2013/7/9 村上春樹について -ラグナの検証-
前回、村上春樹について論じたが、『ノルウェーの森』以外は全く読んだことがないので、彼の作品がどのように変遷してきたのか、詳細な分析は出来ないのが残念である。
村上作品の前期と後期でどのように作風が変わったのか、実際、読んでみてそれを体感するのが一番良いのであるが、今から読んでいる時間もないので彼の作品を読み続けてきた読者の評論や、感想を参考にするしかない。
然し、それでも出生チャートの分析と、それらの読者たちの意見を読んでいくだけで、村上春樹がどのような心理状態で、ディタッチメントからコミットメントへ転換したのか、彼の心の遍歴について惑星や星座やハウスという言語を用いて、読者以上に理解することが出来たように思える。
これは占星術の力であり、認識のための強力な道具の力である。
この道具を使って、 人の一生を、思想や行動の変化の過程を鮮やかに浮かび上がらせることができるのだ。
実際、作品を読んてきた人以上に村上春樹の変遷について意識的に納得することができる。
人の人生は、よく見知っている人であっても、通常は理解し難いことも多い。何故、あの人はあの時、こういう行動をしたのだろうと、
適当な理由で説明しようとするが、実際は分からないまま推測の域を出ないことも多い。
然し、ジョーティッシュは人の一生の移り変わりの過程について意識化し、原因そのものは分からなくても、少なくとも、通常の表面に見えている世界の背後の原因にまで迫れる科学である。
ジョーティッシュで、ダシャーの推移などから、何が起こるか、どのようなイベントが起こっていくか、変化のタイミングなどを予測することは出来るが、何故、そうしたカルマが、惑星、星座、ハウスによって描かれているのか、そこまでは分からない。結局、そのようなカルマを描き出すだけの過去世の行為があったのだと推測は出来るが、それは推測の域を出ない。
但し、少なくとも、一般の人が、色々適当な理由で説明している現象界の出来事が、もっと形而上の原因によって起こっていることを強く感じ、確信することが出来るという意味で、一般の人よりも、やはり、深いレベルで、現象について捉えることが出来る。
チャートで詳しく調べてしまうと、それまでは全く分からない未知の存在だった人物が、もうよく把握できてクリアした存在となり、恐怖や畏怖の対象ではなくなる。
村上春樹の創作力というものが、チャートを調べる前は、全く未知の理解できない自分の想像を超えた何かであったものが、自分の認識で把握した対象となるのだ。
自分の認識で把握した対象となった途端、それは自分の恐怖や畏怖の対象ではなくなり、全くその対象について安心感や余裕の心境が生じてくる。
これが知の力、認識の力というものに思える。
村上春樹を獅子座ラグナに設定すると、過去の事象の多くが説明可能になる。
まず、1971年で結婚しているが、この時に結婚すると同時に夫人の実家の家に間借りしている。
つまり、引っ越したということであるが、木星は蠍座で逆行し、土星は牡牛座にあったため、4室でダブルトランジットが生じており、引越しの時期である。
木星の蠍座での逆行も考慮に入れると、7室にダブルトランジットしているので結婚の時期である。
結婚したダシャーはラーフ/火星⇒木星/木星期であり、火星は月からみて7室の支配星で、木星は月からみて8室の支配星で8室に在住している。
8室は結婚生活のハウスである。
従って、高橋陽子夫人と結婚して、そのまますぐに生活を共にしている。夫人の両親からお金を借りたり、夫人の実家の家に間借りしている。
8室は7室から見た2室(両親、実家)であるから、パートナーの両親や実家とのつながりが出来て、それによって恩恵を被ることになる。
8室というのはつまり、結婚したカップルが一つ屋根の下で暮らすには非常に重要なハウスである。
もし8室が傷ついていて、7室だけが強かったら、結婚生活は共にせずに交際するだけになるかもしれないのだ。
この結婚した時のチャラダシャーを見ると、射手座/乙女座の時期である。
メジャーダシャーの射手座にはDKが在住しており、射手座から7室にアスペクトしている。
サブダシャーの乙女座にはDKがアスペクトして、更に乙女座からの7室にもアスペクトしている。
従って、チャラダシャーで見ると結婚のタイミングである。特にメジャーダシャーの射手座にDKが在住していることが結婚のタイミングとして大きい。
村上春樹の22歳での学生結婚というのはかなり早婚である。
月から見ると8室には木星と金星が在住しており、木星は自室で強い配置である。8室に生来的吉星が在住して、土星や火星からのアスペクトも受けておらず、傷ついていない。従って、かなり8室の状態が良い。
ラグナから見た場合も8室支配の木星が5室で自室にあり、金星と接合している。
このように8室が強いとやはり早婚なのである。
8室は前世に起因する深いカルマを表わすハウスである。
iPS細胞の生みの親である山中伸弥教授も早婚であるが、早婚の人は、過去世に積み上げた良いカルマによって、人生の早期の段階で、生活を支えてくれる良き伴侶に巡りあい、その人が仕事に集中できるようにサポートしているように思える。
これは家系とか家柄とか伝統にも関わる前世からの深い縁である。
アンタルダシャーに注目していくと、ラーフ/金星、ラーフ/太陽期に早稲田大学第一文学部で演劇を専修して、在学中は演劇博物館で映画の脚本ばかり読んでいたというのは、まさに金星の象意であるように思える。
3、10室支配で5室に在住する金星は演劇を表わしており、この頃、歌舞伎町のジャズ喫茶に入り浸っていたというのも金星が音楽の表示体であり、また5室が音楽の表示体だからである。
