケーン・カトリーナ ブッシュ-クリントン・ハリケーンカトリーナ災害基金へ100万ドルを寄付(約1億2千万円)
・カシミール・パキスタン地震の犠牲者に対して何千枚もの毛布を提供 (ウィキペディアより)

生い立ちと使命

英語版ウィキペディアによれば、アマチは漁師の家に生まれ、学校教育は9歳で終わり、その後は幼い兄弟の面倒を見て、家族の仕事を一日中手伝う生活をしていたようである。アマチは近隣の困っている人を助け、幼少時から多くの神秘体験をしていたようである。この9歳とは月期の途中であり、月は10室支配で8室に在住して高揚している。
月は母性や親しみの象徴であり、近隣の人々を母性的に援助し、助けたことが理解できる。また8室は霊感とかオカルト、超能力も表すため、この時期に神秘体験をしたというのも理解できるのである。

然し、この幼少時には内面的な成長を遂げようとするアマチを家族は理解することができず、親から折檻を受けたりなど、家庭の環境は悪かったようである。(アマチ公式サイトより) 月は8室在住で傷ついているため、母親との仲に問題が生じたものと思われる。

そして、彼女は1981年頃から世界中の霊的志望者に教えることを開始し、『マータアムリターナンダマイー・ミッション・トラスト』という組織を世界中に設立し、それを通じて多くの精神的、慈善的活動に従事し始めたようである。そして、「普遍的な母性」に達するために旅行を計画したようである。それが現在行なわれているアマチのワールドツアーである。

この1981年はラーフ/水星期であり、ラーフは月からみて9室に在住し、水星はラグナから見て9室支配で12室で高揚し、ラーフから見て9室支配で9室で高揚している。従って、彼女がこの時期に海外に向けて(世界中に向けて)、自らの奉仕活動を開始したのが分かる。


ダルシャン

彼女のチャートを見て気づくのはラグナロードの金星と7室支配の火星が11室獅子座で接合していることである。
実はこの配置こそ、 ”抱擁する聖者”としての活動を表しているのである。

金星と火星が接合して、普通の人の場合、恋愛における肉体関係も伴う情熱的な交わりを表しており、ストレートに言えば、金星と火星の絡みはセックスを表している。

しかし、彼女にとってはそれは性的な意味ではなく、 彼女の元を訪れる人々を相手が誰であっても拒まずに抱擁し、一日に20時間以上座って、5万人、30年で30億人以上の人々を抱擁してきたのである。とてつもない人数である。何故、ここまで、やらなければならないのかというと、金星と火星と同室する冥王星の力によるものと思われる。冥王星は同室する惑星の象意、彼女の愛の象徴たる”抱擁”を極限まで強調するのである。

アマチが日本に訪れた際のダルシャンを例にあげると、ダルシャンの間、彼女は玉座に座り、信者が列をつくって順番に彼女が座る台座に登っていくのである。それで左右の弟子が信者の両手を助けて、抱擁を受けるまで介助してくれるのであり、この愛の象徴たる抱擁の儀式は、獅子座で金星と火星が接合していることが表していると分かるのである。獅子座は玉座を表している。

聖者のチャートを見るときに気をつけなければならないとK.N.ラオ先生も述べているが、この場合でも当てはまるのである。アマチの抱擁は相手との一対一の交わりであり、高い所から低いところにエネルギーが流れる霊的交流である。 それは愛の肉体レベルである性的関係からさらに昇華した霊的交感なのである。

アマチは過去30年に渡り、愛の象徴たる抱擁を世界中で行なってきたのであるが、必ずしも常にその活動は順風万歩ではなかったのではないかと思われる。

1990年7月〜2006年7月までマハダシャー木星期であったが、木星はラグナから3、6室支配、月から見て8、11室支配、ダシャーロードの木星から見て7、10室支配、太陽から見ても4、7室支配といずれも機能的凶星である。

