占星コラム



2013/7/7 村上春樹について


村上春樹の最新作『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』が4月12日に発売されてから2ヶ月程、経過しているが、各方面から酷評を受けているという。

私は村上春樹の作品は『ノルウェーの森』しか読んでいないので、彼の全作品を読み込んだ上で彼の作品と思想の変遷について時間軸に沿って縦断的に論じることが難しいのであるが、それでもwikipediaやyoutubeなどの情報を手がかりとして、彼の出生図と過去の経歴を検討した所、彼の作品の変遷や、彼の作風の秘密について占星術的に理解することが出来た。

結論から言うと、彼のラグナは獅子座ラグナであり、現在、マハダシャー水星期である。



まず、手がかりとして、マハダシャーの変わり目のタイミングと大きな人生の変化の時期が一致しているかを調べることから検証をスタートした。

出生図で最も目を引くのが、射手座に惑星集中する太陽、金星、木星である。

木星は射手座で自室にあって強く、そこに生来的吉星の金星が同室して、太陽も同室している。

彼の文筆における創造性がこれらの配置から来ているというのが最初の直感である。


そのため、木星期の開始時期がいつ頃かを調べてみると、 出生時間が00:00:01の時、木星期の開始時期は1980年1月14日で、終わりが1996年1月14日となり、

出生時間が23:59:59の時、木星期の開始時期は1971年2月26日、終わりが1987年2月26日となる。

つまり、木星期は、早くても1971年2月26日から始まり、遅くても1996年までに終わることになる。

これは22歳から47歳の期間である。出生時間によって木星期の開始時期が9年後ろにずれ込むのだが、木星期は彼がデビューして作品を生み出した時期に重なることは明らかである。


木星期の開始時期はいつ頃か?

村上春樹は1979年に「風の歌を聴け」で第22回群像新人文学賞を受賞して作家デビューし、以後、多くの作品を生み出し続けてきたことから、彼が作品を量産した時期は、マハダシャー木星期であると分かる。

なぜなら、木星は射手座で自室にあり、芸術や表現力の金星と接合しているからである。

デビュー後の村上春樹をマハダシャーラーフ期で描くことは全くできない為、彼は間違いなく、作家としての自己を確立したのは木星期である。

このように彼が作品を量産したのがおそらく木星期であることは容易に想像がつくが、それでは彼の木星期がいつから始まったのかというのが問題である。


学生結婚と、夫人からの恩恵

彼は1968年に早稲田大学第一文学部に入学して、1971年に夫人と学生結婚し、文京区で寝具店を営む夫人の家に間借りをしたり、在学中の1974年に国分寺にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を開店している。

回転資金の半分は夫婦でアルバイトをして貯め、残りは夫人・高橋陽子の両親からの借金であったという。


つまり、村上春樹は、夫人の両親から学生時代の住まいや、喫茶店の回転資金まで援助を受けて多大な恩恵を受けている。

これはパートナーを表わす7室からの2室目である妻の両親や実家、財産から恩恵を受ける配置、すなわち、結婚生活の8室が強い配置である。



木星は月をラグナとすると、8、11室支配で8室の自室に在住し、ラグナロードの金星と接合し、4室支配の太陽も同室している。

この配置から彼が妻の両親から経済的援助(8室)を受け、住まい(4室)も提供してもらったことがよく理解できる。

彼はもともと、妻によって引き上げられるタイプなのである。(こうした彼の私生活は作品の中の主人公に明らかに投影されている)

従って、この妻と結婚した1971年前後が、おそらく、マハダシャー木星期に移行したタイミングだと考えられる。

このタイミングで、木星期に移行することから、ダシャーバランスを修正すると、村上春樹のラグナは獅子座となる。


獅子座ラグナと考えると、彼の作家人生というものを鮮やかに説明することが可能である。

木星期に移行したタイミングを結婚した1971年頃に設定すると、木星期が終わり、土星期に移行するのは1987年となる。

1987年頃、村上春樹が何をしていたかと言えば、『ノルウェイの森』を発表し、上下430万部を売るベストセラーとなり、以後、国民的作家として支持を集めるようになった。

しかし、この1987年以降、彼はぱったりと作品を書かなくなっている。

彼は1986年10月にギリシャ・ローマを巡る旅をし、ヨーロッパに滞在して、1991年1月にニュージャージー州プリンストン大学の客員研究員として招聘されて渡米している。

その後、客員講師に就任して、タフツ大学に移籍して、1994年に『ねじまき鳥クロニクル 第1部』『同 第2部』を発表している。

つまり、1987年から1994年の7年間、彼は全く作家としては空白の期間を迎えていたのである。

充電期間といってもいいかもしれない。


土星期の始まり-社会派のジャーナリストへ-

そして、1994年の『ねじまき鳥クロニクル 第1部』『同 第2部』を発表し、1995年8月に『同 第3部』を発表したが、この作品から彼の作風が変化している。

その作風の変化についてwikipediaには以下のように記されている。

「デタッチメント」から「コミットメント」へ

1994年、『ねじまき鳥クロニクル 第1部』『同 第2部』刊行。1992年から『新潮』に連載されたもので、これまでの最長作品であり、ノモンハン事件などの歴史を織り込みながら人間の中に潜む暴力や悪を描いて話題を集めた。

1995年、1月に起こった阪神・淡路大震災と、3月に起こった地下鉄サリン事件に衝撃を受ける。同年6月、帰国。8月に『ねじまき鳥クロニクル 第3部』刊行、翌年第47回読売文学賞受賞。1997年、地下鉄サリン事件の被害者へのインタビューをまとめたノンフィクション『アンダーグラウンド』刊行。それまではむしろ内向的な作風で社会に無関心な青年を描いてきた村上が、社会問題を真正面から題材にしたことで周囲を驚かせた。1999年、『アンダーグラウンド』の続編で、オウム真理教信者へのインタビューをまとめた『約束された場所で』により第2回桑原武夫学芸賞受賞。2000年、神戸の震災をテーマにした連作集『神の子どもたちはみな踊る』刊行。のちに『神の子どもたちはみな踊る』は映画化される。

この時期、社会的な出来事を題材に取るようになったことについて、村上自身は以下のように「コミットメント」という言葉で言い表している。

それと、コミットメント(かかわり)ということについて最近よく考えるんです。たとえば、小説を書くときでも、コミットメントということがぼくにとってはものすごく大事になってきた。以前はデタッチメント(かかわりのなさ)というのがぼくにとっては大事なことだったんですが

「『ねじまき鳥クロニクル』は、ぼくにとっては第三ステップなのです。まず、アフォリズム、デタッチメントがあって、次に物語を語るという段階があって、やがて、それでも何か足りないというのが自分でわかってきたんです。そこの部分で、コミットメントということがかかわってくるんでしょうね。ぼくもまだよく整理していないのですが」

「コミットメント」はこの時期の村上の変化を表すキーワードとして注目され多数の評論家に取り上げられた。また村上は作品の題材とした震災と地下鉄サリン事件の二つの事件について、この2つは彼にとって別々のものではなく、「ひとつを解くことはおそらく、もうひとつをより明快に解くことになるはずだ」(『辺境・近境』)と考えたと語っている。このため、『神の子どもたちはみな踊る』に収められている作品はすべて震災が起こった1995年の1月と、地下鉄サリン事件が起こった3月との間にあたる2月の出来事を意図的に描いている。

(wikipedia 村上春樹より引用抜粋)


私は村上春樹の作品は『ノルウェーの森』しか読んでいないので、実際、『ねじまき鳥クロニクル 第1部』がどのような作品か分からないが、以下の一文からその作品がマハダシャー土星期に書かれたものであることが容易に推測できる。