アンタル太陽期も、太陽は金星と接合しているので、やはり、演劇や音楽と関わる時期である。
そして、ラグナからみて5、8室支配、月からみて8、11室支配の木星期になると結婚するのであるが、既に述べたように8室は配偶者の両親、家族を表わしており、配偶者と家族との結合、すなわち、結婚生活を表わしている。
そして、木星は5室の支配星で、金星と接合しているため、今度はジャズ喫茶に通うのではなく、自分で開店してしまい、オーナーとなる。
夫婦でお金を出して、妻の実家からもお金を出してもらって、ジャズ喫茶を開店する。これもまさに8室支配で強い配置にある木星の象意である。
このジャズ喫茶で、そして、この木星期の間に小説を書き始めるのだが、これも必然的な流れである。
つまり、昔から読書が好きで、様々な作品を読んで楽しんできた。それを今度は、自分自ら書いてみようということである。
実際、最初の小説を書いたのは、木星/金星期の頃である。
木星/金星期というと、5室の象意における最高のコンビネーションの時期である。
この木星/金星期に、デビュー作『風の歌を聴け』、『1973年のピンボール』、『羊をめぐる冒険』といった初期の頃の村上春樹ファンが最も好む評価の高い作品を書いている。
この木星期の前半は、チャラダシャーが射手座の時期で、後半になると、メジャーダシャーが山羊座に移行するが、射手座から見るとAmkが11室にアスペクトし、山羊座から見ると、Amkが10室にアスペクトする。
従って、 ジャイミニで言えば、この射手座と、山羊座の時期は、最も仕事で成功し、上昇する時期である。
この木星期が終わる時に同時に山羊座のメジャーダシャーも終わっているのは偶然ではない。
この頃からマハダシャー土星期に移行して、土星は6、7室支配で1室に在住している。
土星のディスポジターの太陽が5室に在住しており、また土星からみると5室に木星、金星、太陽が在住しているため、著作活動をこの頃も続けたが、創作ではなく、主にインタビューをして、それを記事にまとめるというジャーナリズムの仕事である。
つまり、小説が書けなくなったので、こうしたジャーナリズム的な仕事をして充電期間としたというようにも外からは見える期間である。
このマハダシャー土星期は、チャラダシャーで言えば、メジャーダシャーが水瓶座⇒魚座⇒牡羊座と推移した時期である。
水瓶座からみるとAmkの月は4室に在住して、6室、9室、12室にアスペクトしている。従って、地味に活動する時期である。
魚座から見ると、Amkの月は3室に在住し、5室、8室、11室にアスペクトしており、Amkの11室へのアスペクトが確認できる。
牡羊座から見ると、Amkの月は2室に在住し、4室、7室、10室にアスペクトしており、Amkの10室へのアスペクトが確認できる。
水瓶座の時期の出来事を見ると、特に何事もなく、地味に過ごしていることが分かる。
然し、魚座や、牡羊座のメジャーダシャーに移行すると、再び、活発に創作活動をして、仕事での活躍が見られる。
チャラダシャーがよく機能しているため、獅子座ラグナでよいことが分かる。
そして、マハダシャー土星期が終わると、今度はマハダシャー水星期に移行するが、チャラダシャーは、牡羊座から牡牛座のメジャーダシャーに移行する。
牡牛座にはAmkの月が在住し、PKの火星がアスペクトして、ジャイミニラージャヨーガを形成している。
Amkがまさに在住する星座のダシャーが来て、しかもジャイミニラージャヨーガも形成しているためか、この頃から、海外の公的機関や団体から賞を授賞し、名誉博士号といった称号を授与し、ノーベル文学賞候補にも名前が上がるなど、
その名声はとどろいた。本も出版すれば100万部以上の桁違いの売上げを上げた。
これはまさしく11室の象意であるが、Amkの月が10室で高揚しており、この月の象意が最もダイレクトに表われる牡牛座のメジャーダシャーであることを考えると、この高い評価や称号、名声、収入といったものが、この時期に表われ始めたことが納得できる。
ヴィムショッタリダシャーの水星期だけを考えると、中々、この時期の村上春樹の地位の上昇について理解できない。
水星は分割図で強いとはいえ、出生図で、それ程、良い配置とは思えないからである。
そして、注目すべきは、メジャーダシャーが双子座に移行した後の状況である。
双子座から見ると、Amkの月は12室に在住して、2室、5室、8室にアスペクトしている。 Amkの月が10室や11室に絡まず、それ程、よくない時期である。
牡牛座のメジャーダシャーとの比較で言えば、この時期に下降が見られるはずであるが、
サブダシャーが、双子座/牡牛座⇒双子座/牡羊座⇒双子座/魚座と続き、サブダシャーからみると、Amkが高揚する牡牛座であったり、10室にアスペクトしたり、11室にアスペクトしたりしている。
従って、双子座のメジャーダシャーに入った後も、暫く賞の授賞や高い評価は続いていたのである。
然し、 最新作『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を発表した2013年4月12日頃になると、チャラダシャーは、双子座/水瓶座に移行してしまっている。
双子座/水瓶座の時期は、メジャーダシャーでも、サブダシャーでもAmkは10室にも11室にアスペクトしない。
水瓶座から見ると、Amkは4室に在住し、6室、9室、12室にアスペクトして、最も地味な時期である。
特に批判の6室や損失の12室といった象意が目立つ。
そうしたことが、サブダシャーレベルでよく説明できるため、やはり、村上春樹は獅子座ラグナなのである。
彼の経歴の全てはヴィムショッタリダシャーと、チャラダシャーで鮮やかに説明できるため、獅子座ラグナで間違いないことが分かる。