またナヴァムシャで見てもラグナから8、11室支配で、月から見ても2、11室支配、木星から見ても3、6室支配である。
ダーシャムシャにしても同様で、ラグナから見て8、11室支配、月から見て2、11室支配、木星から見て、7、10室支配で、ラシチャート、ナヴァムシャ、ダーシャムシャのいずれにおいても木星はラグナ、月、ダシャーロードの木星から見て機能的凶星である。木星はラグナから見て奉仕、海外、精神性のハウスである9室に在住しているので、木星期16年間は奉仕を実践する時期であったと言える。理想主義に燃えて、拡大傾向の木星が世界中に自らの慈善活動を広げていったと言える。

木星が機能的凶星化した場合の困難として、 間違った理想主義とか、理想だけで突っ走り、理想を実現するための具体的現実的な手段が伴わないという面が出てくるのである。従って、過去16年間に渡って、アマチ自身は精力的にワールドツアーを行なったが、それが実際、各国の現実の社会に慈善事業を継続して提供していくことの出来る機関として、地元に定着していくのが難しかったのである。慈善活動が一つのシステムとして、確固たる地盤を築くに至らないのである。従って、アマチのワールドツアーを一つの一年間の最大の祭典として、それにあわせて活動していくというのが今までのあり方ではなかったかと思われる。木星は具体性が伴わないのである。

しかし、アマチは、2006年7月以降、マハダシャー土星期にシフトしたのであり、土星はラグナ、月、ダシャーロードの土星から見て、ラージャヨーガカラカであり、太陽から見ても5室の支配星である。

ナヴァムシャでもラグナから見て9、10室支配のラージャヨーガカラカ、月から見てラグナロードであり、ダーシャムシャでもラグナから見て、9、10室支配のラージャヨーガカラカであり、月から見てラグナロードである。

この土星期には彼女には土星の重量感がもたらす、権威と地位がもたらされ、今まで活動してきたことが身を結んで世界各地に彼女の存在が確固たるものとして確立する時期である。また土星は月から見て、ウパチャヤの6室に在住している。これは敵がやってきても敵を粉砕する配置である。


マハダシャー土星期-大衆からのメッセージ

2007年、カリフォルニア州のヒルトンホテルにアマチが滞在した時に多数の選ばれた会社職員、宗教とコミュニティーのリーダーから、地元の労使交渉中にアマチがヒルトンホテルに滞在したことを批判されたのである。そして、マイケル・ラーナーという地元のラビが彼の所有する雑誌『ティックン・マガジン(Tikkun Magazine)』の中で、”精神的理想を貧しい人や労働者のための社会的正義に結びつけないあなたの行動では、精神的リーダーにもっと愛し、世話をする世界を創る可能性はない』という内容の批判をされたようである。ヒルトンホテルに宿泊する彼女の決定は、ホテル・ボイコットに参加する宗教のリーダーおよび労働者からの一般市民の抗議を引き起こしたようである。

つまり、ヒルトンホテルというのは地元の資本家の象徴であり、労働者が労使交渉で苦しんでいて、ホテルボイコット運動をしているときに何故、アマチは宿泊しているのか、彼女は私たち貧者の見方ではないのかと批判を受けたのである。そして、その後、何か訴訟のようなことに発展しそうになったところを最終的に識者の判断で取りやめになったようであるが、この事件はアマチが土星/土星期に入ってから起こっている。

これは現実的に苦しんでいる世界を救うためのもっと具体的な活動をするべきではないのかという一つの啓示的な出来事であったと思われる。いくら愛の抱擁をして、世界中を回っていてもそれで、貧者がご飯を食べられる世界にはならない、もう少し具体的に貧者を愛し、世話をする世界を創るような活動をして欲しいという大衆からのメッセージなのである。 土星は大衆を表しているため、大衆からの批判であるが、逆に言えば大衆からの期待であり、土星期への変化を象徴している。

土星は月から6室に在住しており、人々から批判を受けたり、訴訟を受けたりして、厳しい立場に立たされたと思われるが、ウパチャヤ凶星のため、結局のところ、最後には訴訟を免れたと言える。