『・・・ノモンハン事件などの歴史を織り込みながら人間の中に潜む暴力や悪を描いて話題を集めた・・・』


この作品で彼のスタンスは、デタッチメントからコミットメントに変わり、また人間に潜む暴力や悪といったものを描くという現実主義に転換したのである。

彼が木星期の最後に発表した『ノルウェーの森』は過去のトラウマ(外傷)とそのトラウマからの復活や癒しを描いている。

作風は理想主義的であり、未来への希望に溢れていた。木星期らしい作品である。

またこの頃、村上春樹の作品は社会から一定の距離を置く、孤独な青年を描いていた。

木星は5室の支配星で5室に在住しているが、5室はプライベートなハウスである。

また5室は趣味や恋愛を表すハウスである。

10室が社会を表わすとすると、10室からみた8室目が5室である。

従って、5室とは社会からみたら苦悩や中断(8室)に該当する。

自分の趣味や芸能に夢中になって社会の大きな問題に背を向ける若者がこの当時の彼の作品の中の主人公の特徴である。

実際、村上春樹自身が、本好きの親の影響を受けて小さい頃から本を読み、中学、高校と、河出書房の『世界文学全集』と中央公論社の『世界の文学』を一冊一冊読み上げながら10代を過ごし、大学でも演劇を専攻し、映画の脚本を読みふけり、音楽が好きなので、レコード屋でアルバイトし、ジャズ喫茶に入り浸り、後にジャズ喫茶の従業員になり、最終的にジャズ喫茶を開店するといったように、好きなことばかりやって過ごしてきた人間である。

彼にとってはジャズ喫茶を開店することは趣味の延長線上にあり、仕事ではなかったと推測される。

このような村上春樹は当然、団塊の世代が理想の社会を夢見て繰り広げてきた学園闘争や社会主義運動からも一定の距離を置いてきたに違いない。

つまり、彼が読書好きから作家になったというのも完全に5室の象意である。

獅子座ラグナで5室にラグナロードの太陽が在住し、そこに3、10室支配の金星と、5、8室支配の木星が在住し、強力なラージャヨーガを形成している。

彼自身が5室の象意である趣味、娯楽、プライベートに生きる人間なのである。

そして5室に生きる人間は社会の大きな舞台で起こっているパブリックな事柄からは背を向けるのである。

その彼の5室が表わす彼の人生の特徴自体が、彼の作品の中の登場人物にも投影されて、それで、彼は社会から一定の距離を置く孤独な青年というスタンスになっていたのである。

結局、『ノルウェーの森』の「100パーセントの恋愛小説」というキャッチコピーからも伺えるが、テーマが完全に5室のテーマであり、主人公は社会のことには無関心で、自分自身の友人関係とか恋愛とかに悩んだり、非常に個人的なパーソナルなことに時間を費やしていくストーリーなのである。

しかし、『ノルウェーの森』から7年の歳月が過ぎ、彼の作風が一変してしまった。

再び、彼が作品を発表したのは土星期であった。

土星(責任、責任感)は6、7室支配でラグナに在住して7室(他人)にアスペクトして、7室にアスペクトバックしている。

更に3室(メディア)や10室(職場、社会)にもアスペクトしている。



10室から10室目の支配星で10室の本質のハウスでもある7室の支配星である土星がラグナに在住することによって、彼は責任感から他人や社会に関わらざるを得なくなったのである。

従って、彼のスタンスは、デタッチメントからコミットメントに変わったのである。

彼が社会問題を真正面から題材にし始めたのはその為である。

地下鉄サリン事件の被害者へのインタビューをまとめたノンフィクション『アンダーグラウンド』を発表したり、オウム真理教信者へのインタビューをまとめた『約束された場所で』や、神戸の震災をテーマにした連作集『神の子どもたちはみな踊る』など、皆、社会で虐げられた、被害を受けた、傷ついた人たちであり、そうした人たちに対して責任感から奉仕するというのが、村上春樹のテーマとなったようである。

村上春樹が5室支配の木星期にいたのであれば、ただ彼は物語を書いていればよかったのであるが、土星期に入ってから、彼はまずマハダシャーのレベルで、作品を生み出す5室支配の木星期ではなく、他人とのコミットメントを表わす6、7室支配の土星期というテーマに変化したのである。

村上春樹が空白の期間に海外で教鞭を取っていたタフツ大学の同僚の講師が、彼は日本に帰る決意をしたのは、日本で起こっていたオウム真理教の事件などに対して責任を感じていたようだと語っている。

団塊の世代を代表する彼が当時、文学や音楽に夢中になって、全共闘といった学生運動、共産主義運動から距離を置き、プライベートな生活に生きがいを見出していたのが、遅ればせながら土星期に至って、社会に責任を感じ始めたのである。

土星は責任や責任感をもたらす惑星である。

団塊の世代が社会主義という理想に挫折して、結果的にカルト宗教といったアンダーグラウンドの世界に身を浸す結果となったことに同じ世代を代表する彼が、彼なりの責任を感じたからであると、評論家は語る。

土星期の開始時期とこの彼の作風の変化の時期が全く一致していることから、獅子座ラグナで正しいことが、このタイミングからもよく分かる。



土星期から水星期へ-国際的な評価高まる-


そして、もう一つの大きな変わり目の時期が土星期から水星期へ移行したタイミングである。

村上春樹は2006年から立て続けに名誉ある国際的な団体や政府や自治体から、名誉ある賞を授賞し、国際的に高い評価を受け始めた。

既に書籍が海外に翻訳され、国際的に高い評価を得ていたのであったが、具体的に授賞という形で、その評価がもたらされ始めたのはこの頃からである。

村上春樹はこの頃、フランツ・カフカ賞、フランク・オコナー国際短編賞といった国際的な文学賞を続けて受賞し、2006年度のノーベル文学賞の有力候補として注目された。

2007年には朝日賞、第一回早稲田大学坪内逍遥大賞を受賞し、リエージュ大学から名誉博士号を授与されている。

2008年にはプリンストン大学から文学博士号を授与され、カリフォルニア大学バークレー校から第1回バークレー日本賞を授与されている。

2009年にはイスラエルからエルサレム賞を受賞し、毎日出版文化賞を受賞、更にスペインからスペイン芸術文学勲章を受勲している。

そして、2011年には、スペインのカタルーニャ州からカタルーニャ国際賞を受賞。

2012年には小林秀雄賞を受賞している。


このように2006年頃から名誉ある賞や勲章を立て続けに得ており、明らかに高い評価や称号を表わす11室の象意が出ている。

この頃、おそらくマハダシャー水星期への移行が生じたのであり、水星は11室(授賞、称号、評価)の支配星である。

水星は獅子座ラグナから見ると、2、11室支配で4、9室支配の高揚する火星と6室で、2−9、9−11室のダナヨーガを形成している。

そして、この高揚する火星との間で形成する強いダナヨーガは海外を表わす12室へアスペクトしている。

そのために、村上春樹の名声は国内よりもむしろ、海外から来ているのである。


水星は分割図を見ると、確かに強く、例えば、ナヴァムシャ(9分割図)では月からみた9室に2、9室支配の金星が牡牛座自室に在住し、そこに1、10室支配の水星が接合して、ラージャヨーガを形成し、更に木星がその金星、水星にアスペクトしている。

月と木星はガージャケーサリーヨーガを形成している。

更に水星はシャシティアームシャ(60分割図)では乙女座で高揚し、魚座で自室の木星からアスペクトを受けている。


然し、このように高く評価される一方で、村上春樹に対する批判も高まっており、特に今年になって出版された 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』は、彼の文学の明らかな衰退の徴であるとして酷評までされている。

