占星コラム


2013/5/5 瀬戸内寂聴について

 

瀬戸内寂聴が出家前に波瀾に富んだ泥沼の恋愛を経験していたということは人から聞いて以前から興味を覚えていた。

見合い結婚した夫と娘を捨て、夫の教え子の元に走り、そして、破局した後は、
純文学の小説家と恋愛関係となり、そして、昔、交際した元夫の教え子と再会したことで、 三角関係となる・・・。

そして、そうした恋愛に疲れ切ったという理由で51歳で出家をする・・・。

こうしたドラマチックな人生がどのような出生図であれば可能なのか、以前から興味があったものの、直ぐに調べる気にはならなかった。

最近、世間話で、彼女が出家前にどのような恋愛を経験したのか、 詳しく聞く機会があり、再び興味を覚えた為、今度は調べてみることにした。

チャート解読の枠組みとしては、不倫をして、三角関係となり、離婚をするというパターンは、 6−8の関係であり、まず、チャートの中にこの関係を示す配置を探すことが、最初の出発点である。

瀬戸内寂聴の小説は一冊も読んでいないが、wikipediaで調べた所によれば、 小説のスタイルは私的な不倫体験を綴ったものが多く、作品がポルノ小説であるとの批判にさらされ、 「子宮作家」と呼ばれたそうである。

そうした作風などは5室の創作という観点から参考にし、また結婚や離婚のタイミングと出家のタイミングなどを考慮して検討した結果、おそらく彼女は蟹座ラグナであり、ナクシャトラはアーシュレーシャである。

以下にそのロジックについて解説する。




瀬戸内寂聴のラグナを考える上で、ポイントとなるのは、以下の点である。

No. ポイント 根拠
@ 徳島県徳島市の三谷家の次女として生まれている。姉がいるからには11Hや11Lが強く吉星の影響を受けていると考えられる。 3室の支配星が11室に在住している。(兄弟姉妹の中で、最年長か最年少)11室に吉星である金星、水星が在住し、木星がアスペクトしている。11室の支配星が自室に在住している。
A 父親が従祖母の家である瀬戸内家の養子となり、女学校時代に晴美も瀬戸内に改姓したとwikipediaには書かれている。 晴美が瀬戸内の姓に改称する迄におそらく若干のタイムラグがあり、父親に振り回される経験をしている。 これは養子縁組して父親が変わる人に見られるチャートの特徴がこのケースでも出るのではないかと考えられる。 8室と9室の絡みを想起させるエピソードである。9室支配の木星と8室支配の土星が接合したことによると考えられる。
B 瀬戸内寂聴は51歳でドロドロの恋愛関係などに疲れ、得度(イニシェーション)して出家するのであるが、通常、得度とは、 師匠との間の特別な関係に入ることを意味する。宗教的なグルへの弟子入りに近いものであり、師匠と寝食を共にするような 密接な関係性に入ることを意味する。 これもやはり、9室と8室が絡んだ人に見られる傾向である。 つまり、養子縁組して父親が変わるような人の経験と、同じ範疇に入る。 9室支配の木星と8室支配の土星が接合して、8室と9室の絡みが生じている。養子縁組やイニシェーションを受けるコンビネーションが形成されている。他のラグナではこのコンビネーションが生じない。
C 彼女は多くの文学賞を受けており、作家、そして、出家者として独特の社会的地位を築いており、著名人、文化人として、 社会的にも認知を受け、評価も高く、他の著名人との交流も幅広く人脈が豊かである。
こうした社会的成功は11室が強くなければ得られないため、11室に特徴が出ているはずである。
これは@での姉がいるということとも関連する。
4、11室支配の金星が11室で自室に在住し、9室支配の木星からアスペクトされており、11室が強い。
D 彼女は出家者ではあるが、作家であるため、3室や5室に顕著な特徴が出ていなければならない。
特に古典を題材としたかなり質的に高い作品も描くことから5室が強くなければならない。
ラグナからみて3室に9室支配の木星、7室支配の土星、ラーフが在住して、3室が強い。また5室には11室から金星、水星、太陽がアスペクトして、5室も強い。
E 彼女は普通の結婚や結婚生活を送った訳ではなく、不倫、三角関係、離婚などを経験しているため、6室や8室の象意が顕著に出ている。 これはダシャーによって様々に切り替わる惑星同士の6−8の位置関係として現われたはずである。 ラグナロードの月が6室に在住し、ラージャヨーガカラカの火星と接合し、月から見ると、6室に金星、水星、太陽が集中している。また金星、水星、太陽をラグナとすると、3室支配の月と7室支配の火星が8室に在住している。
F 彼女は自由奔放に自分の欲望に従って生きたのであり、被害者ではなく、むしろ加害者である。
その観点からは不倫といっても男性から愛人として囲われて悩むような被害者タイプではない。
つまり、この観点からは6室が顕著に強いはずである。
ラグナロードの月が6室に在住している。
また月からみると6室に金星、水星、太陽が在住している。


こうしたポイントに合うようなラグナを探した所、彼女は蟹座ラグナとなり、またそうである場合、更に彼女のような全く世間の常識や規範を逸脱した恋愛に熱中してしまうタイプは蟹座のアーシュレーシャなのである。


泥沼の恋愛に嫌気がさし、得度(イニシェーション)を受ける

まず、彼女の経歴をチェックして、一番、重要なのは、1973年に『今春聴(今東光)大僧正を師僧として中尊寺にて天台宗で得度、法名を寂聴とした』イベントである。



このイベントが彼女の人生の中でその後の生き方を決定づけるいかに大きな出来事であったかを考えると、このタイミングがマハダシャーの移行のタイミングであったことがまず考えられる。