土星はアマチの1室に在住しており、土星は最高の機能的吉星で高揚しているとは言っても、生来的には凶星である。従って、1室を傷つけており、彼女はこの土星期を象徴する体験によって、もっと自重し、自分の活動を具体的、現実的なものにしていく必要性を感じているはずである。そして、実際に彼女の慈善活動をそうした現実的な方向性に方針転換していくことになりそうである。愛の象徴行為をただ繰り返すだけの理想の時代は終わったのであり、もっと具体的な活動を求められているのである。そして、アマチはその方針転換に成功し、土星期の後半には静かな威厳と名声を得ることが出来るのではないかと思われる。


土星/水星期

土星は人間で言えば骨格に相当している。人間の肉体の60%は水であるが、もし骨格が無ければ、ほとんど水分でできている各臓器は流れ出してしまい、形(フォーム)を保つことができないのである。 骨格があってはじめて、土星以外の各惑星が表示する各臓器を一箇所にまとめ、保持して、全体としての統一のとれた生命体として機能させるのである。土星はあらゆる要素を形のある実のあるものにする要である。

土星/土星/土星/土星/土星期が終わると、プラーナダシャーから順番に土星/水星期がやってくるのであるが、2007年1月頃にアマチのジョーティッシュ部門を担当するプラサナン・ヘルケ氏が、単独で来日し、彼の個性やプロフィールを前面に出して、コンサルテーションやセミナーを開催している。

正確には1月20日東京にて、『インド占星学「光の科学」セミナービジネスへの応用』と題してセミナーが開催されたのであるが、アマチは2007年1月7日より、土星/土星/水星/水星/水星期にシフトしており、プラティアンタルダシャーが水星期にシフトした直後にセミナー開催されたことが分かる。プラサンナン氏のコンサルテーションやセミナーはアマチの海外での奉仕に該当していることが分かる。

アマチの弟子としてばかりでなく、プラサナン・ヘルケ氏自身の個人(プロフィール)がより前面に出たセミナーだったのを覚えているが、アマチへの信奉を強調する宗教組織から、より洗練され、より人々に目を向けたNGOやNPOといった活動形態に脱皮しつつあるという印象である。 2009年7月以降、土星/水星期になるとアマチの占星術部門が活発化し、プラサンナン氏もより忙しくなることと思われる。



(資料-英語版ウィキペディアより引用抜粋、一部編集)

西暦 出来事 ヴィムショッタリダシャー チャラダシャー トランジット
1993

世界宗教会議100周年記念で、スピーチをする(シカゴにて)世界宗教会議のヒンズー教における代表の一人になる

木星/土星 牡羊/乙女〜牡羊/射手
1995

国連のインターフェイスセレブレーション50周年記念に参加(ニューヨークにて)

木星/土星、木星/水星 牡羊/魚〜牡牛/水瓶
2000 国連のミレニアム平和サミットに参加し、スピーチをする。(ニューヨークにて) 木星/金星 双子/蠍〜双子/獅子
2002 国連の女性世界平和イニシャチブ集会に参加し、スピーカーとなる。(ジェネバにて) 木星/月 蟹/牡羊〜蟹/蠍
2002 国連本部での非暴力のための世界の運動から、”非暴力のためのガンジー賞”(ジェネバ)を授与される。

前の3人の受賞者はコフィー・アナン、ネルソン・マンデラ、 霊長類学者ジェーン・グドール博士。
木星/月 蟹/牡羊〜蟹/蠍
2004 世界宗教会議(バルセロナ) 木星/ラーフ 獅子/乙女〜獅子/天秤
2006 ジェームス・パークス・モートン・インターフェイス賞(ニューヨーク) 木星/ラーフ、土星/土星 獅子/蠍〜獅子/射手

<<本内容に関しての事実関係の大部分については英語ウィキペディアとアマチ公式サイトより引用抜粋、一部編集しています>>