2011/11/20 悲しみよ こんにちは・フランソワーズサガンの人生
フランスの作家、フランソワーズ・サガン(1935/6/21-2004/9/24)のチャートである。
その破天荒な生涯を描いた伝記的映画・『サガン -悲しみよ こんにちは-』(2008年)を最近、視た。
サガンは18歳でのデビュー作「悲しみよ こんにちは」が売れに売れて、批評家賞を得て、一躍時の人となり、印税収入で金持ちになり、友人たちに囲まれて、パーティーに明け暮れ、ギャンブルに興じ、またアルコールや薬物に溺れて、晩年は破産寸前になるなど、破天荒な生涯を送った。
その生涯は、興味深かったものの、連日連夜パーティーで騒いで、アルコールや麻薬に溺れて、ギャンブルに熱中していくという性格や行動心理は、私には、全く理解出来ないのである。まずギャンブルに熱中するというのはリスクをとって何かに挑むという耐えざる探究心と勇気が必要である。そして、理性よりも感情によって突き動かされていないと中々そのようにはなれない。人生が頭で考えたことよりも、本能的で肉体の欲求や衝動に忠実であることがそのような人生を可能にする。
その時その時の刹那的な感情や欲求だけに忠実に生きて、溢れる好奇心や勇気には満ちているが、未来への理想や規律がない人間の典型的なタイプであり、1つの心理学的な性格類型のテーマでもあるかもしれないが、金が有り余っていて生活の心配がないブルジョワ資本家階級の人間が陥る1つの退廃的な虚無的な生活スタイルと、思想がそこに表れている。そして、サガンを理解する為に「悲しみよ こんにちは」がどのような作品なのか読んでみたいと思っていたのだが、つい一昨日、読み終わることが出来た。
あらすじは、もうすぐ18歳になるセシルが、プレイボーイの父親と、父親の若い恋人のエルザと三人で南フランスの海辺の別荘でヴァカンスを過ごすのだが、途中で、もう亡くなった母親の友人であり、セシルも昔からお世話になっている40歳代のアンヌが合流して、エルザとアンヌと父親の三角関係で、いろいろ面倒なことになっていくというストーリーである。父親と結婚することになったアンヌの真面目で、きちんとして、規律的な性格による保護者的な態度が、セシルの自由気ままな性格と全く調和しないでエルザが悩む様子が描かれている。そして最終的にエルザはある計画を思いつくのであり、それが最終的に悲劇的な結末につながっていく。
この主人公のセシルが作品中で明らかにする感じ方、考え方は、全くフランソワーズサガンそのものであり、この主人公はサガンその人だと考えることができ、そういう意味で、サガンの人生や思想を解明する上では、非常に興味深い作品であった。
作品に登場するセシルと父親は、快楽主義で、虚無的で、理想と規律を自らに課すことができない弱さがある人々である。然し、好奇心があり、人間好きで、自由奔放な楽しい人々である。然し、アンヌは全くそうではなく、真面目で理想を持っており、理想の為に自らに規律を課していく、ある種、セシルと父親にはない強さを持っている。
この性格や根本的な人間性の違い、不調和の中で、セシルが、アンヌの課す規律に耐えられなくなって、音を上げるのである。
これはおそらくどこにでもありがちなことである。ここに典型的な人間類型の違いが現れている。
サガン(セシル)はある種、一部の人間には熱狂的に迎えられるような人間であり、破天荒で、冒険心に溢れた常に危険を求める人間である。
退屈なことに耐えられない人間である。
然し、アンヌによって体現される人物像は、一般に溢れている、社会に適応し、危険を冒さずに安全に人生を生きていく、一般大衆であり、ごく普通の人々である。
私はこのセシルと父親、そして、アンヌの人物像の対比を見て、これはフリードリヒ・ニーチェが『悲劇の誕生』の中で、言及したアポロンと、ディオニュソスの対比に一致していると思えたのである。
アポロンは、理想と規律の神であり、イデア論を唱え、物質を越えた形而上の価値を提示して、後にキリスト教の理想主義に繋がる西洋文明の道を整えたプラトンによって表される。一方のディオニュソスは酒と舞踊の神であり、プラトンの形而上学に反対して、肉体やこの世の生を重視して、形而上の価値は、元々存在せず、常に不確かな相対的な世界の中で、力への意志によって生を肯定し続けるという超人の思想を説いたツァラトゥストラ(ニーチェ自身)を表している。
ここで最終的なエンディングのネタをばらさない方がいいのかもしれないが、最後にアンヌは自殺かもしれない疑惑の自動車事故で死んでしまうのである。