出生時間を00:00:01に設定すると、得度して出家した1973年はラーフ/水星期である。
この出生時間だと木星期は1983年7月から始まる。

出生時間を23:59:59に設定すると、得度して出家した1973年は木星/金星期であり、
この場合、既に木星期は1964年から始まっている。

つまり、得度した1973年はラーフ期の途中か、あるいは木星期であるかのどちらかしかない。

通常、ラーフ期から木星期への変化は世俗的な人生から霊的な人生への転換期であり、この時期に人生が劇的に変化する人が多い。

ラーフ期はお金を稼ぎ、結婚し、ごく普通の一般人の価値観で生活していたのが、木星期に移行した途端に生き方や考え方が大きく変化して、何か社会のためになることをしたいとか、理想主義的な価値観を持つようになるのである。

瀬戸内寂聴の場合も1973年の得度(イニシェーション)の体験がちょうどラーフ期から木星期への切り替わりの時期に起こったと考えるのが自然である。

そうした観点からダシャーバランスを修正すると、ラグナは蟹座の終わりか獅子座の初め辺りになる。


彼女の作家としての人生から考えて獅子座ということはあり得ないため、それで蟹座ラグナに確定する。

そして、木星期の開始時期を最も1973年に近づけるためには、ラグナは蟹座アーシュレーシャの第4パーダとなり、獅子座と蟹座の境界付近となる。




蟹座のアーシュレーシャ

因みにナクシャトラの象意については、私は『27の誕生星 隠された「心」をときあかす月の占星術』を参考にしている。

ナクシャトラの解釈は宿曜占星術の解説本を利用することができるが、このサイトの解説が最も分かりやすく役に立っている。

この解説によれば、アーシュレーシャは、とぐろを巻いた蛇であり、怪しげな性的な魅力を放ち、世間の善悪や規則、常識などを楽々と乗り越えることができる人だという。

この「人のしない、できない、考えつかない事を平気で行える人」というのは彼女の人生そのものである。

実際、私自身もこれまでアーシュレーシャにラグナや月や惑星を持つ人に出会ってきたが、やはり、そうした特徴はその通りであると思う。


8室と9室、木星の絡み、グルチャンダラヨーガ

蟹座ラグナに設定すると、9室支配の木星が3室(文筆)に在住しているため、木星期に『寂聴 般若心経』を書き、古典を題材とした作品を書いたりしたことがよく分かる。木星は9室を支配しているため、宗教性があり、道徳的、教育的な作品を著すことを示している。

この9室支配の木星は8室支配の木星と接合しているが、この9室と8室、木星の絡みが、彼女が今春聴(今東光)に弟子入りして得度したことを説明するコンビネーションである。

木星は9室の支配星ではあるが、逆行し、ラーフと接合してグルチャンダラヨーガを形成し、逆行の土星と接合している。

3室はパフォーマンスのハウスであるが、彼女は仏教や般若心経といった古典を自分の作家、文化人としてのパフォーマンスに利用している所があり、やや辛らつな見方をすれば、それこそが、グルチャンダラヨーガということもできる。

僧侶の衣装をして自分が出家をした僧侶であるという派手な演出そのものが、何か霊性、宗教性というものを自らの社会的認知、ステータスの確立に利用している所があるのである。

また木星は子供の表示体であることから、夫と娘を捨てて、つまり、子供の養育を放棄して、愛人の元に走ったことも、グルチャンダラヨーガの一表現であると考えられる。

然し、彼女の場合、木星はナヴァムシャではグルチャンダラヨーガを形成していないため、その深刻度はそれ程でもない。

wikipediaによれば、彼女は娘と後に和解しているという。

このように彼女のグルチャンダラヨーガについて指摘をするが、別に私は彼女に対して批判している訳ではない。

ただこうしたコンビネーションとその現象界での対応について確認しているだけである。

私自身の価値観としては、このようなユニークな人生があってもいいと思っている。


6室−8室の関係性

私がこの蟹座ラグナでよいと思ったのは、ラグナロードの月が6室に在住している配置を確認し、彼女の恋愛との対応について納得したからである。

冒頭で述べたが、彼女は、自分の欲望の赴くまま、夫と娘を捨てて、愛人の元に走ったのであり、彼女には全く被害者的なところがないのである。

むしろ、加害者であり、被害者は夫と娘である。


彼女は強い人間であり、行動力があり、加害者になるほど、自分の欲望に忠実で、自由奔放だったといえる。

この特徴は6室が強い人の特徴である。彼女が東京女子大学在学中に結婚し、夫に同行して北京にゆき、帰国して、夫の教え子と恋に落ち、夫と長女を残して家を出て、結局、最終的に夫と離婚したのは、マハダシャー月期の出来事である。

月はラグナロードで離婚の6室に在住し、そこには子供を表わす5室支配の火星が同室している。

5室の支配星が6室に在住しているため、5室は傷ついている。これは子供を捨てたことでの子供との確執を表わしている。

月はラグナロードだが、ラグナロードは7室からみた7室の支配星であり、ラグナロードのダシャーの時期は結婚の時期である。

東京女子大学に入学した頃、木星と土星は牡羊座10室をトランジットしており、1941年頃には木星は7室と7室の支配星にアスペクトして、土星は11室で逆行して7室にアスペクトし、7室にダブルトランジットしている。

その後、1944年夏頃には木星は2室をトランジットし、土星は12室をトランジットして、2室にダブルトランジットが生じ、またラグナロードの月にも木星と土星がアスペクトしているので1室(7室から7室)にもダブルトランジットが生じており、この1940年〜1944年の間に7室や2室、1室などへのダブルトランジットがあり、結婚のチャンスがこの期間に生じたことが分かる。