これは明らかに他者から批判を受ける6室の象意である。

他にも6室の象意として明らかなのは、2009年のイスラエル賞の授賞式では、イスラエルによるガザ侵攻について、ペレス大統領の前で批判した。

更に2011年のカタルーニャ国際賞の受賞スピーチでは日本の原子力政策を批判し、2012年には、『朝日新聞』朝刊にエッセイ「魂の行き来する道筋」を寄稿し、その中で、日中間の尖閣諸島問題や日韓間の竹島問題によって東アジアの文化交流が破壊される事態について警告を発している。

こうした村上春樹のスタンスは、明らかに6室に在住する水星の賞意であり、高い評価を受ける一方で、自分も攻撃的、好戦的であり、更にこうした英雄的スピーチをしたにも関わらず、ストレートに彼を評価するのではなく、そのスピーチに対する評価も賛否両論で割れている。

村上春樹が東電と「効率社会」批判 スペインでのスピーチ内容に賛否両論
2011/6/11 17:28 JCASTニュース

世界的作家の村上春樹さんが2011年6月9日(現地時間)、スペインのカタルーニャ国際賞授賞式でスピーチした。大震災で原発事故を起した東電を批判し、効率を求めてきた社会に疑問を投げかけた。ネット上では、賛否両方の意見が寄せられている。 グレーのジャケットをまとった村上さんは約22分間、よく通る低い声で身振り手振りをまじえながら日本語で話した。 「核に対する『ノー』を叫び続けるべきだった」

スピーチの話題は必然的に、3月11日に東日本を襲った大地震のことに及んだ。村上さんは「大地震で日本人は激しいショックを受けたが、結局は復興に向けて立ち上がっていくだろう。壊れた家屋は建て直せるが、倫理や規範は簡単に元通りにはできません」などと指摘した。

その矛先は、原発事故を起した東京電力に向かう。原発事故による悲惨な結果を招いたのは、建設した者が津波を予想していなかったことなどを挙げたうえで、「何百年かに一度あるかないかという大津波のために、大金を投資するのは、営利企業の歓迎するところではなかったから」「政府も、原子力政策を推し進めるために、その安全基準のレベルを下げていた節が見受けられます」などと批判した。

ただし、こうした「歪んだ構造」を「許してきた」、「黙認してきた」国民にも責任があり、加害者であると表現した。広島に落とされた原子爆弾を引き合いに、「核」への拒否感が揺らいだのは「効率」ではないかと持論を展開。「我々日本人は核に対する『ノー』を叫び続けるべきだった。それが僕の意見です」「『効率』や『便宜』という名前を持つ災厄の犬たちに追いつかせてはなりません。我々は力強い足取りで前に進んでいく『非現実的な夢想家』でなくてはならない」などと述べた。
「僕らは簡単に『効率』を捨てることができるのだろうか」

スピーチの様子は、テレビ朝日がwebサイトで動画を掲載しているほか、毎日新聞がweb版でスピーチ全文を掲載し、ネット上で注目を集めた。2011年6月11日16時現在、毎日新聞の記事は、異例とも言える1万回以上がツイートされているほどだ。

スピーチの内容に対して、賛否の意見が寄せられている。肯定的な意見は「原発反対について、きちんとメディアで話すことは、責任も生じるかもしれないが、やっぱり必要なことだと思う」「脱原発を望む人たちが感じていることを村上節に翻訳してスピーチしてくれた気がする」「しっくり来た。あと自分自身にも非難の目を向けるって視点は意外と見過ごされてるから」「村上さんが本当に言いたいことは『効率』でなにもかもを語ってしまうことの愚かしさなんじゃないか」といったものだ。

一方で、批判的な意見や疑問も少なくない。「『効率』だけを求めて生きてきたから、このような事故を引き起こしてしまったんだろうか。たとえそうであっても僕らは簡単に『効率』を捨てることができるのだろうか」「彼自身が被災地にいたのなら、もっと違う角度で切り込みが出来ただろうに残念」「そんなに発言力があるのに反原発を叫ばなかったの?」「(想定の有無や効率よりも、東電の)事後の対応のまずさも大きいのでは」「外国で言わずに日本のマスコミの前で言ってください。インタビューを生中継で受けてその場で話して下さい」などだ。

2009年にはイスラエルでのスピーチが物議

村上さんはメディアへの露出の少ない作家だが、2009年2月にはイスラエルで行われたエルサレム賞の受賞式でスピーチし、話題を集めた。当時、ガザの騒乱でイスラエル政府が非難されている中で、出席すべきではない、との批判もあった。 スピーチの中で村上さんは「もしここに硬い大きな壁があり、そこにぶつかって割れる卵があったとしたら、私は常に卵の側に立つ」と言い、個人と社会のあり方を「卵」と「壁」にたとえた。
このスピーチは欧米マスコミから、イスラエル政府のガザ攻撃を非難したものだという受け止めが出るなど、世界的な注目を集めた。

これは11室の象意がある一方で、6室の象意も混在するという状況であり、この複雑な状況をもたらすことのできる配置は、11室支配の水星が、9室支配で6室で高揚する火星と6室で接合する配置なのである。


村上文学の衰退の兆し

現在、マハダシャーは水星期で、アンタルダシャーはおそらく太陽期である。太陽は水星からみて8室支配で12室に在住して、5室支配の金星と接合している。

従って、今は彼の創造性が停滞する時期なのである。


村上春樹はマハダシャー土星期に入って、社会派のノンフィクションライターになり、インタビューや取材をして社会問題を炙り出すといった仕事をし始め、彼の作風も大きく変貌したが、この頃は、土星から見ると、ラグナロードの太陽と、5室支配の木星と3、10室支配の金星が5室に在住していたので、まだ創作力の衰えは見せていなかった。

然し、水星期に入ると、11室の支配星であるため、高い評価を得たが、そこには創作、創造性の5室の象意は見られない。(※月からみると5室の支配星ではある)


むしろ、水星からみて12室に惑星が集中し、そこに水星からみた5室の支配星も在住し、8室の支配星と接合して、創造性の中断が見られる。

村上春樹がここに来て、彼の文学に明らかな衰えが見られるとして、酷評を受けているのはそのためである。

従って、彼は今、才能(創造性)の枯渇に苦しんでいるはずである。

既に作家として最も創造的な時代は、『ノルウェーの森』の辺りで終わっていたのである。これが木星期の最後の作品である。

そして、土星期には自らの人生のテーマが、創作よりも、他者との関わりに転じたため、本来、持っている文才はそのような社会的な作品を描くことに用いられた。

土星から見ると5室には木星、太陽、金星が在住しているため、アンタルダシャーレベルでは創作力を示すことができたと思われる。

現在、村上春樹は、あまりにも高い評価を受けてしまい、それと対照的に彼の創造性は、かつてないほどに萎縮している。

従って、おそらく、この次に彼におとずれる危険性は自分の過去の作品の模倣である。


人が11室の象意により、高い評価を受け、賞賛される時、既にその人が最も創造的な仕事をする時期は終わりを遂げているのである。

それは11室は、10室(仕事)からみた2番目の部屋であり、仕事の結果のハウスだからである。 (※あるハウスからみた2室目はあるハウスの結果のハウスと呼ばれる)

そして、11室にとっては、残すところ、12室(肉体からの離脱、死、終焉)の一つ前のハウスだからである。

もはや11室を経験した人にとっては、それ以上することは残されていないのだ。

村上春樹の作風と人物像について振り返る

村上春樹が獅子座ラグナであるとすると、彼の作家としての才能や作品のテーマ、作風といったものについて納得できるのである。

獅子座ラグナから見ると、ラグナロードの太陽が5室に在住し、5、8室支配で自室に在住する木星や3、10室支配の金星と接合しているが、この強力な射手座5室で形成される1−5、5−10室のラージャヨーガが彼の創造性の源である。ラグナロードが5室に在住していることから、人生のテーマが創作活動であり、作家として作品を生み出すことであったと考えられる。その5室の惑星群は11室にアスペクトしているため、創作活動を通して、高い評価を受け、そこから収入も得られることを表わしている。 こうした5室への吉星群の集中はまさに芸術家にとって理想的な配置である。