これは形而上学、キリスト教、理想主義、理性、規律といったものによって、ごく真面目に人生を生きて努力してきた平均的な西洋人が、努力が報われないためにニヒリズム(虚無主義)に陥って、人生に挫折したことを表している。
アンヌの死にはそうした真面目な人間が陥りやすい弱さがあるように思えるのである。
一方で、元々、快楽主義者で、官能的で、理想や規律を求めない虚無的なセシルと父親は、力への意志によって、人生を建て直し、現実のこの生を肯定して悲劇から立ち直って暮らしていく。
つまり、元々ニヒリストであった人々の方が、理想主義者よりも、ずっと、人生を生きる上では強いのである。
理想主義者は、理想と規律によってこの生の欲望や快楽を抑制して、真面目に努力するのだが、理想が実現できないとわかった時の挫折感が大きいのである。
虚無主義者は、元々、理想などによって突き動かされているのでなく、人生は快楽や肉体といった、地上の原理によって、生きているため、理想がなくても、力への意志によって強く生きていくことが出来る。
このセシルという主人公は、―すなわち、これはサガン自身でもあるのであるが―は、 ディオニュソス的であると思えたのである。
・・・というような前置きは、占星術的な技法の話とは直接は関係ないが、快楽主義で、虚無主義に陥りやすい人間心理を理解する上で、興味深いテーマではある。
アストロデータバンクのデータからすると、彼女の出生時刻は、午前11:00であり、Rodden RATEはAAで、信用性は高いと思われる。
実際、出生図を作成すると、ラグナは獅子座プールヴァパールグニーであり、陽気で人生を謳歌する、ナクシャトラの支配星が金星で、タレント性の高い性格である。
ラグナロードの太陽は11室で2、11室支配の水星と接合しているが、この配置は彼女が、名誉ある賞を受賞し、名声や人脈、そして収入を得て、友人との社交(11室)が人生の主なテーマであり、また活動領域であることを示している。
実際、映画でも描かれていたが、彼女には兄姉がおり、また常に多くの友人に囲まれて、パーティーやギャンブルに明け暮れていたらしく、社交(11室)が人生のテーマである。
そして、その友人の中には同性愛者やバイセクシャルといった人たちも多くいたのは、この11室が双子座であるからであると思われる。
またその双子座には中性の惑星である水星が在住している。
彼女はマハダシャー木星期に入った木星/木星期の1954年に作家としてデビュー(『悲しみよ こんにちは』)し、木星期に批評家賞を受賞して、一躍時の人となり、名声やお金を得て、それで、木星期の間に2回結婚して離婚している。
木星は創作を表す5室の支配星で文筆を表す3室に在住し、また月から見た3室にアスペクトしている。
木星は11室と11室の支配星にアスペクトし、また月からみて11室の支配星である。
従って、この木星期に彼女は受賞して名声を得ている。
そして、木星は7室と7室の支配星にアスペクトして、1室と月からみた7室の支配星にもアスペクトしている。
従って、木星期の間に2回結婚したのである。
実際、最初の結婚は、1958年に出版関係者のギィ・シェレールとしており、木星/水星期である。
トランジットの木星が3室から7室にアスペクトしており、土星が5室から7室にアスペクトして、7室にダブルトランジットを形成している。
また土星と木星は11室にもダブルトランジットしている。11室にはラグナロードの太陽と、2室支配の水星が在住しており、結婚のハウスである1室、2室にアスペクトしている。
マハダシャーロードの木星は7室と7室の支配星にアスペクトしており、アンタルダシャーロードの水星はラグナロードの太陽と接合している。
然し、2年後の1960年の木星/ケートゥ期には離婚している。これは相手のガイ・シェーラーが他に相手を作ったからだと経歴には書かれている。
映画では結婚生活が最初からうまく行っていないように描かれていた。
この時、木星と土星は7室の支配星にダブルトランジットしていたが、その7室の支配星は同時に6室の支配星でもあるため、結婚した最初から関係があまりよくなかったと考えることが出来る。
次に結婚したのが1963年の木星/金星期、木星/太陽期辺りである。太陽が1室の支配星のため、おそらく木星/太陽期ではないかと思われる。