1室(7室から7室)の支配星のダシャーと、7室、2室、1室へのダブルトランジットという条件が揃っており、結婚の時期である。

そして7室は配偶者を表わすハウスであるが、7室は外国のハウスでもあることから、配偶者と結婚して、外国に行くというのは一つのパターンである。

 

この月期に彼女は夫と子供を捨てて愛人の元へ走っているが、月はまず6室の支配星であり、6室は離婚のハウスである。

そして、ダシャーロードの月をラグナとすると、6室には金星、水星、太陽が在住している。

6室は離婚や愛人のハウスであり、水星は月からみて7、10室支配で、金星は6、11室支配、太陽は9室支配である。

彼女は夫の教え子と恋に落ちるのであるが、7室(夫)から見た5室(教え子)は、11室であり、そこには金星、水星、太陽が在住している。

つまり、彼女の11室に在住する金星、水星、太陽は夫の教え子の表示体であり、月からみると6室に該当するため、彼女にとっては夫の教え子は愛人(6室)であったということになる。

つまり、彼女は男性に囲われる(8室)というよりも、年若い青年に恋をして、むしろ、青年を自分から囲った(6室)といった方が真実に近いのである。

今流行の言葉で言えば、「肉食」系である。

 

アナイス・ニンのチャート

このことは同じく女流性愛小説家で、多くの自由奔放な恋愛をして、女性解放運動に影響も与えたとされるアナイス・ニンのチャートと比較して考えることによって、よりよく理解できる。

アナイス・ニンも自由奔放な恋愛を経験した女性であるが、決して、被害者ということではなく、むしろ、好奇心旺盛に自分から冒険していくタイプの人間であった。彼女は「冒険好きな男を愛するようには誰も冒険好きな女を愛さない」という語録を残している。

待っているようなタイプではなく、自分から攻めていく自由人である。こういう女性は加害者になることはあっても被害者になることはない。

このアナイス・ニンのチャートを見た時、6室に金星、太陽、木星が在住していることに私は気づいて覚えていた。

つまり、アナイス・ニンは、多くの恋愛を経験したが、その全てにおいて自分が優位にたって、あたかも相手の男性を愛人かペットのようにして交際したのだと理解した。

瀬戸内寂聴の場合も同じである。

彼女は6室に月と火星が在住しており、月から見ると、6室に金星、水星、太陽が在住している。

彼女は、自由奔放に自分の欲望の赴くまま、若い青年を世話し、むしろ、愛人として囲ったのである。

このように瀬戸内寂聴は、自由奔放に自分の欲望に従い、決して被害者になるような人間ではなく、むしろ、加害者にしかなれないタイプの強い女性である。

強いがために被害者の女性によく見られる男性へのルサンチマン(怨恨)や屈折した心情がなく、清々しくさっぱりしている。

そうした意味で、瀬戸内寂聴は自立しており、自分の責任は自分で負える人間である。決して、相手の男性を非難したり、相手の男性に責任をなすりつけたりするような人間ではない。そういう意味では高貴な精神の持ち主であるといえる。

彼女の高貴さはそこにあるのである。

彼女はおそらく月/金星期、月/水星期にあたりのアンタルダシャーが6室の支配星となる時期に夫の教え子と愛人関係となり、そして、夫と娘を捨てて、家を出たのである。

そして、5、10室支配のマハダシャー火星期になると、正式に離婚をして、東京で本格的に小説家を目指すようになる。

5室支配の火星は6室に在住しており、奮闘(struggle)して、作品を生み出し、懸賞小説に応募したのが、この頃である。

そして、5、10室支配のラージャヨーガカラカの火星期であったためか、この頃、懸賞小説に入選を果たしている。

 

マハダシャー・ラーフ期

1956年になると、処女作「痛い靴」を『文学者』に発表し、同年「女子大生・曲愛玲」で新潮同人雑誌賞を受賞したと書かれている。

授賞第一作の 『花芯』で、ポルノ小説であるとの批判にさらされ、「子宮作家」とまで呼ばれるようになったという。

この処女作を世に出した1956年はちょうど、マハダシャーラーフ期に移行したタイミングである。

ラーフは世俗や飽くなき欲望を表わし、彼女の中に眠る性的な衝動をそのまま文学作品として表現したような時期に思える。

ラーフは3室(文筆)に在住しており、7、8室支配の土星と接合している。


この土星は結婚生活(7室)や愛人関係での苦悩(8室)を表わし、その土星が3室に在住しているため、それを文学として表現したのである。

彼女は夫の教え子と恋に落ち、家を出たものの、その教え子の若い青年には、夫と子供を捨てた女性というのは重過ぎたため、結局、破局してしまう。

その後、彼女は純文学の妻子持ちの小説家と出会い、自分の書いた作品を読んでもらううちに不倫関係が始まるのだが、これは、上述したように7、8室支配の土星が3室に在住している象意である。7室はパートナー、8室は三角関係、3室は文筆である。


このマハダシャー・ラーフ期の不倫の恋愛体験を描いた『夏の終り』で彼女は女流文学賞(女流文学賞)を授賞している。

ラーフ期はそういう意味では、彼女の実際の実生活と作品がオーバーラップする時期であったと言える。



マハダシャー・木星期

マハダシャー木星期になると、彼女は今春聴(今東光)大僧正を師僧として中尊寺にて天台宗で得度(イニシェーション)を受け、法名を寂聴とし、翌年、比叡山で60日間の行を経て、京都嵯峨野で寂庵と名づけた庵に住み、週末には青空説法として、法話を行うなどしている。