射手座とは高く飛翔する星座であり、その跳躍力はとてつもない。国際的に評価され、ノーベル文学賞にまで手が届かんとした勢いは、まさに彼の5室が射手座であるところから来ていると思われる。

然し、彼は日本の純文学を志向する文学青年とは一線を画して、スコット・フィッツジェラルド、トルーマン・カポーティ、リチャード・ブローティガン、カート・ヴォネガット、レイモンド・チャンドラーといったアメリカの文学者たちの作品を愛好し、またジャズ音楽(これもアメリカ発祥の音楽)を好んだ。

彼が最も影響を受けた作品の一つが、スコット・フィッツジェラルドの『グレートギャツビー』である。

彼はおそらくアメリカのクールで現実主義の世界観を好むのであり、アメリカのプラグマティズムに代表される実践的で物質主義的な価値観を好んでいると言える。

これはアメリカ合衆国の特徴であり、アメリカは西部開拓史の時代からフロンティア精神(開拓者精神)に溢れる人々が築いた歴史の浅い社会である。

アメリカ国民はその成立の歴史を通して、拡大志向や、物質的繁栄と言った価値観を身につけたと言える。

成功哲学というのは、このアメリカの物質志向のフロンティア精神から生まれたところがある。

兼ねてから私は主張しているが、自己実現セミナーで教えられる成功哲学というのは、典型的な射手座の象意なのである。

つまり、成功哲学というのは、精神的に豊かになり、幸福になると同時に、お金持ちや、物質的に豊かになることも目指すのである。

東洋のように精神的な解脱をゴールにするのではなく、むしろ、精神的な修練を通して、物質的な繁栄という目標を得ようとするのである。


これは射手座の価値観そのものである。射手座はどんなに精神的なことを探求している人であっても、必ず成功とは無縁ではない。

むしろ、必ず、物質的に成功し、富や社会的地位、名声を得るのが射手座である。

射手座ラグナにとっての木星はラグナロードであるにも関わらず、1室と4室という2つのケンドラを支配することによって、機能的には中立に分類される。

これは非常に奇怪なことであるが、後で私が納得したことは、成功哲学を信奉する人たちは、皆、金持ちになると何をしたいかといえば、大きな邸宅を買って、いい車を買って、ヨットを買って、リタイアすることなのである。

それが彼らの人生の目標である。

おそらく、ラグナロードが同時に4室(家、車、ヨット、心の安定、プライベート)を支配しているので、彼らにとっての自己実現とは、最終的に4室の象意を最大限に高めることなのである。

また、この射手座の精神とは、つまり、アメリカの物質主義の精神そのものではないかと思うのである。

アメリカは西洋社会で非常に深く探求された哲学の歴史、例えばドイツ観念論などの哲学からは学ばず、またマルクス主義にも関心を示さず、哲学は、単にプラグマティズム(実用主義、道具主義、実際主義)としてのみ伝わった社会である。

西洋合理主義で練磨された形而上学からほとんど学ばず、ただ理性は実利や実益の面からのみプラグマティズムという形で探求された。

おそらく村上春樹は5室に惑星集中することによって、このアメリカ文明の中の物質志向や、フロンティア精神に惹かれているのである。

アメリカの建国図を見ても、5室が射手座に該当するが、射手座の5室がアメリカ人の考え方や理想のように思われる。


まず、村上春樹は射手座に5室に惑星集中することによって、生来的にアメリカの文明や思想に惹かれたのである。

『グレートギャツビー』の主人公も、非常に正体不明の人物が、なぜか、大成功し、大富豪となって、ある彼の個人的な目的のために連日パーティーを開いているのであるが、このギャツビーなる主人公は、 精神的発達(成熟、幸せ)が、物質的な成功と合致していない、非常にアメリカ的な人物である。

アメリカンドリームを体現した人物なのであるが、何故か、心に未成熟なものを抱えている人物である。

従って、非常に『グレートギャツビー』は精神的には未熟な若者の物語である。


村上春樹の作品は、人間が描けていないとか、リアリズムに欠けるとか色々言われるが、おそらく、そうした評価は、射手座の性質に対しての評価だと考えてもいいかもしれない。

射手座というのは、開拓者精神に溢れていて、楽観的であり、物質的には高く跳躍するが、その代わり深みに欠けるのである。

私が『ノルウェーの森』を読んで感じたことは、やはり同じようなことである。

ワタナベトオル、キズキ、直子といった3人組みの仲良しの友人たちがいて、その中の1人が自殺することによって、残りの2人が心に傷を負って生きていくという青年の心の苦悩の物語なのであるが、私は、この友人の自殺についても、その結果、直子が精神病になることにも、リアリティを全く感じられなかった。

何か、親友の自殺というセンセーショナルな事件を作品の中に持ち込んで、それを安易に現代社会の問題である心の病(精神病)の問題に結びつけているが、そこにリアリズムがないのである。

何故かというと、精神病というのは、もっと母親、父親とか、濃密な家族関係をベースにして発病するものであり、もっと距離の近い血縁関係の中での繊細な問題なのである。

また心理的外傷はそんなにセンセーショナルな事件によって与えられるというよりも、むしろ、日常的な出来事の繰り返しによって生み出される。

私はどうも親友が自殺したことで、精神病に陥り、自殺にまで追い込まれるという心理に全くリアリズムを感じなかった。


村上春樹はアメリカの作家やジャズといったアメリカ文明に惹かれてきた。

アメリカからもし学ぶとすれば、それは新しさとか、躍動感、現代性、物質的成功(成功哲学)であり、これらに惹かれることは精神的には浅いということを意味している。



三島由紀夫との共通点

非常に興味深いことであるが、以前から何度か言及してきた三島由紀夫と、村上春樹の出生図の5室が似ているのだ。

村上春樹は獅子座ラグナで射手座5室に太陽、金星、木星が在住しているが、三島由紀夫も獅子座ラグナで5室の射手座に木星、水星、金星が在住している。

5室の射手座に木星と金星が在住している所で共通している。

三島由紀夫は、”人工性・構築性にあふれる唯美的な作風"(wikipediaより)と評価されており、 作品のために自らの文体を変えたり、非常に技巧的な作家であった。

ボディビルを始めた同年の1955年(昭和30年)11月には、京都に取材に行き、1950年(昭和25年)に起こった、青年僧による金閣寺放火事件を題材にした次回作の執筆にとりかかる。『仮面の告白』から取り入れていた森鴎外的な硬質な文体をさらに鍛え上げ、「肉体改造」のみならず「文体改造」も行った。その双方を磨き上げ昇華した独特の壮麗な文体を確立し、広く高い評価を得たのが長編小説『金閣寺』である。この作品は1956年(昭和31年)1月から10月まで「新潮」に連載され、三島文学の代表作となった。(wikipedia 三島由紀夫より引用抜粋)

同じく、村上春樹も、作品のために人称を変化させるといった試みをしたり、隠喩の用い方が巧みなことで知られている。

一人称の中に手紙や回想が挿入される『ねじまき鳥クロニクル』、すべて三人称で書かれた『神の子どもたちはみな踊る』、一人称と三人称が交互に現れる『海辺のカフカ』、三人称に「私たち」という一人称複数が加わる『アフターダーク』と、作品で人称の変化について様々な試みを行なっている。(wikipedia 村上春樹より引用抜粋)

非常に技術的に巧みであり、積極的に実験をしたり、新しいものを取り入れたりといった冒険精神に富んでいることが分かる。


また以下のように三島由紀夫の作品も海外でも高い評価を受け、また海外で多くの人に読まれたという。文学者だけに評価されたという訳ではなく、実際に多くの外国の人が読みたがったということである。