トランジットの木星は7室に在住し、土星は6室に在住して、6室にダブルトランジットが形成している。1963年の3月に木星が8室に入室したことで、土星と木星が8室にダブルトランジットして、結婚のハウスにダブルトランジットを形成している。木星の7室への入室と、8室へのダブルトランジットによって結婚したと思われるが、然し、その直前には6室にダブルトランジットしており、やはり結婚には緊張感が見られる。
そして、土星が6室から3室にアスペクトして、木星が7室から3室にアスペクトした時に3室に在住する5室支配の木星に対してダブルトランジットを形成していたために、この時に息子が誕生している。
然し、2年後の1965年の木星/月期、木星/火星期には離婚している。
月は別離の12室を支配して、7室に在住して、6室の支配星と接合しており、火星は、マハダシャーロードの木星から見て7室支配で12室に在住している。
おそらく月のアンタルダシャーの時期に別離の傾向が生じたと考えられる。
この離婚した時、木星は9室をトランジットし、土星は7室を単独でトランジットしていた。土星は月の上を通過しており、サディサティである。
ダブルトランジットは生じていなくても、7室で6室支配の土星と12室支配の月が接合して、その上を月が通過している為、結婚生活において抑圧や緊張があった時期であると理解できる。
然し、この時、9室と1室にダブルトランジットを形成しており、別離の6室にダブルトランジットは生じていない。あくまでも結婚生活に緊張があったということである。実際、この時、離婚はしたが、その後、7年間一緒に暮らしている。
従って、この辺り、伝統社会ではない、西洋社会、特にフランスという結婚と離婚に関してリベラルなお国柄では、制度的に離婚したからといって、それを実際上の離婚と同じに考えることはできない。この時、サディサティで結婚生活に重い緊張やストレスがあったとすれば、制度的には離婚して少し距離を置きましょうという意味での離婚であったとも考えられる。
その後、7年間も同棲していたのであれば、それは結婚が問題を抱えながらも継続していると占星術的には考えられるのである。
1965年に離婚して、1968年にはマハダシャーが土星期に移行しているので、やはり、土星期は6、7室支配の土星であることから、仲があまりよくない状態で結婚が続いたと考えられる。
結婚のタイミングについて検討してみたが、1つ大きな出来事が、デビューから3年目の1957年に起こった自動車事故である。
この時、ダシャーは木星/土星期である。
木星は8室の支配星であり、土星は6室の支配星で、またマラカの7室の支配星で、マラカの7室に在住している。
またこの6室支配の土星は乗り物の4室にアスペクトしている。
ナヴァムシャでは土星は6、7室支配で8室に在住している。
土星期は事故が起こりやすい時期であったと言える。
トランジットの木星は2室から6室にアスペクトし、土星は4室をトランジットして、6室にアスペクトし、6室にダブルトランジットしている。
事故の6室にダブルトランジットすることで、この時に事故を起こしたことがよく理解できる。因みにこの時、同時に10室にもダブルトランジットが形成されていたが、この事故によって、彼女は一躍、国中のメディアの注目を受けたということではないかと思われる。
そして、サガンは2004年9月24日に亡くなっている。
ダシャーは水星/土星期である。
マハダシャーロードの水星はマラカの2室の支配星で、アンタルダシャーロードの土星はマラカの7室支配でマラカの7室に在住している。
この時のトランジットが土星が入院や隠遁を表す12室をトランジットし、木星がマラカの2室をトランジットし、マラカの2室に木星と土星のダブルトランジットが形成していた。またこの日、トランジットの太陽もマラカの2室を通過していた。
以上の主な出来事をまとめると以下のようになる。
西暦 |
年月 |
出来事 |
V.Dasha |
C.Dasha |
Transit |
1954年 |
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『悲しみよ こんにちは』で作家デビュー |
木星/木星 |
蠍座/水瓶座 |
土星:3室
木星:11室
3室、5室にダブルトランジット
土星が逆行している為、
11室にもダブルトランジット |
1957年 |
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愛車で転落事故を起こし、九死に一生を得る |
木星/土星 |
射手座/蠍座
射手座/天秤座 |
土星:4室
木星:2室
6室にダブルトランジット