木星は9室の支配星であり、9室はダルマハウスで、ダルマとは法則、真理を表している。

法則、真理を司る神に仕えて、正しく生きる時期であり、霊性修行や奉仕などに取り組む時期である。

そして、9室の支配星が3室に在住しているため、『寂聴 般若心経』というブッダの教えを解釈した本を出版している。

この時期、週末に青空説法をしていたというが、月から見るとラグナロードの木星が10室に在住して、2室にアスペクトしているため、教師として講話をする配置である。

彼女は、得度を受ける前に修道女になろうとしたらしいが、過去の行状から断られている。

このこともグルチャンダラヨーガらしいエピソードである。

彼女が経歴にあるように犯罪をおかした人や冤罪で苦しむ人を支援する活動を行ったのは調べてみると、主に木星期である。

麻薬で逮捕された萩原健一の更生に尽くしたことや、徳島ラジオ商殺し事件の再審支援などの活動でも有名。山岳ベース事件等で死刑判決を受けた永田洋子とは、永田が獄中で出家して瀬戸内に手紙を書いたことから文通し、控訴審でも証人となった。連続ピストル射殺事件で死刑執行された永山則夫とも親交があり、死刑廃止論者でもある。また、脳死による臓器移植にも反対している。(wikipediaより引用)

例えば、萩原健一が大麻不法所持で逮捕されたのが1983年であり、一年間活動休止を余儀なくされているが、
おそらくその時期に支援したと考えられるため、瀬戸内寂聴が木星/金星期の頃である。

「徳島ラジオ商殺し事件」で被告の冨士茂子の再審請求を支援したのも、おそらく木星期である。
1971年に『恐怖の裁判 徳島ラジオ商殺し事件』瀬戸内晴美、冨士茂子著 (読売新聞社)が出版されている。
この時は木星期に入る直前であるが、冨士茂子が亡くなる1979年まで再審請求は続けられ、 おそらく、瀬戸内寂聴もこれを支援したと思われる。

また獄中の永田洋子と文通して彼女を支援したのも、マハダシャー木星期である。

1987年に『愛と命の淵に 瀬戸内寂聴・永田洋子往復書簡』(福武書店)が出版され、この頃は木星期の終わりに近い木星/火星期である。 永田洋子が逮捕されたのが1972年で、木星期に入る直前であることから、おそらく木星期を通して永田洋子と文通をして彼女の心の支えとなったことが考えられる。

また永山則夫が逮捕されたのが1969年であるため、彼女が永山則夫と、親交したのも、おそらく彼女がマハダシャー木星期の間である。

その後、永山則夫は獄中で、作家となり、贖罪意識も芽生えるが、彼女はそうした永山の心の変化にも影響を与えたと推測できる。

木星はグルチャンダラヨーガを形成しているが、マハダシャー木星期に瀬戸内寂聴は、世間的な常識から大きく逸脱した犯罪者たちを理解し、支援するという普通の教師が出来ないような奉仕を行っている。

世間的な常識的な教育者では背負い切れないような人物たちを相手にするという難しい奉仕である。

これは彼女のグルチャンダラヨーガが逆に可能にしたとさえ思えるような木星の働きである。

木星は伝統を守り、良いことや正しいこと、社会の規範やモラルを守る惑星である。

然し、そうした木星がグルチャンダラになったからこそ、彼女にはこうした犯罪者を救う使命が与えられたとも考えられる。

彼女自身、夫と子供を捨て、世間の常識的な規範や道徳から大きく逸脱した人物であり、キリスト教会から過去の行状から、修道女への入門を断られている。

然し、彼女を拾った今春聴(今東光)自身、非常に型破りな人物で、次のようなエピソードが伝えられている。

『・・・(略) 谷崎の秘書を務めていた当時は意図的に柔弱な文学青年の身なりをしてカフェに入り、チンピラに言いがかりをつけられるのを待ち、期待通り喧嘩を売られると表に出て相手を半殺しの目に遭わせ、「やい。文学をやってる人間は皆な優さ男の意気地無しと思うなよ。俺みてえに喧嘩が三度の飯よりも好きな奴もいるんだ。見損うなよ」と啖呵を切っていた、という。大山倍達と交際し、極真空手初段の段位を贈られたこともある。「文壇諸家価値調査表」でも「腕力」の部で100点満点を与えられるなど、腕力の強さは古くから知られていた。』

このような人物だからこそ、瀬戸内晴美(寂聴)を受け入れることが出来たのであると思う。

木星はモラルの惑星であり、伝統を守る惑星である。木星が強いと、 伝統に忠実な保守的な人物になるが、新しい価値観をもたらしたり、既知の規範を超越して、来るべき価値を創出しようとする場合には、むしろ、木星はそれを阻害するかもしれない。

また瀬戸内寂聴の場合、木星は傷ついているが、ラグナからみて9室支配の機能的吉星であり、月からみてもラグナロードで10室に在住する機能的吉星である。

こうした機能的吉星である木星の場合、例えグルチャンダラヨーガになっていたとしても、木星自身の純粋さ、真実性は失われないのである。

彼女は戸惑いながらも手紙を送ってきた永田洋子に対して返答をし、世間的に怪物の殺人鬼として全く同情の余地なく、憎悪の対象となっていた永田洋子の中に人間性を発見する。

こうした犯罪者やならず者、世間から逸脱した者たちに囲まれて、そうした人たちと、つながらざるを得ないという環境こそが、木星がラーフや逆行する土星から同室されて接合されているということの意味である。決して、9室支配の木星が持つ、純粋さ、無垢さが失われた訳ではない。

こうして考えると、単に木星にラーフが接合しているだけで、グルチャンダラヨーガと決めつけて、その人物を過少に評価するのは間違いである。

木星が機能的吉星なのかが重要なのである。

 