西暦 |
年月 |
出来事 |
V.Dasha |
C.Dasha |
Transit |
1949年 |
1月12日 |
京都府京都市伏見区で生まれる。 |
火星/木星 |
獅子座/乙女座 |
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1961年 |
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西宮市立香櫨園小学校卒業。 |
ラーフ/土星
ラーフ/水星 |
乙女座/牡羊座
乙女座/牡牛座 |
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1964年 |
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芦屋市立精道中学校卒業。 |
ラーフ/水星
ラーフ/ケートゥ |
乙女座/獅子座
乙女座/乙女座 |
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1967年 |
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兵庫県立神戸高等学校卒業。 |
ラーフ/金星 |
蠍座/天秤座
〜蠍座/牡牛座 |
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1968年 |
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早稲田大学第一文学部に入学、演劇専修へ進む。在学中は演劇博物館にて映画の脚本を読みふけり、映画脚本家を目指してシナリオを執筆などもしていたが、大学へはほとんど行かず、新宿でレコード屋のアルバイトをしながら歌舞伎町のジャズ喫茶に入り浸る日々を送る。 |
ラーフ/金星
ラーフ/太陽 |
蠍座/牡羊座
〜蠍座/蠍座 |
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1971年 |
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高橋陽子と学生結婚する。
一時、文京区で寝具店を営む夫人の家に間借りする。 |
ラーフ/火星
木星/木星 |
射手座/乙女座
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木星R:蠍座
土星:牡牛座
DT:4室、7室、10室 |
1973年 |
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国分寺にジャズ喫茶『ピーターキャット』を開き、オーナーとなる(1977年に千駄ヶ谷に移転)。 |
木星/木星
木星/土星 |
射手座/蟹座 |
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1974年 |
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国分寺にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を開店(店名は以前飼っていた猫の名前から、夜間はジャズバー)。開店資金は500万円で、半分は夫婦でアルバイトをして貯め、残りは高橋陽子の両親からの借金であった。 |
木星/土星 |
射手座/双子座 |
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1975年 |
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早稲田大学第一文学部映画演劇科を卒業(7年間在学)。
卒業論文題目は「アメリカ映画における旅の系譜」でニューシネマ『イージー・ライダー』を論じた。指導教授は印南高一(印南喬)。 |
木星/土星 |
射手座/牡牛座 |
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1977年 |
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ジャズ喫茶「ピーター・キャット」を千駄ヶ谷に移す。 |
木星/水星 |
射手座/魚座 |
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1979年 |
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店の近所にあった明治神宮野球場でプロ野球の試合を観戦中に小説を書くことを思い立ったという。それからはジャズ喫茶を経営する傍ら、毎晩キッチンテーブルでビールを飲みながら作品を書き続けて『群像』に応募。
6月、 『風の歌を聴け』で第22回群像新人文学賞を受賞し、デビュー。
同年、「風の歌を聴け」が第81回芥川龍之介賞および第1回野間文芸新人賞候補 |
木星/ケートゥ
木星/金星 |
射手座/山羊座 |
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1980年 |
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「1973年のピンボール」で第83回芥川龍之介賞および第2回野間文芸新人賞候補となる。 |
木星/金星 |
射手座/射手座 |