メディアから注目を浴びた為か、10室にもダブルトランジット |
1958年 |
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出版関係者 ガイ・シェーラーと結婚 |
木星/水星 |
射手座/乙女座 |
木星:3室
土星:5室
7室、11室にダブルトランジット |
1960年 |
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離婚 |
木星/ケートゥ |
射手座/蟹座
射手座/双子座 |
木星:5室
土星:5室
5室、11室にダブルトランジット
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1963年 |
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ボブ・ウェストホフと結婚、息子ドニ・ウェストホフが誕生 |
木星/太陽
※太陽は5室にアスペクト
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射手座/魚座 |
木星:7室
土星:6室
3室、5室にダブルトランジット
3月以降、木星が8室に移動し、8室にダブルトランジット |
1965年 |
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離婚 |
木星/月 |
射手座/山羊座
射手座/射手座 |
木星:9室
土星:7室
1室、9室にダブルトランジット
サディサティの真っ只中 |
2004年 |
9月24日 |
69歳で死去 |
水星/土星 |
蟹座/魚座 |
土星:12室
木星:2室
2室にダブルトランジット
太陽が2室にトランジット |
wikipediaより引用抜粋、一部編集
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次にチャラダシャーを見ていくが、以下がチャラダシャーの変動表示体(チャラカラカ)である。
AK(アートマカラカ)=1室=肉体
Amk(アマティアカラカ)=10室=仕事
BK(ブラトリカラカ)=3室=父親(※BKは父親を表すが、ブラトリは兄弟を意味する)
MK(マトリカラカ)=4室=母親
PK(プトラカラカ)=5室=子供
GK(グナティカラカ)=6室=親戚
DK(ダラカラカ)=7室=配偶者
作家デビューしたのは蠍座/水瓶座である。蠍座から見ると、Amkが10室にアスペクトし、水瓶座からみると、AKが10室にアスペクトしている。
愛車で転落事故を起こしたのが、射手座/蠍座、あるいは射手座/天秤座である。
まず、チャラダシャー射手座の時期は転落や事故の危険がある注意が必要な時期であるとされている。
射手座から見ると、肉体を表わす(1室の支配星に相当)AKが8室に在住している。
然し、射手座から見るとキャリアを表すAmkが11室に在住している。
従って、この時期に事故を起こしたということは納得できるし、また彼女は事故を起こしたにも関わらず、マスコミから注目を浴びて、この時期、作家としての彼女の評価は高まっていたと考えられる。
次に最初に結婚した1958年は、射手座/乙女座であり、射手座から見ると、DKが7室に在住しており、乙女座から7室にDKがアスペクトしている。
また乙女座自身にもDKがアスペクトしている。
離婚した1960年は射手座/蟹座、あるいは射手座/双子座である。
射手座からみると蟹座は8室である。また蟹座から見るとDKは12室(別離)に在住している。
また射手座から見ると、DKが7室に在住しているが、そこにはGK(6室の支配星に相当)が在住しており、
結婚生活には常に障害が伴うことを示している。
次に2回目の結婚は1963年にしており、射手座/魚座である。
魚座から見ると、7室にDKがアスペクトしている。(然し、同時にGKもアスペクトしているので、やはり結婚生活には困難が予想される)
そして、この時期、子供が誕生しているが、魚座から見た5室にはAKが在住し、PKがアスペクトして、5室にジャイミニラージャヨーガを形成している。
1965年に離婚しているが、射手座/山羊座、あるいは射手座/射手座である。
山羊座は獅子座ラグナからみて6室であり、山羊座から見るとDKが6室に在住している。従って、離婚のタイミングである。
然し、次に射手座/射手座の時期が来ており、この時期は射手座からみて7室にDKが在住している。