この時期には、三島文学が翻訳を介しヨーロッパやアメリカなどで紹介されるようになり、舞台上演も数多く行われた(世界各国への三島文学紹介者として、アイヴァン・モリス、ドナルド・キーン、エドワード・G・サイデンステッカーなどが著名である)。以降、三島作品は世界的に高く評価されるようになる。国連事務総長だったダグ・ハマーショルドは、1961年(昭和36年)に赴任先で事故死の直前に、『金閣寺』を読了し、ノーベル財団委員宛の手紙で大絶賛したという。また、『真夏の死』、『宴のあと』は、フォルメントール国際文学賞第2位を受賞した。ドナルド・キーンは、「三島以前の日本文学者の翻訳は、特殊に研究している人や関心のある人によって読まれていたが、三島の場合は一般の人達まで興味を持って読まれている。『サド侯爵夫人』は古典劇にも近いために、フランスでは地方の劇場でも上演されている。それは特別な依頼ではなく、見たい人が多いから」としている。(wikipedia 三島由紀夫より引用抜粋)

二人に共通するのは、非常に文章が巧みでテクニシャンであるということである。

三島由紀夫の作風について書かれた以下の記述が非常に興味深い。

三島文学の文体は、終始レトリックを多様に使っているところが最大の特徴である。日本人作家でありながら、その表現方法は、他の日本人作家よりも、外国人作家に近い。長岡實は、「日本の文学愛好者の中にはどちらかというと淡泊でむしろ余韻のある文章を好んで読む傾向があるが、三島作品はどちらかというと濃密な表現を積み重ねていく文学である。こうした点で外国の文豪にも通じ、世界的に高い評価を得ているのではないか?」と分析している。

三島文学の作風としては生と死、文と武、精神と肉体、言葉と行動といった二元論的思考がみられるが、単純な対立関係ではないところに特徴がある(本人曰く、「『太陽と鉄』は私のほとんど宿命的な二元論的思考の絵解きのようなものである」と述べている)。 代表作の一つ『仮面の告白』の題については、「仮面を被る」のが告白と反対になる概念であるが、両者をアイロニカルに接合している事が指摘される。『純白の夜』、『愛の渇き』、『美徳のよろめき』、『春の雪』なども、反対の概念をアイロニカルに組み合わせた題の例である。(wikipedia 三島由紀夫より引用抜粋)

この三島の文体についての記述は、村上春樹が、自分の文体について様々に実験的に試みたり、非常に巧みな筆力があったことと共通している部分である。この筆力というものは、元々能力の高い射手座から来ていると思われる。

対となる概念をアイロニカルに用いたということも、 村上春樹が隠喩を巧みに使うことと比較して興味深い。

”人工性・構築性にあふれる唯美的な作風”といった評価は、まさに村上春樹への評価と非常に近いものがある。

wikipediaによれば、村上春樹の作風は、”アメリカ的・無国籍的とも評され、その世界的普遍性が高く評価されてもいる”のだという。

つまり、この二人の作品は、無国籍的で、普遍性があり、海外の人たちの間で一般受けするのである。



家族や家族愛を描かない村上春樹

村上春樹の作品の中には、何故か、家族や家族関係が登場しないというのは非常に重要なポイントである。

これは何故かと考えると、民族や伝統、家族愛、祖国愛、人情、母親、先祖といった土着の生々しいしがらみを表わす蟹座が射手座からみて8室(苦悩)だからである。

従って、射手座の人は、家族から遠く離れて暮らしたり、家族とあまり関わらないで生きていく人が多いのである。

従って、5室の射手座に惑星集中する村上春樹の作品は、いつも、民族とか、国家、伝統、家族といった地縁、血縁、土着のしがらみを持たないで、それらから距離を置いた若い青年の物語となるのである。

射手座の人たちは、民族とか伝統が苦手なのである。

従って、それらのものから距離を置くことによって、無国籍的、普遍的になるのである。

村上春樹の文学がしばしば普遍的と評されるのは、それが為である。そして、三島由紀夫の作品が、多くの海外の人から読まれ、海外の人たちが作品の中に普遍性を感じ取ったのは、この日本という土着のしがらみから距離を置いた作品に対して、普遍性を感じ取ったからである。

これが村上作品の秘密である。


村上春樹は全く、民族、国家、伝統、家族の絆、地縁血縁的なものを描くことができない。

このことは、日本の伝統と文化を守る民族主義メディア・チャンネル桜の解説者・水島聡氏が指摘している。

日本の民族主義者という立場から、団塊の世代を代表する村上春樹の作品が、世界平和や社会主義的な理想を求めて、全共闘運動に没頭する当時の戦後的価値観の中で、民族や伝統といったものから距離を置きつつ、また社会主義運動といった当時の集団的な社会運動からも一定の距離を置きながら、理想を追求した彼の独自の試みが挫折して破綻したのだと、痛烈に批判している。

それは蟹座の民族主義者からの射手座に対する批判に思えてならない。

繰り返すが、射手座から見ると、蟹座は8室であり、彼の文学には家族、家族愛、祖国愛といった土着の人間的しがらみがほとんど登場しないのである。

しかし、それらは存在しないのではなく、存在し続けており、彼が作品の中で示さないだけなのである。


物語を紡ぎだす-獅子座の個人性というスタイル
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因みに村上春樹は、よくジーンとTシャツで講演をしているようであるが、そのラフなスタイルはまさに獅子座の特徴である。

彼は土星期に移行してから、オウム真理教の元信者への取材で、集団が持つ暴力に気づき、この集団の力を「システム」と呼んだ。

作家の役割とは、このシステムから逃れるために物語をつむぎ出すことだという。

神話とか原理に対向し得る物語を創り出すことが作家の役割だというのだ。

物語を創り出すというのは、集団の力に屈しないで、個性的な価値観や生き方を提示することであり、それは獅子座のスタイルそのものである。

獅子座は王室のハウスであり、国家の中で最も個性的で中心にいて輝いているのが王である。

映画俳優でも獅子座が強い俳優は、典型的に主役しか演じれない俳優となる。主役とは他に並び立つもののない個性である。

日本最古の演劇と言われる能楽も昔は王様自ら余興で舞ったのであり、豊臣秀吉も能を舞ったと言われるが、獅子座は唯一にして最も個性的な物語を自ら演じる星座なのである。

村上春樹の作品の中に登場する主人公たちは、皆、個性的で、人に影響されないで独自の道を歩んでいる。

彼の作品では獅子座というのは最も重要なキーワードである。


三島由紀夫のラーフ期-民族主義者としての自決-


因みに三島由紀夫も同じ獅子座ラグナであるが、何故、彼は最後に陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地で総監を人質にして立て籠もり、自衛隊の決起・クーデターを促す演説をして、自決するほどに過激な民族主義者となったのか。

その理由は彼の蟹座12室にラーフが在住し、そこに天秤座から土星、太陽がアスペクトしていたからである。

彼はマハダシャーラーフ期に自殺しているため、蟹座12室のラーフとはまさに彼の民族主義者としての過激なパフォーマンスを表わしており、祖国や民族、日本の伝統や家族といった価値を守るために行った絶望的に野心的な試みである。

それはまさに蟹座が民族主義の星座であることを表わしている。

三島由紀夫は12室のラーフ期になって全く創造性がなくなり、作品を生み出すことが出来なくなったのだが、それを補う形で、政治的な活動に傾いていくのである。

蟹座のラーフはまさに三島由紀夫の晩年の民族主義者としての狂気を象徴している。

若い頃は、射手座の5室の象意によってその日本人離れした作風によって、海外からも評価されたが、晩年になって蟹座のラーフ期に民族主義者になるというのは、村上春樹が何故、蟹座の家族や家族愛といったテーマについて書かないかの理由として、非常に納得できる。

蟹座はまさに民族、家族、伝統といった民族主義者の価値観を表わしていることがこのことからよく分かる。


マハダシャー水星期に彼の文学はどこへ向かっていくのか?