渡辺淳一との共通点

このように木星期までの彼女の人生の流れについて、ダシャーとの対応からよく説明することができる。

彼女が授賞歴が多いのは、11室が強いからであり、11室の3室支配の水星、自室にある強い金星、太陽といった惑星群が5室にアスペクトすることで、それが創作の才能につながっている。

また彼女の作品が性を描いたものが多いのはおそらく創作の5室が蠍座になるからである。

これについては以前、失楽園で有名な渡辺淳一のラグナを蟹座に修正した時に気づいたことであるが、渡辺淳一が何故、性愛というテーマで作品を書き続けるかということを考えた時に彼の5室に5、10室支配の火星、4、11室支配の金星、3室支配の水星が在住していると考えたからである。

その時のロジックも文筆家は3室や5室が顕著でなければならないというものであった。



渡辺淳一の場合、3室には9室支配の木星が在住し、5室には水星、火星、金星と3つも惑星が集中している。

瀬戸内寂聴の場合は5室に惑星の在住はないが、11室から5室に金星、水星、太陽がアスペクトしている。

このアスペクトによっても十分に5室蠍座の性質が引き出され、性愛的な表現につながったのではないかと考えている。


このように瀬戸内寂聴のラグナについては、蟹座アーシュレーシャに設定すると、ほとんどの彼女の過去の経歴について説明が可能である。

一点、土星期になってからの彼女の行動がどのような動機でどのような状況で行っていたのかが掴みにくいところであるが、メディアに取り上げられる機会が多いことを考えると、やはり、土星は3室に在住していると考えてもいいかもしれない。

土星をラグナとすると、9室に2、9室支配の金星、1、10室支配の水星、12室支配の太陽が在住して、3室(文筆)にアスペウトしている。

従って、彼女は土星期になっても基本的には霊性と芸術(文筆)について関心を持ち続け、探求していく時期にあったと言える。


ジャイミニのチャラダシャーによる事象のタイミング

ここまで彼女の経歴を検証して、ほぼ蟹座のアーシュレーシャで間違いないと考えている。

最後にチャラダシャーによる複合アプローチで検証をすると、彼女が東京女子大学在学中に夫と出会って、結婚したのは1940年頃であるが、1940年5月からチャラダシャーのメジャーダシャーが牡牛座に移行している。

牡牛座にはAK、Amk、DK、DPが在住し、DKNがアスペクトしている。また5室にPKが在住しており、この牡牛座の時期に結婚して子供を産んだことが説明できる。

また牡牛座のメジャーダシャーの時期に離婚もしているが、おそらく離婚したのは牡牛座/双子座の時期である。

牡牛座から見ると、DK、DPが6室にアスペクトし、双子座から見ると、DK、DPは12室に在住して8室にアスペクトしている。

彼女が結婚した当初は、メジャーダシャーが牡牛座の時期であるが、彼女は良妻賢母の手本のような毎日だったという。

メジャーダシャーが牡牛座の時期は牡牛座ラグナのようなパーソナリティーになるが、良妻賢母というのは牡牛座らしい特徴がよく出ている。

夫の教え子と恋に落ち、夫と長女を残し家を出て京都で生活したのが、牡牛座/天秤座の時期で、天秤座は牡牛座からみて6室であり、DP、DK、AKがアスペクトしている。また天秤座から見ると、AKが8室に在住している。

このタイミングでの家出は、チャラダシャーで、サブダシャーが天秤座の時期であるというのは納得できる。

この頃、彼女は作家の道を志すが、まだ懸賞に投稿するような模索の日々であった。AK、Amkは3室にアスペクトし、9室にもアスペクトしているため、まだ彼女は訓練(3室)の時期であり、9室にもアスペクトしているため、師匠を求め、勉強する日々であったことが想像される。

1956年になると、処女作「痛い靴」を発表し、同年、 「女子大生・曲愛玲」で新潮同人雑誌賞を受賞し、受賞第1作『花芯』で、ポルノ小説であるとの批判にさらされ、「子宮作家」とまで呼ばれるようになっている。

つまり、作家としてデビューし、有名になるのであるが、牡羊座から見ると、AK、Amkが10室にアスペクトしている。

この当時、彼女は世間の規範に挑戦するような作品を書き続け、牡羊座ラグナのようなキャラクターに変化したことが分かる。

牡牛座のメジャーダシャーの時期のように牡牛座の性質から打って変わって、戦闘的な性格に変化している。

そして、牡牛座から見ると、6室に土星や木星、ラーフが在住しており、6室に2つの凶星が在住している為、批判を受けるが、その批判をものともしない配置である。

この牡羊座の時期は、ヴィムショッタリダシャーではラーフ期に該当するが、彼女は性愛小説を書き続けた。

そして、1956年前後は、彼女が実生活上でも妻子ある男性と不倫の関係にあり、DK、DPが7室にアスペクトしていることで納得できる。

また牡羊座にはUPが在住している。

この当時の不倫体験を綴った『夏の終わり』で、 1963年の女流文学賞を受賞し、作家としての地位を確立した、とある。

この1963年のメジャーダシャーは、魚座であり、魚座から見ると3室にAK、Amk、DKが在住し、11室(授賞、高い評価)にアスペクトしている。

従って、この頃に世間の彼女に対する評価が確立したことが分かる。

然し、魚座から見ると、AK、Amk、DKが8室にアスペクトしているため、彼女はこの頃、悩んでもいたはずである。

ヴィムショッタリダシャーではラーフ/土星期であり、土星は7、8室(苦悩)の支配星である。

1960年〜1966年頃はチャラダシャーのメジャーダシャーが魚座であるため、DKやDPが3室(性欲)に在住して、8室(苦悩)にアスペクトしており、また7室にはラグナロードの木星、ラーフ、土星が集中しており、彼女は自身の欲望に溺れたはずである。

