阿部 定

1905/5/28 出生時間不明 東京都神田

(写真:逮捕、連行時に微笑みを浮かべる阿部定)

 

阿部定のことをここで詳しく紹介するまでもないが、ネットで調べてみて欲しい。

大島渚監督が「愛のコリーダ」で映画化している。

 

出生時間が分からない為、12:00でチャートを作成しすると、注目すべき配置が数多く見られる。

牡羊座のアシュヴィニーに金星、バラニーに木星、水星が在住し、対向の天秤座スヴァーティーに逆行の火星が在住し、金星にアスペクトしている。

まず金星と火星が1、7室の関係で相互アスペクトしていること自体は愛情問題が暴力と結びついたり、過激な恋愛体験となる配置である。

これはチャートを見て直ぐに気がつく点である。また、火星は18°33'付近におり、金星は7°21'であり、逆行の火星は金星の度数に近づく方向に逆行しているのが分かる。

火星は逆行することで凶星化しているが、それ以外にも後ろ向きということに特別の意味がありそうである。この後ろ向きというのは未練とか、執着とか、停滞というものを感じさせる。

つまり進化を妨げる要素である。

水星と、木星はバラニーであり、火星が対向からアスペクトするナクシャトラはバラニーである。

バラニーは欲求にストレートで手段を選ばないという性質であり、その性質と事件との関係は非常に興味深い。水星は牡羊座からみて、3、6室支配の支配星であり、凶星化している。

そして、太陽はローヒニーに在住し、ヴァルゴッタマである。

出生時間が分からないため、シャドバラは正確とはいえないが、ヴァルゴッタマの太陽はシャドバラも強い。したがって、牡牛座はラグナと同じように考えることが出来る。

牡牛座でヴァルゴッタマの太陽に冥王星がコンジャンクトしており、やはり、ローヒニーの太陽は極限的にその性質が発揮されることが予想される。

牡牛座は物質的快適さや五感の満足を求める星座であり、このことは事件とも関わってくる。

阿部定が性器にこだわりを見せるのも感覚とそれをもたらす物質へのこだわりとして考えると理解できる。

牡牛座で月が高揚する人に美術コレクターの例などもあり、牡牛座は物にこだわるのである。

 

そして、アートマカラカやグナティカラカに注目すると、アートマカラカ木星はナヴァムシャで蠍座に在住している。カラカムシャ木星は幼児期に母親の愛情を受けられないで育ったという欠乏感を持ちやすい今生の中心的な試練を抱えている可能性を示唆している。そのことは、彼女が愛に飢えており、欠乏感があったと考えると直感的に納得がいく。

また、グナティカラカが金星であるが、金星がグナティカラカということは金星が表す、恋愛、セックスなどが障害、困難であることを示している。

最後に犯行時のトランジットを見ると、興味深い惑星の配置が見られる。

彼女の犯行のカルマ自体は牡羊座でバラニーの水星、木星、アシュヴィニーの金星に対向から逆行の火星がアスペクトしているコンビネーションが示していると思われるが、

トランジットの月が犯行時に出生の金星にコンジャンクトしている。これは金星が表す恋愛に関するイベントが起こるタイミングを示している。

そして、ちょうどこの頃、土星は出生の水瓶座の土星にトランジットして、既に通過しきって、次の部屋の月にトランジットする所であり、サターンリターンで、サディサティの時期に

いるのである。そして、トランジットの月と一緒に牡羊座には突然の事件を示す天王星が在住し、トランジットの金星も木星、水星にコンジャンクトしている。

そして、出生の太陽にトランジットの太陽がアスペクトしているがこれも牡牛座の太陽が持っている宿命のようなものを表現するちょうどよいタイミングと言える。

 

太陽をラグナとすると、牡羊座の惑星集中は12室目であると考えられるが、それはちょうど太陽は30日単位で星座を移動するが、月は2.25日で星座を移動するからである。

したがって、太陽がリターンしてきた時はちょうど太陽をマハダシャーのようにして、月をアンタルダシャーのように考えることが出来そうである。

阿部定の事件は社会から隠れた密室で行われたのであり、相手の石田吉蔵との関係は途中でばれたようだが、妻にも内緒の秘密の関係であった。

であるから12室という象意が当てはまる。

すると、まず、土星などの足の遅い惑星でイベントの時期を絞り込み、次に特定のカルマを表現する太陽の位置を特定し、最後に月の位置を確定し、そのカルマが最も顕示しやすい時期を特定するのがよいのではないかと思われる。

そして、最後に補足だが、ヴァルゴッタマの太陽をラグナとすると、土星はラージャヨーガカラカになり、ラシでは水瓶座でムーラトリコーナであり強いのが分かる。

シャドバラでも土星は平均よりも高い得点を得ている。

そのことは阿部定が逮捕されても懲役6年という軽い刑しか受けず、恩赦で5年足らずで出所してきたということに現れているように思われる。

 

 

(資料)

阿部 定(あべ さだ、1905年5月28日 - ?)は、情痴殺人犯。東京都神田区新銀町出身。

1936年5月に東京で後に阿部定事件と呼ばれることになる殺人事件を起こす。

1971年以降の消息は不明。

 

阿部定事件(あべさだじけん)とは女中であった阿部定が1936年5月に愛人の男性を絞殺し局部を切り取った事件。

 

 

阿部定事件  http://www.alpha-net.ne.jp/users2/knight9/abesada.htm