マハダシャー水星期になってから長編小説『1Q84』を発表し、この作品は売上げ部数こそ伸ばしたが、やはり、否定的な評価が多かったようである。

そして、この水星期に入ってからの二作目となる 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』が酷評を受けている。

村上作品の中で、いまだかつて無いほど、面白くないという評価なのである。

おそらく、これはマハダシャーの水星もそうだが、アンタルダシャーの太陽が影響しているのではないかと思われる。

水星からみて太陽は8室支配で12室に在住している。8室は停滞や中断、災難を表わしている。


水星は月からみた5室の支配星で分割図でも強いため、これで彼の作家としての創作が終わりを遂げるということではないのである。

しかし、水星期の彼の文筆活動は前途多難である。

水星は文筆の惑星であり、また月からみて5室の支配星であるため、彼は今後も創作を続けていくと思われるが、作品が面白くないという評価も今後も付きまとうことが予想される。

村上作品を継続して読み込んでいる評論家の意見でも、村上作品は『ノルウェーの森』まではよかったが、それ以降は変質したという意見が多い。

『ノルウェーの森』は木星期の創作であり、理想主義や、希望に溢れていた。

作品の中で、外傷からの復活と再生という創造的な道筋を示した。

然し、水星期は水星は現実主義の山羊座に在住して、12室に惑星が集中している。

山羊座は木星が減衰する星座である。そして、水星は6室に在住しているので現状に不満があり、批判的である。

そして、12室への惑星集中は喪失感や、状況を打開できない閉塞感を表わしている。

従って、彼は、良識ある知識人として、イスラエルのパレスチナ問題批判を行ない、日本の原発政策批判を行なうが、何か理想の未来を創造し、指し示すことが出来ない。

単なる批判に終始して、新たな価値や美を創造することが出来ないのである。

これが問題であり、彼は普通の平均的なモラリストになってしまい、芸術家ではなくなったのだ。

『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』の最後の場面で、主人公が、以下のように過去を肯定して語る場面があるという。

「すべてが時の流れに消えてしまったわけじゃないんだ」

「僕らはあのころ何かを強く信じていたし、何かを強く信じることのできる自分を持っていた。そんな思いがそのままどこかに虚しく消えてしまうことはない」


この二行に示された村上春樹の結論が、水島聡氏によれば、およそ、芸術家らしからぬ発言であるという。

この二行に示された結論は、理想主義ではなく、現実許容であり、諦めである。

現状に不満があるが、閉塞感を抱えたまま、それを受け入れる。然し、何の解決や未来への希望も示していないのである。

これは水星期が示す彼の人生自体の行き詰まり感が、作品にそのまま示されていると考えることができる。


村上春樹はどこへ向かっているのか?

団塊の世代に生まれ、同世代の学生たちが、全共闘の学園闘争に明け暮れ、その後、理想に挫折して、社会に復帰して行ったが、彼自身は社会主義運動からは距離を置いて、彼独自のスタイルで、価値や、理想を追求していた。

土着の地域性や民族性に縛られず、何か作品の中で、普遍的な理想を追求していた。

その歩み自体は、読者は皆、興味深く、見守っていたのである。

然し、その後、同世代の仲間たちが、理想を失い、また社会にも復帰できずに、その結果、オウム真理教などの宗教にのめり込んでいったという現実に気づいて、同じ世代を代表する人間として、深く責任を感じ、そうした仲間達の現状や、理想に挫折したものたちの境遇を取材した。

この時点で、彼は理想を創造する芸術家からジャーナリストに変貌した。

そして、最終的に彼は良識ある知識人として、モラルの欠如を批判する、批評家となった。

彼は未来に価値や理想を示すことができず、過去に信じていたもの、すなわち、同世代の仲間たちが信じていた共産主義運動、社会主義運動が挫折したことも無駄ではなかったとして、きっと、意味はあるはずだと、過去を肯定する。

然し、そこには喜びはないのである。現実の受け入れと諦めしかない。 あるいは閉塞感の中での絶望しかないのである。

村上文学は、ついに水星期に来て、理想に挫折して、ただ不満を抱えたまま現状への批判を繰り返している。

何か読者に新しい未来を指し示すことが出来ない。そうした厳しい苦境に堕してしまったのである。

従って、今の村上文学からは読者は学ぶことが難しい。

村上春樹の意図を深読みして、一生懸命考えても、村上春樹自身が、この閉塞感から脱出する未来や希望を示せていないのであり、作品の中身が空っぽなのである。



村上春樹「バカ売れ新作を爆笑問題・太田光がクソミソ酷評!」
国内2013/5/22 10:16 - アサ芸プラス

 3年ぶりに新作「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」(文藝春秋)を発表した作家・村上春樹氏(64)。発売わずか1週間で100万部超えのバカ売れ状態だが、これに爆笑問題・太田光(47)がかみついた。

 以前から村上氏について、たびたび口撃を続けていた太田だが、4月30日放送のラジオ番組「爆笑問題カーボーイ」(TBSラジオ)で、この空前の大ベストセラーに対して、またもや猛烈なバッシングを繰り広げたのだ。

「村上春樹がなぜつまらないかわかった。俺に言わせれば、人間を描けてないってことなんだよね。登場人物が自分だけが特別だって意識の人たちで、涼しげに思わせぶりなことを言うだけでちっとも感情的じゃない。それと翻訳みたいな言葉ばかりで、そんな会話しているやつなんかいねぇだろって!  大事な根幹の部分を飛ばしちゃって涼しいままで終わっているから、ふざけんじゃねえよって感じなんだよ。やっぱり村上春樹は認められない。俺みたいな野良犬がキャンキャンほえたって何も影響ないから言うんだけど」

 ノーベル文学賞に最も近い作家をこうクソミソに酷評したのだ。ネットでは「ハルキスト」たちが賛否両論の意見をぶつけ合っているが、ベテランの文芸編集者が言う。

「文芸作家として村上春樹氏が評価されたのはデビュー作『風の歌を聴け』において、セックスと死をテーマとする小説を批判したことでした。それらは明治以降の近代文学で必須として描かれたテーマで、村上氏はそうした歴史を全否定するところから出発し、その試みと姿勢が高く評価されたのです。しかし、初期の『羊三部作』でその試みは終わりました」

 もともと初期作品のファンだったという太田だが、それだけに最近の作品については裏切られたという思いがあるのだろうか。

 文芸評論家の永江朗氏が「太田の意見も一理ある」としながら、こう解説する。

「私も新刊が出た瞬間に100万部売れなくても‥‥という印象です。初期の作品は大好きですが、『ノルウェイの森』から変わったなと思っています。10万部で終わっていた人が100万部という別のステージに行ったということなんでしょう。『羊三部作』が好きだったファンには裏切りに映るのかもしれませんが、逆に声の届く範囲が広がったとも言える。海外に拠点を移して以降は、文章が日本人読者だけを対象にしていないという印象も受けますね。描写も翻訳を前提にしているような書き方になった気がします」

 もはや世界を相手に作品を発表する村上氏に対し、

「中身がゼロ」

「あんなの小説じゃねぇ、誰でも書けるよ!」

 と舌鋒が止まらない太田だが、自身も小説を発表したこともあるだけに批評よりも作品で勝負を挑んではどうだろうか。
部品はみんな村上春樹なんだけど、なんにも面白くない。「多崎つくる」メッタ斬り!の凄い毒舌
エキサイトレビュー 2013年5月17日 11時00分 (2013年5月20日 03時16分 更新)

『村上春樹「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」メッタ斬り!』 あのメッタ斬りの二人が春樹の新刊をメッタ斬り!

