座の時代から水瓶座の時代へ

-春分点の移動による地球文明の転換-

 アクエリアスの時代(水瓶座の時代)について占星術的に解説してみたいのですが、そういった特集記事も書いてみます。つまり、これは宇宙の星座や惑星といった外部からのエネルギーが文化、文明を形造っているのであり、人類の持つイデオロギーもそれに反応していたということを明らかにします。イデオロギーの時代は終わり、新しい時代は科学の時代であり、理解の時代です。共産主義理論でもなく、資本主義理論でもなく、エネルギーによる変容、すなわち物理学に近い法則によって人類社会が転換していくという内容になります。 

文責:鑑定家・秀吉(ひできち)

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 今現在、インド占星術がよく当たる占いとして巷で静かなブームを捲き起こしています。 私はインド占星術に2002年頃に出会いましたが、その理論の明快さと数学的美しさ、そして導き出す鑑定結果の正確さには圧倒されてきました。しかし、この非常に優れたインド占星術ですが、まだそれ程多くの人が実践しているわけではありません。インド占星術が人々に知られるようになってきたのはつい最近の出来事です。 インド占星術の特徴の一つは地球の歳差運動による春分点の移動(アヤナムシャ)を動かない恒星の位置を基準にして修正し、実際にその場に存在する星座を使う点です。この春分点の移動の観点から、現在の地球文明の特殊な状況について、ご説明したいと思います。
 春分点が地球の歳差運動により魚座から水瓶座に向けて移動していると述べましたが、この春分点というのは地球にとっては特別な感受点であり、アセンダントが個人の性格を特徴づけるように、春分点が在住する星座は地球文明の性格を特徴づけます。 春分点はおよそ25920年で黄道12宮を一周し、およそ2160年ごとに黄道12星座の各星座を通過します。およそ西暦278年頃に牡羊座の0°にありましたが、魚座の方向へ72年に1°ずつ移動し、今現在、魚座の6°付近に位置しています。そして、次に入る星座は水瓶座であることから、新しく到来する時代は水瓶座(アクエリアス)の時代と呼ばれています。

 一方、今現在は魚座(パイシス)の時代と呼ばれ、この時代はおよそ2000年前から始まりました。西暦とはイエス・キリスト生誕を基準としますから、現在はキリスト生誕してから2000年経過しており、それは魚座の時代とほぼ一致しています。実際、キリスト教とは魚座の宗教です。

 魚座は木星を支配星とする星座であり、献身(自己犠牲)と理想主義を人類の文明にもたらしました。愛、自由、民主主義などの理想が発達したのもこの2000年でした。キリスト教が愛という理想を示し、キリスト教会を拡大しました。キリスト教ばかりでなく、イスラム教や仏教などの世界宗教が発展しました。人類の中に国家、宗教、政党(思想集団)、企業などの様々なレベルの共同体に対する献身的態度が生み出されました。魚座は牡羊座から数えて12番目の部屋にあって最も神秘的で隠れた場所を意味することから、宗教は神秘主義や密教という形で伝えられ、ひっそりと人里離れた隠遁的な環境で、その真髄が伝えられてきました。

 魚座の支配星である木星は拡大傾向があるため、国家がお互いの領土を拡大しようとして衝突した帝国主義や、一人の独裁者の意志に国民が従う全体主義、国家同士の間に排他的で自己中心的な、多くの衝突が生み出されたのもこの魚座の時代を特徴づけます。 つまり、この過去2000年間の魚座(パイシス)の時代においては、理想というものが人類の中に栄え、それに対する献身的態度が生み出されたのですが、自分が所属し崇拝するものに対する献身的態度であるため、しばしば他の理想を所持するもの同士で敵対し合いました。それは、資本主義と共産主義の衝突、宗教間の対立、国家間の対立(帝国主義)や2つの世界大戦などに見られます。

 魚座では水星が減衰し力を発揮できないため、しばしば感情的なレベルで対立し、理性を通じて対話をすることが難しい時代でした。 従って、国家の発展、宗教の発展、経済の発展などは、それぞれの勢力(国家、宗教、国際企業)が排他的に競争しあう中で、それでも発展してきました。 この2000年間において人類の中に素晴らしい理想が発展しました・・・愛、自由、民主主義、共産主義など。つまり、イデオロギーの時代とも呼ぶことが出来ます。

 これから来るべき時代は水瓶座(アクエリアス)の時代と呼ばれますが、まだ春分点が魚座の6°にあるため、実際に到来するにはあと432年程かかります。しかし、現在、春分点が水瓶座に徐々に近づいていくことで、地球の文明と文化が水瓶座の影響を受けて変化してきており、その影響はますます強くなっています。水瓶座の特徴は、理性と科学、秩序、博愛主義、平等です。あらゆる個性を持った人々を融合させ、多様性の中に統一をもたらします。

  そこではそれぞれが個性を保ったまま、協力し合い、一つの統一体(グループ)として機能できます。水瓶座の影響によってそうした仕組みが作られます。 水瓶座の支配星は土星であり、土星は民主主義や平等を表します。人が人種、国籍、性別、文化の違いを超えて、一体となっていく時代です。

 その際たるものが国際連合です。それぞれ個性のある国家が協力し、それぞれの個性と独立を保ったまま、統一されたグループを形作るのです。人類の活動のあらゆるレベルで、融合し、統一していく動きが見られます。 しかし、ここ最近、アメリカのブッシュ政権が国連を通じて世界が一体となっていく世界的動きに逆行した行動を取り、自国の国益のみ追求した政策をとっています。ブッシュ政権の支持基盤は宗教的原理主義グループであり、彼自ら神について公に語るように、彼を突き動かしている力は魚座の時代に発展してきた勢力が用いる、排他的で変化や改革を嫌い、新しい時代の流れに逆行する力なのです。彼は魚座(パイシス)時代の神を、手段を崇拝しています。 国連はアメリカに乗っ取られた状態になり、あらゆる国家がお互いに協力し合い、一つの世界を運営していくような機関となっていません。アメリカは「京都議定書」のような環境を守るために各国が協調して合意を得るような場においても、国益を重視して、協調することができません。

 然し、先日、米国中間選挙で民主党が歴史的な勝利を収めたので、この状況は変わりつつあると思います。魚座(パイシス)の時代を作り上げてきた力は、おそかれ早かれ撤退し、盲目的に大統領の政策に追随するのではなく、国民自ら思考し、理性をもって社会を造っていく真の民主主義が育つことになります。それが水瓶座(アクエリアス)の時代の約束です。 そして、私はこの『勝手連』にもそのような水瓶座の影響力を感じます。『勝手連』は個性を持った多くの人々やグループに表現の機会を与え、融合し相互に結びつけ、多様性の中に統一をもたらす仕組みを創造し管理しています。このことは勝手連が新しい時代のエネルギーに反応し、時代精神を体現する器の一つであることを表しています。 インド占星術(ジョーティッシュ)とは魚座(パイシス)の時代に実践されてきたような直感やフィーリング、霊能力に頼る占いではなく、水瓶座の時代、すなわち、理性と科学の時代にコンピュータと論理的思考を駆使して、出生図を解析し、知的に人間個人の運命、国家の運命、はては地球文明の運命---その過去・現在・未来---を予測する新時代のスーパーサイエンスなのです。 私はこの素晴らしいインド占星術を日本に普及させたいと考えております。

 

 

※上記は、2007年1月1日発行の『議会新聞 新年号』(発行所 議会新聞社)に掲載されました。

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