射手座の時期は1956年6月20日から1966年6月20日まで10年間続いたが、この射手座からみてDKが7室に在住する射手座の時期に主に2つの結婚と離婚を経験したのである。射手座からみた7室にはDKとGKが在住しており、結婚したが、然し障害もあって、離婚もしたという経験をこの2つの表示体がよく表している。
射手座はDKからみた7室のため、チャラダシャーでみた場合に結婚のハウスであるが、この射手座は結婚に関して意味を持つハウスのため、
ここにラーフ/ケートゥ軸がトランジットする時に結婚する可能性が高くなるが、2回目の結婚の1963年は6月からラーフ/ケートゥ軸が双子座/射手座の軸に入室している。双子座にはDKが在住し、射手座はDKから7室目である。
そして、ここで1965年に離婚をして、然し、その後も7年ぐらい1982年まで同棲はし続けるようである。
然し、1966年から次のチャラダシャー山羊座に移行し、山羊座から見ると、DKは6室に在住している。
従って、やはり、離婚した後も一緒の家に住み続けていたとしても、関係には障害があったと思われる。
このようにパラシャラ方式で見ても、ジャイミニで見ても、ダシャーとトランジットで、過去の事象は説明可能である。
従って、フランソワーズ・サガンの出生時間はAM11:00付近でよいと思われ、ラグナも獅子座ラグナで正しいと思われる。
因みにフランソワーズ・サガンのチャートの特徴として、言い忘れていたことであるが、彼女の月はケーマドゥルマヨーガである。
月からケンドラに土星が在住しているので、バンガしてはいるが、然し、この配置は彼女が非常に友人たちに囲まれながらも心理的には孤独であったことを表している。
サガンは若き日の対談集『愛と同じくらい孤独』(新潮文庫版、朝吹由紀子訳)で、人生観を語っているようだが、孤独が好きであることについて言及している。
11室に在住する惑星は月にアスペクトしておらず、土星のみが不安定な月を支えている。然し、その土星は6、7室支配の機能的凶星化した土星である。
これは彼女は問題を抱えたパートナーとの結婚生活、やがて離婚に繋がるような結婚生活によって心理的に支えられなければならなかったことを表している。
また5室支配の木星が3室からアスペクトしているが、1人息子のドニ・ウェストホフが彼女の心理的支えであったとも考えられる。
あるいは創作活動が彼女の心理的な不安定さをカバーしたと言えるかもしれない。
つまり、問題を抱えてはいるが、パートナーとの関係、そして、1人息子との関係、 そして彼女の作品の愛読者が彼女の支えであったと思われる。
彼女は2番目の離婚をした後は、 ファッション誌『ELLE』の元編集長ペギー・ロッシュと同棲生活を送るので、パートナーというのは同性のパートナーも含まれる。
この時期が主にマハダシャー土星期である。
映画の中では、ペギーロッシュが不治の病にかかり、サガンよりも先に逝くのであるが、その時に「私を残して逝かないで」とサガンが悲痛に嘆くシーンが出てくる。従って、彼女の心理的な支えであったことがよく理解できる。
つまり、ケーマドルマヨーガである月を、この月からケンドラに在住するパートナーとしての土星が支えていたのである。
然し、この土星はラグナから6室支配で、月は12室支配で、6室の議論と12室の別離という象意によって色づけられるため、束縛をし合わない特殊な関係であったのかもしれない。
最後に彼女の作風であるが、 私は殆ど作品を読んだことがないので分からないが、wikipediaには、「中流の人々のやや平穏無事な生活の描写で有名」と指摘されている。
「悲しみよ こんにちは」では自由奔放な恋愛や気楽な生活スタイルを描いている。
これは、おそらく5室支配で3室に在住する天秤座の木星が表している。天秤座は恋愛や気楽で自由奔放な生活スタイルを示す星座である。
そして、3室支配の金星が12室で蟹座アーシュレーシャに在住しているが、これは蟹座の為、”平穏無事な生活の描写”というのは、この蟹座から出てきていると思われる。
蟹座は安全思考で平穏無事で家庭的な星座である。
然し、その平穏無事な生活の中にも、常識や規範を踏み越えるような三角関係などの特異な恋愛模様が描かれるが、これはアーシュレーシャの象意である。
このように作風も惑星や星座の象意によってよく表れていると思われる。
(参考資料)
wikipedia フランソワーズ・サガン
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