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1981年 |
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ジャズ喫茶『ピーターキャット』を友人に譲り、小説家業に専念。 |
木星/金星 |
山羊座/射手座
〜山羊座/天秤座 |
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1982年 |
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初の翻訳集『マイロストシティー フィッツジェラルド作品集』を刊行。
また、初の本格長編小説『羊をめぐる冒険』で第4回野間文芸新人賞を受賞。 |
木星/金星
木星/太陽 |
山羊座/天秤座
山羊座/乙女座 |
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1985年 |
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2つの物語が交互に進行していく長編『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』発表、第21回谷崎潤一郎賞受賞。 |
木星/火星
木星/ラーフ |
山羊座/魚座
山羊座/水瓶座
山羊座/山羊座
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1986年 |
10月 |
ギリシャ・ローマ旅行開始、1991年まで日本との間を行き来する生活を送る。 |
木星/ラーフ |
水瓶座/牡羊座 |
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1987年 |
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『ノルウェイの森』を発表し、上下430万部を売るベストセラーとなる。これをきっかけに村上春樹ブームが起き、以後は国民的支持を集める。 |
木星/ラーフ
土星/土星 |
水瓶座/牡牛座
水瓶座/双子座 |
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1989年 |
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『羊をめぐる冒険』の英訳版がアメリカで出版される。 |
土星/土星 |
水瓶座/乙女座
水瓶座/天秤座 |
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1990年 |
1月 |
ヨーロッパ滞在より、帰国。 |
土星/土星 |
水瓶座/天秤座
水瓶座/蠍座 |
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1991年 |
1月 |
ニュージャージー州プリンストン大学の客員研究員として招聘され渡米する。前後して湾岸戦争が起こっており、のちに「正直言って、その当時のアメリカの愛国的かつマッチョな雰囲気はあまり心楽しいものではなかった」と述懐している。
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土星/水星 |
水瓶座/射手座
水瓶座/蠍座 |
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1992年 |
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在籍期間延長のため客員講師に就任、現代日本文学のセミナーで第三の新人を講義、サブテキストとして江藤淳の『成熟と喪失』を用いる。(92年から1年間は、客員講師として大学院で週にひとコマのセミナーを担当)。 |
土星/水星 |
魚座/牡羊座
〜魚座/蟹座 |
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1993年 |
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タフツ大学に移籍。 |
土星/水星
土星/ケートゥ |
魚座/獅子座
〜魚座/蠍座 |
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1994年 |
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『ねじまき鳥クロニクル 第1部』『同 第2部』刊行 |
土星/ケートゥ
土星/金星 |
魚座/射手座
〜魚座/魚座 |
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1995年 |
1月-3月 |
1995年、1月に起こった阪神・淡路大震災と、3月に起こった地下鉄サリン事件に衝撃を受ける。 |
土星/金星 |
牡羊座/牡牛座 |
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1995年 |
5月 |
4年間にわたる米国滞在を終え帰国。 |
土星/金星 |
牡羊座/牡牛座 |
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8月 |
『ねじまき鳥クロニクル 第3部』刊行。 |
土星/金星 |
牡羊座/牡牛座 |