わはは。もう凄いでやんす。

「メッタ斬り!」は、文学界毒舌漫才コンビ名。ライターであり素晴らしい海外文学を紹介する豊崎由美と、SF翻訳家かつSF書評家かつSFアンソロジストであるSFモノ大森望。

文学賞&選考委員をメッタ斬りする二人の話をわははと笑いながら読んでいると、文学賞地図が脳内にできてしまうミラクルな本が『文学賞メッタ斬り!』。芥川賞&直木賞の選考委員(大御所)をディスり、毒舌をふりまき、こきおろし、旧弊さに辟易としていた文学ファンから喝采を浴び、一躍人気者に。

その二人が今回メッタ斬ったのが、村上春樹のベストセラー『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』。

で、また、これが、凄い毒舌&メッタ斬りっぷりでありました。

まず、ふたりのスタンスが。

豊崎:今回、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』には、これまでにないくらい失望させられました。読む前と読んだあとでは、自分の中の村上春樹観が変わったくらいの衝撃的ながっかり感。

大森:部品はみんな村上春樹なんだけど、なんにも面白くない。「村上春樹って、いったいなにが面白かったんだっけ?」と。

はっ、完全否定であります!

ニュースでも流れた発売解禁イベントを、しっかり“版元肝煎りのイベントがありました”と紹介し、その様子をリポート、「ボージョレ・ヌーボーか!」とツッコんでから、物語のさわりを紹介。

その後はネタばれ全開で、もう次々と罵倒の嵐が繰り出されます。

とはいえ、もちろん話芸としての完成度高く、下品な悪口を垂れ流してるのではなく、笑える下品な毒舌になっているのです。

メッタ斬りの語り(たとえば『ラジカントロプス2.0文学賞メッタ斬り!SP 第148回結果編』(2013年1月21日OA))を聞いていれば、ふたりの話し声がよみがえってきて、爆笑度もアップでしょう。

『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を夢中で読んだぼくでも(参照:最速レビュー。村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』に驚いた)メッタ斬られてるのがおもしろい、という不思議な読後感。

「大人気だから読んだけど、ぜんぜんつまんなかったっ!」「あんなに人気になってわーわー言われてるの解せないッ!」「もう読む気もないけどなんかシャクだ」って人は、ぜひ『村上春樹「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」メッタ斬り!』を読んで、溜飲を下げるといいんじゃないかなー。…



西暦 年月 出来事 V.Dasha C.Dasha Transit
1949年 1月12日 京都府京都市伏見区で生まれる。 火星/木星 獅子座/乙女座
1961年 西宮市立香櫨園小学校卒業。 ラーフ/土星
ラーフ/水星
乙女座/牡羊座
乙女座/牡牛座
1964年 芦屋市立精道中学校卒業。 ラーフ/水星
ラーフ/ケートゥ
乙女座/獅子座
乙女座/乙女座
1967年 兵庫県立神戸高等学校卒業。 ラーフ/金星 蠍座/天秤座
〜蠍座/牡牛座
1968年 早稲田大学第一文学部に入学、演劇専修へ進む。在学中は演劇博物館にて映画の脚本を読みふけり、映画脚本家を目指してシナリオを執筆などもしていたが、大学へはほとんど行かず、新宿でレコード屋のアルバイトをしながら歌舞伎町のジャズ喫茶に入り浸る日々を送る。 ラーフ/金星
ラーフ/太陽
蠍座/牡羊座
〜蠍座/蠍座
1971年 高橋陽子と学生結婚する。
一時、文京区で寝具店を営む夫人の家に間借りする。
ラーフ/火星
木星/木星
射手座/乙女座
木星R:蠍座
土星:牡牛座
DT:4室7室、10室
1973年 国分寺にジャズ喫茶『ピーターキャット』を開き、オーナーとなる(1977年に千駄ヶ谷に移転)。 木星/木星
木星/土星
射手座/蟹座
1974年 国分寺にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を開店(店名は以前飼っていた猫の名前から、夜間はジャズバー)。開店資金は500万円で、半分は夫婦でアルバイトをして貯め、残りは高橋陽子の両親からの借金であった。 木星/土星 射手座/双子座
1975年 早稲田大学第一文学部映画演劇科を卒業(7年間在学)。
卒業論文題目は「アメリカ映画における旅の系譜」でニューシネマ『イージー・ライダー』を論じた。指導教授は印南高一(印南喬)。
木星/土星 射手座/牡牛座
1977年 ジャズ喫茶「ピーター・キャット」を千駄ヶ谷に移す。 木星/水星 射手座/魚座
1979年 店の近所にあった明治神宮野球場でプロ野球の試合を観戦中に小説を書くことを思い立ったという。それからはジャズ喫茶を経営する傍ら、毎晩キッチンテーブルでビールを飲みながら作品を書き続けて『群像』に応募。

6月、 『風の歌を聴け』で第22回群像新人文学賞を受賞し、デビュー。

同年、「風の歌を聴け」が第81回芥川龍之介賞および第1回野間文芸新人賞候補
木星/ケートゥ
木星/金星
射手座/山羊座
1980年 「1973年のピンボール」で第83回芥川龍之介賞および第2回野間文芸新人賞候補となる。 木星/金星 射手座/射手座
1981年 ジャズ喫茶『ピーターキャット』を友人に譲り、小説家業に専念。 木星/金星 山羊座/射手座
〜山羊座/天秤座
1982年 初の翻訳集『マイロストシティー フィッツジェラルド作品集』を刊行。

また、初の本格長編小説『羊をめぐる冒険』で第4回野間文芸新人賞を受賞。
木星/金星
木星/太陽
山羊座/天秤座
山羊座/乙女座
1985年 2つの物語が交互に進行していく長編『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』発表、第21回谷崎潤一郎賞受賞。 木星/火星
木星/ラーフ
山羊座/魚座
山羊座/水瓶座
山羊座/山羊座
1986年 10月 ギリシャ・ローマ旅行開始、1991年まで日本との間を行き来する生活を送る。 木星/ラーフ 水瓶座/牡羊座
1987年 『ノルウェイの森』を発表し、上下430万部を売るベストセラーとなる。これをきっかけに村上春樹ブームが起き、以後は国民的支持を集める。 木星/ラーフ
土星/土星
水瓶座/牡牛座
水瓶座/双子座
1989年 『羊をめぐる冒険』の英訳版がアメリカで出版される。 土星/土星 水瓶座/乙女座
水瓶座/天秤座
1990年 1月 ヨーロッパ滞在より、帰国。 土星/土星 水瓶座/天秤座
水瓶座/蠍座
1991年 1月 ニュージャージー州プリンストン大学の客員研究員として招聘され渡米する。前後して湾岸戦争が起こっており、のちに「正直言って、その当時のアメリカの愛国的かつマッチョな雰囲気はあまり心楽しいものではなかった」と述懐している。
土星/水星 水瓶座/射手座
水瓶座/蠍座
1992年 在籍期間延長のため客員講師に就任、現代日本文学のセミナーで第三の新人を講義、サブテキストとして江藤淳の『成熟と喪失』を用いる。(92年から1年間は、客員講師として大学院で週にひとコマのセミナーを担当)。 土星/水星 魚座/牡羊座
〜魚座/蟹座
1993年 タフツ大学に移籍。 土星/水星
土星/ケートゥ
魚座/獅子座
〜魚座/蠍座
1994年 『ねじまき鳥クロニクル 第1部』『同 第2部』刊行 土星/ケートゥ
土星/金星
魚座/射手座
〜魚座/魚座
1995年 1月-3月 1995年、1月に起こった阪神・淡路大震災と、3月に起こった地下鉄サリン事件に衝撃を受ける。 土星/金星 牡羊座/牡牛座
1995年 5月 4年間にわたる米国滞在を終え帰国。 土星/金星 牡羊座/牡牛座
8月 『ねじまき鳥クロニクル 第3部』刊行。 土星/金星 牡羊座/牡牛座
1996年 『ねじまき鳥クロニクル』で第47回読売文学賞を受賞。 土星/金星 牡羊座/双子座
牡羊座/蟹座
1997年 地下鉄サリン事件の被害者へのインタビューをまとめたノンフィクション『アンダーグラウンド』刊行。 土星/金星
土星/太陽
牡羊座/蟹座
牡羊座/獅子座
1999年 『アンダーグラウンド』の続編で、オウム真理教信者へのインタビューをまとめた『約束された場所で―underground 2』により第2回桑原武夫学芸賞受賞。 土星/月 牡羊座/天秤座
牡羊座/蠍座
2000年 神戸の震災をテーマにした連作集『神の子どもたちはみな踊る』刊行。のちに『神の子どもたちはみな踊る』は映画化される。 土星/月
土星/火星
牡羊座/蠍座
牡羊座/射手座
この時期、社会的な出来事を題材に取るようになったことについて、村上自身は以下のように「コミットメント」という言葉で言い表している。「それと、コミットメント(かかわり)ということについて最近よく考えるんです。たとえば、小説を書くときでも、コミットメントということがぼくにとってはものすごく大事になってきた。