1966年にはメジャーダシャーが水瓶座に移行するが、ラグナロードの土星が8室に在住し、ラーフ、木星と接合して、8室に惑星が集中している。

この頃は恋愛相手との関係において、苦悩の状態にあることが考えられるが、同時にAK、Amk、DKが9室にアスペクトしているため、 この頃から救いも見いだされている。

そして、1973年頃、彼女が出家を決め、得度(イニシェーション)を受けた時、 メジャーダシャーが山羊座に移行している。

山羊座から見ると、AK、Amk、DKが5室に在住し、10室にアスペクトしている。この頃の得度の様子は、写真にあるようにテレビでも放映されて、注目の的(10室)になっていることが分かる。

その後、1988年頃から、メジャーダシャーが天秤座に移行するが、天秤座から見ると、AK、Amk、DKが8室に在住している。

この天秤座の時期については彼女の活躍が経歴に伝えられていないことを考えると、あまりよい時期ではなかったことが考えられる。

そして、メジャーダシャーが乙女座に移行すると、乙女座からみて9室に在住するAK、Amk、DKが11室(授賞)にアスペクトしているため、彼女は、この頃、 一遍上人を描いた『花に問え』で谷崎潤一郎賞を受賞している。


更に2005年頃、メジャーダシャーが蟹座である時、彼女の生涯をドラマにした『女の一代記』が放映されている。

蟹座から見ると、11室にAK、Amk、DKが在住しており、 これは彼女の社会的評価、認知を示す印である。


2007年8月11日、徳島市での講演で、彼女は加齢黄斑変性のため右目の視界が大部分見えなくなったことを明かしている。

メジャーダシャーは双子座で、12室にAK、Amk、DKが在住し、8室にアスペクトしている。

また2室(右目)の支配星と一緒に7室にGKが在住して、この時期のラグナとなる双子座にアスペクトしている。


チャラダシャーがここまで機能していることとは、驚くべきことであるが、確かにこの時期の健康問題について、チャラダシャーははっきりと示していることが確認できる。

ジャイミニのチャラダシャーで、彼女の人生の出来事を一通り、検証してみたが全て、説明できることが分かる。


更に念のため、トランジットを調べてみると、彼女が得度を受け、出家した1973年は土星は12室双子座をトランジットし、木星は7室山羊座から12室の支配星にアスペクトして、12室にダブルトランジットを形成していた。

翌年、1974年には木星は8室に入室し、土星は依然として、12室をトランジットしているため、12室にダブルトランジットが形成されているが、彼女がこの頃、 比叡山で60日間の行を行ったということを考えると、木星と土星の位置がこの配置で間違いないと思われる。

8室も12室もモクシャ(解脱)ハウスであり、木星は8室に入室して、師との間の密接な関係や孤独な修行を表わしている。


また最近では、2012年5月と6月に以下のようなタイトルで記事に取り上げられており、この時期、瀬戸内寂聴に対する注目が高まったことが分かる。

『瀬戸内寂聴さんハンスト参加 怒りあらわ「何を考えているのか」』  2012年5月2日 12:13 スポニチアネックス

『満島ひかり、瀬戸内寂聴「夏の終り」で主演 小林薫、綾野剛との三角関係に溺れる』  2012年06月23日 05時00分 ORICON STYLE

『瀬戸内寂聴さん小説「月の輪草子」 清少納言に「心の自由」を重ね』  2013.1.10 08:01 産経ニュース

 

2012年5月頃、木星は10室(牡羊座)をトランジットし、土星は4室(天秤座)をトランジットして、10室にダブルトランジットを形成し、

また2013年1月には木星は11室(牡牛座)で逆行し、土星は4室をトランジットして、同じく10室でダブルトランジットが形成されていた。

この時期にメディアに取り上げられて、全国的に彼女の名前が報道されたのは、そのためである。

 

因みに私がこのように彼女のホロスコープを取り上げて、記事に書いていること自体、現在、トランジットの太陽、水星、火星、ケートゥ、金星などが牡羊座に集中していたからであるということに記事を書いている途中で気づいた。