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1996年 |
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『ねじまき鳥クロニクル』で第47回読売文学賞を受賞。 |
土星/金星 |
牡羊座/双子座
牡羊座/蟹座 |
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1997年 |
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地下鉄サリン事件の被害者へのインタビューをまとめたノンフィクション『アンダーグラウンド』刊行。 |
土星/金星
土星/太陽 |
牡羊座/蟹座
牡羊座/獅子座 |
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1999年 |
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『アンダーグラウンド』の続編で、オウム真理教信者へのインタビューをまとめた『約束された場所で―underground
2』により第2回桑原武夫学芸賞受賞。 |
土星/月 |
牡羊座/天秤座
牡羊座/蠍座 |
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2000年 |
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神戸の震災をテーマにした連作集『神の子どもたちはみな踊る』刊行。のちに『神の子どもたちはみな踊る』は映画化される。 |
土星/月
土星/火星 |
牡羊座/蠍座
牡羊座/射手座 |
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この時期、社会的な出来事を題材に取るようになったことについて、村上自身は以下のように「コミットメント」という言葉で言い表している。「それと、コミットメント(かかわり)ということについて最近よく考えるんです。たとえば、小説を書くときでも、コミットメントということがぼくにとってはものすごく大事になってきた。
以前はデタッチメント(かかわりのなさ)というのがぼくにとっては大事なことだったんですが」「『ねじまき鳥クロニクル』は、ぼくにとっては第三ステップなのです。まず、アフォリズム、デタッチメントがあって、次に物語を語るという段階があって、やがて、それでも何か足りないというのが自分でわかってきたんです。そこの部分で、コミットメントということがかかわってくるんでしょうね。
ぼくもまだよく整理していないのですが」 「コミットメント」はこの時期の村上の変化を表すキーワードとして注目され多数の評論家に取り上げられた。また村上は作品の題材とした震災と地下鉄サリン事件の二つの事件について、この2つは彼にとって別々のものではなく、「ひとつを解くことはおそらく、もうひとつをより明快に解くことになるはずだ」(『辺境・近境』)と考えたと語っている。 |
土星期〜 |
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2002年 |
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初めて少年を主人公にした長編『海辺のカフカ』発表。 |
土星/ラーフ |
牡羊座/水瓶座
牡羊座/魚座 |
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2003年 |
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高名なアメリカ文学の新訳を手がけている。『ライ麦畑でつかまえて』のタイトルで親しまれてきたサリンジャーの長編の新訳『キャッチャー・イン・ザ・ライ』を皮切りに、フィッツジェラルド『グレート・ギャッツビー』、チャンドラー『ロング・グッドバイ』、カポーティ『ティファニーで朝食を』と、たて続けに刊行している。 |
土星/ラーフ |
牡羊座/魚座
牡羊座/牡羊座 |
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2004年 |
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カメラ・アイのような視点が登場する実験的な作品『アフターダーク』を発表。 |
土星/ラーフ
土星/木星 |
牡牛座/牡羊座
牡牛座/魚座 |
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2005年 |
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『海辺のカフカ』の英訳版Kafka on the Shoreが『ニューヨーク・タイムズ』の"The
Ten Best Books of 2005"に選ばれ国際的評価の高まりを示した。 |
土星/木星 |
牡牛座/魚座
牡牛座/水瓶座
牡牛座/山羊座 |
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2006年 |
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フランツ・カフカ賞、フランク・オコナー国際短編賞(en:Frank O'Connor