以前はデタッチメント(かかわりのなさ)というのがぼくにとっては大事なことだったんですが」「『ねじまき鳥クロニクル』は、ぼくにとっては第三ステップなのです。まず、アフォリズム、デタッチメントがあって、次に物語を語るという段階があって、やがて、それでも何か足りないというのが自分でわかってきたんです。そこの部分で、コミットメントということがかかわってくるんでしょうね。

ぼくもまだよく整理していないのですが」 「コミットメント」はこの時期の村上の変化を表すキーワードとして注目され多数の評論家に取り上げられた。また村上は作品の題材とした震災と地下鉄サリン事件の二つの事件について、この2つは彼にとって別々のものではなく、「ひとつを解くことはおそらく、もうひとつをより明快に解くことになるはずだ」(『辺境・近境』)と考えたと語っている。
土星期〜
2002年 初めて少年を主人公にした長編『海辺のカフカ』発表。 土星/ラーフ 牡羊座/水瓶座
牡羊座/魚座
2003年 高名なアメリカ文学の新訳を手がけている。『ライ麦畑でつかまえて』のタイトルで親しまれてきたサリンジャーの長編の新訳『キャッチャー・イン・ザ・ライ』を皮切りに、フィッツジェラルド『グレート・ギャッツビー』、チャンドラー『ロング・グッドバイ』、カポーティ『ティファニーで朝食を』と、たて続けに刊行している。 土星/ラーフ 牡羊座/魚座
牡羊座/牡羊座
2004年 カメラ・アイのような視点が登場する実験的な作品『アフターダーク』を発表。 土星/ラーフ
土星/木星
牡牛座/牡羊座
牡牛座/魚座
2005年 『海辺のカフカ』の英訳版Kafka on the Shoreが『ニューヨーク・タイムズ』の"The Ten Best Books of 2005"に選ばれ国際的評価の高まりを示した。 土星/木星 牡牛座/魚座
牡牛座/水瓶座
牡牛座/山羊座
2006年 フランツ・カフカ賞、フランク・オコナー国際短編賞(en:Frank O'Connor International Short Story Award)と、国際的な文学賞を続けて受賞。特にカフカ賞は、前年度の受賞者ハロルド・ピンター、前々年度の受賞者エルフリーデ・イェリネクがいずれもその年のノーベル文学賞を受賞していたことから、2006年度ノーベル賞の有力候補として話題となった。同年の世界最大規模のブックメーカーである英ラドブロークス(en:Ladbrokes)のストックホルム事務所による予想では、34倍のオッズが出され18番人気に位置(受賞は同予想で1位のオルハン・パムク)。2007年の同予想では11倍のオッズ、6番人気とさらに評価を上げている。また近年の年収は海外分が既に国内分を上回っており、事務所の仕事量も3分の2は海外とのものであるという。 土星/木星
水星/水星
牡牛座/山羊座
牡牛座/射手座
牡牛座/蠍座
2007年 2006年度朝日賞、第一回早稲田大学坪内逍遥大賞受賞。リエージュ大学(en:University of Liege)より名誉博士号を受ける。 水星/水星 牡牛座/蠍座
牡牛座/天秤座
2008年 6月3日 プリンストン大学は村上を含む5名に名誉学位を授与したことを発表した。村上に授与されたのは文学博士号である。カリフォルニア大学バークレー校より第1回バークレー日本賞を受賞。 水星/水星 牡牛座/乙女座
2009年 2月 エルサレム賞を受賞。当時はイスラエルによるガザ侵攻が国際的に非難されており、この受賞については大阪の市民団体などから「イスラエルの戦争犯罪を隠し、免罪することにつながる」として辞退を求める声が上がっていた。しかし村上は賞を受けエルサレムでの授賞式に出席する。記念講演では「この賞を受けることがイスラエルの政策を承認したとの印象を与えてしまわないかと悩んだ」ことを告白し、その上で「あまりに多くの人が『行かないように』と助言するのでかえって行きたくなった」「何も語らないことより現地で語ることを選んだ」と出席理由を説明した。そして「高くて固い壁があり、それにぶつかって壊れる卵があるとしたら、私は常に卵側に立つ」と、イスラエル軍によって1000人以上のガザ市民が命を落としたことをイスラエルのペレス大統領の面前で批判した。さらに「私たちはみな国籍や人種・宗教を超えてまず人間であり、『システム』という名の壁に直面する壊れやすい卵なのです」と語った。スピーチの途中からペレス大統領の顔はこわばってきたという 。

水星/水星

牡牛座/獅子座
2009年 5月、11月、12月 長編小説『1Q84』を刊行、同年11月の段階でBOOK1と2の合計223万部の発行部数。同作品で毎日出版文化賞受賞。

同年12月には、独創的な作家としてスペイン政府から芸術文学の勲章として、スペイン芸術文学勲章が授与され、それによりExcelentisimo Senorの待遇となる。
水星/ケートゥ 牡牛座/蟹座
牡牛座/双子座
2011年 6月 カタルーニャ国際賞を受賞。副賞である8万ユーロ(約930万円)を東日本大震災の義援金として寄付する。カタルーニャ国際賞の受賞スピーチでは日本の原子力政策を批判した。 水星/金星 双子座/牡牛座
2012年 9月28日 『朝日新聞』朝刊にエッセイ「魂の行き来する道筋」を寄稿した。その中で、日中間の尖閣諸島問題や日韓間の竹島問題によって東アジアの文化交流が破壊される事態を心配して、「領土問題が「感情」に踏み込むと、危険な状況を出現させることになる。それは安酒の酔いに似ている。

安酒はほんの数杯で人を酔っ払わせ、頭に血を上らせる。」「しかし賑やかに騒いだあと、夜が明けてみれば、あとに残るのはいやな頭痛だけだ。」「安酒の酔いはいつか覚める。しかし魂が行き来する道筋を塞いではしまってはならない。」と警告した 。

小林秀雄賞を受賞。
水星/金星 双子座/魚座
2013年 4月12日 最新作『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を発表。 水星/太陽 双子座/水瓶座
wikipedia 村上春樹より引用抜粋、一部編集


(参考文献・資料)

wikipedia 村上春樹

wikipedia 三島由紀夫