彼女の10室に惑星が集中しているため、人から注目されたり、話題に上ることが多いタイミングなのである。

そうしたことで、瀬戸内寂聴は、蟹座ラグナにすると、過去の経歴のほとんどが説明でき、おそらくラグナのナクシャトラはアーシュレーシャである。


彼女は自分の欲望、衝動を押さえることなく、大胆に自由奔放に人生を通して、人間の生の躍動を表現した生の芸術家である。

被害者ではなく、むしろ加害者として、人生を雄雄しく突き進んだ冒険心に富んだ女性と言えるかもしれない。

芸術家は本来、道徳とは無縁なのであり、先に道徳が頭にあって、それに縛られていたら、そもそも芸術家としての才能は乏しいのである。

芸術家は、自分の中に眠る欲望や時には怒りや殺人衝動までも表現しなければならないのであり、まず表現し、演じることが仕事である。

そういう意味では、全ての人間が自分の人生を通じて、一つのユニークな運命を演じる芸術家である。

然し、彼女のように普通の常識から逸脱して、個性的な人生を演じれる人間は少ないのである。


瀬戸内寂聴は、新聞のインタビューで、

「振り返れば人生とは、会うべくして会った、なるべくしてなった・・・大きな摂理の中で動かされてきたと言うほか、ないですね。」

と答えたそうだ。


つまり、人生は大きな摂理(運命)によって、動かされている。

言い換えれば、「人生は、ホロスコープ通りに会うべくして会う人と会ったし、なるべくしてなったと言うほか、ないですね」と言ったことと同じである。

その大きな摂理(運命)がどう展開するのかを知ることが、ジョーティッシュにおけるホロスコープのリーディングである。



西暦 年月 出来事 V.Dasha C.Dasha Transit
1922年 5月15日 徳島県徳島市塀裏町の仏壇店(瀬戸内商店)を営む三谷家の次女として生まれ、後に父が従祖母の家である瀬戸内家養子となり、女学校時代に晴美も瀬戸内に改姓。 金星/ラーフ 蟹座/双子座  
1940年〜44年   東京女子大学在学中に結婚し、夫の任地北京に同行。 月/月
月/火星
月/ラーフ
月/木星
月/土星
牡牛座/牡羊座
牡牛座/魚座
牡牛座/水瓶座
牡牛座/山羊座
牡牛座/射手座
 
1946年   帰国し、夫の教え子と恋に落ち、夫と長女を残し家を出て京都で生活。 月/水星
月/ケートゥ
牡牛座/蠍座
牡牛座/天秤座
 
1950年   正式な離婚をし、東京へ行き本格的に小説家を目指し、三谷晴美のペンネームで少女小説を投稿し『少女世界』誌に掲載され、三谷佐知子のペンネームで『ひまわり』誌の懸賞小説に入選。 火星/ラーフ
火星/木星
牡牛座/蟹座
牡牛座/双子座
 
1956年〜1959年  

処女作「痛い靴」を『文学者』に発表、同年「女子大生・曲愛玲」で新潮同人雑誌賞を受賞。その受賞第1作『花芯』で、ポルノ小説であるとの批判にさらされ、「子宮作家」とまで呼ばれるようになる。

その後数年間は文芸雑誌からの執筆依頼がなくなり、『講談倶楽部』『婦人公論』その他の大衆雑誌、週刊誌等で作品を発表。同人誌『無名誌』に『田村俊子』の連載を開始。並行して『東京新聞』に初の長編小説『女の海』を連載。

火星/月
ラーフ/ラーフ
ラーフ/木星

牡羊座/天秤座
牡羊座/蠍座
牡羊座/射手座
牡羊座/山羊座
牡羊座/水瓶座
牡羊座/魚座
牡羊座/牡羊座
 
1963年   この時期(1959年前後)の不倫の恋愛体験を描いた『夏の終り』で1963年の女流文学賞を受賞し、作家としての地位を確立する。 ラーフ/土星

魚座/乙女座
魚座/天秤座
魚座/蠍座

 
1973年   今春聴(今東光)大僧正を師僧として中尊寺にて天台宗で得度、法名を寂聴とする。 ラーフ/火星 山羊座/蟹座
山羊座/双子座
山羊座/牡牛座
 
1974年   比叡山で60日間の行を経て、京都嵯峨野で寂庵と名付けた庵に居す。尼僧としての活動も熱心で、週末には青空説法(天台寺説法)として、法話を行っていた。 ラーフ/火星
木星/木星
山羊座/牡羊座
山羊座/魚座
山羊座/水瓶座
 
    麻薬で逮捕された萩原健一の更生に尽くしたことや、徳島ラジオ商殺し事件の再審支援などの活動でも有名。山岳ベース事件等で死刑判決を受けた永田洋子とは、永田が獄中で出家して瀬戸内に手紙を書いたことから文通し、控訴審でも証人となった。連続ピストル射殺事件で死刑執行された永山則夫とも親交があり、死刑廃止論者でもある。また、脳死による臓器移植にも反対している。 MD・木星期    
1988年   『寂聴 般若心経』は1年で43万部を売るベストセラーとなる。 木星/ラーフ 天秤座/魚座
天秤座/牡羊座
天秤座/牡牛座
 
1991年 2月-4月 湾岸戦争の停戦を祈って7日間の断食を行い、4月には救援カンパと故郷徳島の大塚製薬寄付の薬を持ってイラク訪問。同時多発テロの報復攻撃にも抗議し、短期間のハンガーストライキを決行した。また原子力発電にも反対の立場であり「反原発運動に残りの生涯は携わりたい。」とインタビューで述べている。 土星/土星 天秤座/獅子座
天秤座/乙女座
 
1992年   一遍上人を描いた『花に問え』で谷崎潤一郎賞を受賞した。 土星/土星 天秤座/天秤座
乙女座/天秤座
乙女座/蠍座
 
2005年   瀬戸内を主人公としたテレビドラマ『女の一代記』が放映された。 土星/ラーフ 蟹座/乙女座
蟹座/獅子座
蟹座/蟹座
 
2007年 8月11日 館長を務める徳島県立文学書道館(徳島市)での講演で、加齢黄斑変性のため右目の視界が大部分見えなくなったことを明かした。 土星/木星 双子座/牡羊座  
2012年 5月2日 脱原発を求める市民団体が国有地にも関わらず無許可で設置した経済産業省本館前テント(不法占拠状態)の中で、脱原発を求めて決行したハンガーストライキに参加。ハンガーストライキは日没まで行われた。 水星/ケートゥ 双子座/蠍座  
wikipedia 瀬戸内寂聴 より引用抜粋、一部編集



(参考文献・資料)

27の誕生星 隠された「心」をときあかす月の占星術

瀬戸内寂聴さん小説「月の輪草子」 清少納言に「心の自由」を重ね
2013.1.10 08:01 産経ニュース

昨夏の2カ月に集中して執筆。「締め切りがあってないようなものだから、書き下ろしは苦手」と話す瀬戸内寂聴さん(大西史朗撮影)