International Short Story Award)と、国際的な文学賞を続けて受賞。特にカフカ賞は、前年度の受賞者ハロルド・ピンター、前々年度の受賞者エルフリーデ・イェリネクがいずれもその年のノーベル文学賞を受賞していたことから、2006年度ノーベル賞の有力候補として話題となった。同年の世界最大規模のブックメーカーである英ラドブロークス(en:Ladbrokes)のストックホルム事務所による予想では、34倍のオッズが出され18番人気に位置(受賞は同予想で1位のオルハン・パムク)。2007年の同予想では11倍のオッズ、6番人気とさらに評価を上げている。また近年の年収は海外分が既に国内分を上回っており、事務所の仕事量も3分の2は海外とのものであるという。 |
土星/木星
水星/水星 |
牡牛座/山羊座
牡牛座/射手座
牡牛座/蠍座 |
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2007年 |
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2006年度朝日賞、第一回早稲田大学坪内逍遥大賞受賞。リエージュ大学(en:University
of Liege)より名誉博士号を受ける。 |
水星/水星 |
牡牛座/蠍座
牡牛座/天秤座 |
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2008年 |
6月3日 |
プリンストン大学は村上を含む5名に名誉学位を授与したことを発表した。村上に授与されたのは文学博士号である。カリフォルニア大学バークレー校より第1回バークレー日本賞を受賞。 |
水星/水星 |
牡牛座/乙女座 |
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2009年 |
2月 |
エルサレム賞を受賞。当時はイスラエルによるガザ侵攻が国際的に非難されており、この受賞については大阪の市民団体などから「イスラエルの戦争犯罪を隠し、免罪することにつながる」として辞退を求める声が上がっていた。しかし村上は賞を受けエルサレムでの授賞式に出席する。記念講演では「この賞を受けることがイスラエルの政策を承認したとの印象を与えてしまわないかと悩んだ」ことを告白し、その上で「あまりに多くの人が『行かないように』と助言するのでかえって行きたくなった」「何も語らないことより現地で語ることを選んだ」と出席理由を説明した。そして「高くて固い壁があり、それにぶつかって壊れる卵があるとしたら、私は常に卵側に立つ」と、イスラエル軍によって1000人以上のガザ市民が命を落としたことをイスラエルのペレス大統領の面前で批判した。さらに「私たちはみな国籍や人種・宗教を超えてまず人間であり、『システム』という名の壁に直面する壊れやすい卵なのです」と語った。スピーチの途中からペレス大統領の顔はこわばってきたという
。
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水星/水星
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牡牛座/獅子座 |
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2009年 |
5月、11月、12月 |
長編小説『1Q84』を刊行、同年11月の段階でBOOK1と2の合計223万部の発行部数。同作品で毎日出版文化賞受賞。
同年12月には、独創的な作家としてスペイン政府から芸術文学の勲章として、スペイン芸術文学勲章が授与され、それによりExcelentisimo
Senorの待遇となる。 |
水星/ケートゥ |
牡牛座/蟹座
牡牛座/双子座 |
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2011年 |
6月 |
カタルーニャ国際賞を受賞。副賞である8万ユーロ(約930万円)を東日本大震災の義援金として寄付する。カタルーニャ国際賞の受賞スピーチでは日本の原子力政策を批判した。 |
水星/金星 |
双子座/牡牛座 |
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2012年 |
9月28日 |
『朝日新聞』朝刊にエッセイ「魂の行き来する道筋」を寄稿した。その中で、日中間の尖閣諸島問題や日韓間の竹島問題によって東アジアの文化交流が破壊される事態を心配して、「領土問題が「感情」に踏み込むと、危険な状況を出現させることになる。それは安酒の酔いに似ている。
安酒はほんの数杯で人を酔っ払わせ、頭に血を上らせる。」「しかし賑やかに騒いだあと、夜が明けてみれば、あとに残るのはいやな頭痛だけだ。」「安酒の酔いはいつか覚める。しかし魂が行き来する道筋を塞いではしまってはならない。」と警告した
。
小林秀雄賞を受賞。 |
水星/金星 |
双子座/魚座
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2013年 |
4月12日 |
最新作『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を発表。 |
水星/太陽 |
双子座/水瓶座 |
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wikipedia 村上春樹より引用抜粋、一部編集 |
(参考文献・資料)
wikipedia 村上春樹
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