 作家、瀬戸内寂聴さん(90)が随筆集『枕草子』で知られる清少納言に材を取った長編小説『月の輪草子』(講談社)を書き下ろした。「書いているうちに、清少納言と自分が重なってきた」と振り返るように、平安期の宮中を生き抜いた女流文学者の姿を、想像力を働かせた一人称のモノローグ(独白)で立ち上げている。

 正暦(しょうりゃく)4(993)年、28歳の清少納言は宮中に上がり、10歳下の一条天皇の后、中宮定子に仕える。物語は、漢学の素養を生かして活躍する自身を、京都の「月の輪」という庵(いおり)でひっそりと暮らす90歳の清少納言が回想する形で進む。

 瀬戸内さんが平安中期の女流作家、紫式部の『源氏物語』を完訳したのは15年前。清少納言の生涯は当時から温めてきた素材だった。「いい小説書きはそうだけれど、紫式部は本当に根性の悪い嫌な女(笑)。対して清少納言の随筆を読むと、感性が豊かでかわいらしくてお人よしな人柄が分かる。会いたい気持ちになりますよね」

本作では、25歳の若さで死んだ中宮定子の不幸な晩年と、彼女の実家である中関白家の衰退していく様子が丹念に描かれる。清少納言が『枕草子』では触れなかった影の部分だ。その過程で繰り返される「定命(じょうみょう)」という言葉が印象深い。

 「法話でも使う言葉。生まれた時には決まっているから長生きしようとしてもできないんだと。本人にそれが分からないのは、仏の恩恵(おんけい)であると同時に業罰(ごうばつ)でしょうね」

 類いまれな機知と言葉の力で男たちを痛快にやりこめる清少納言は、一方で二度の結婚を経験し、別の男とも情を交わす。〈一人で生きていける女になりなさい〉。清少納言の母の言葉は、男尊女卑(だんそんじょひ)の世でも、心には自由を抱く、作中の女性たちのたくましい処世術と重なる。

 「平安期やその前の奈良朝の時代は結構自由で、女性も堂々と離婚し、それを恥じなかった。本来、日本の性質は自由なんですよ」

 作家生活60年余り。講演やサイン会で精力的に全国を飛び回る姿に、周囲からは〈元気という“病気”〉という冗談交じりのほめ言葉も。創作の原動力を尋ねると、少し考えてから笑顔で話してくれた。

「お金じゃないわね。書き終わった時の解放感が何物にも代え難くて、ず〜っと書き続けている。『スランプで書けない』って一度は言ってみたいんだけれど…何か品が良くて大家みたいじゃない?」(海老沢類)

瀬戸内寂聴さんハンスト参加 怒りあらわ「何を考えているのか」
2012年5月2日 12:13 スポニチアネックス

経産省前に座り込み、関西電力大飯原発3、4号機の再稼働に抗議する(手前右から)沢地久枝さん、瀬戸内寂聴さん、鎌田慧さんら Photo By 共同 

 作家の瀬戸内寂聴さん(89)が2日朝、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働に抗議して東京・霞が関の経済産業省前で行われているハンガーストライキに加わった。

 瀬戸内さんは作家の沢地久枝さん(81)やルポライターの鎌田慧さん(73)らとともに、日没までハンストに参加。再稼働反対と印刷された鉢巻きを法衣につけて「90年生きてきて今ほど悪い日本はありません。このままの日本を若者に渡せない」と語り、再稼働に向けた政府の動きについては「何を考えているのか。不思議なことをすると思った」と怒りをあらわにした。

 瀬戸内さんは東京電力福島第1原発で事故が発生して以降、講演や著作などで脱原発を訴え続けている。

 ハンガーストライキは市民らが4月17日に開始。北海道電力泊原発3号機(泊村)が定期検査に入り、国内の全原発が停止する5日まで続ける。

満島ひかり、瀬戸内寂聴「夏の終り」で主演 小林薫、綾野剛との三角関係に溺れる
2012年06月23日 05時00分 ORICON STYLE

 女優の満島ひかりが、瀬戸内寂聴氏が出家前の経験を書き綴った私小説『夏の終り』(2013年公開)の映画化で主人公・知子を演じる。妻子ある不遇の作家との関係に疲れ果て、年下の男との激しい愛欲に溺れるも、満たされることのない自分自身の“女の業”に苦悩する難役を演じ、共演には小林薫、若手注目株の綾野剛が決定している。

 原作は、瀬戸内氏が1963年に発表し、そのセンセーショナルな内容が注目を集め、同年の女流文学賞を受賞。過去に同録の『みれん』のタイトルで映画化され、2005年にはフジテレビ系で『瀬戸内寂聴 出家とは生きながら死ぬこと』でドラマ化もされている。

 今回の映画化について、瀬戸内は「『夏の終り』は、私の数ある作品の中で、最も好きな小説です。五十年前に書いた小説が、今でもロングセラーとして読み続けられているのは、この中に出てくる男や女の愛と恋の悩みや喜びが、今も若い人々の胸に生き続けているからでしょう」と、深い思い入れを明かした。

 「色っぽく、濃厚な脚本に出会いました」と脚本の印象を語る満島。「小林さんの哀愁漂う深さと、綾野さんのみずみずしい鋭さ、スタッフたちのたくましい柔らかさと共に、花ざかりの女“知子”を、のびやかに生きていたいです」と意気込んでいる。

 知子を愛し、優しく見守りながらも妻とも別れられない、年上の男の寛容さとずるさを併せ持つ男・慎吾に小林。そして知子を求め、嫉妬と孤独に苦しむ年下の男・涼太を演じる綾野との間で、満たされない自分を知り、またその欲深さに苦しむ知子…。鬼才・熊切和嘉監督の手によって、息苦しい程の三角関係が描き出される。