2011/9/27 田中角栄のラグナについて
先日、9月18日、19日東京で、デリーの占星術学校ヴァラーティア・ヴィディア・ヴァヴァンの講師であり、またジャーナル・オブ・アストロロジーの編集長でもあるディーパック・ビサリア氏の来日セミナーがあった。私は昨年末の外国人向けセミナーで色々とお世話になったこともあり、お礼参りも兼ねて参加させて頂いた。来日の準備をされた方々はご苦労様です。
ビサリアジのセミナーの内容は、私が最近、BVB(ヴァラーティア・ヴィディア・ヴァヴァン)の英語文献を自力で翻訳しながら学習を進めてきたことをカバーして、チャートリーディングのポイント的なことを教えてもらえた点で非常に有益であった。
またセミナーで扱われた有名人が、私がコラムの中で検証した有名人も幾人か取り上げられており、例えば、管直人や野田佳彦も取り上げられたが、同じラグナだったので安堵した。
それで田中角栄のチャートであるが、私も2チャンネルで拾ってきた出生データ(14時)でチャートを以前から作成しており、そうすると獅子座ラグナ(25°19')になるのであるが、今回、ビサリアジは、蟹座ラグナに修正していた。
蟹座ラグナだと、10室で太陽が高揚するので、政府の行政の最高職という立場をよく説明できるのである。
確かに蟹座ラグナという線は考えなくてはならない線であったが、今まで何度か田中角栄のチャートを見てきたが蟹座ラグナの可能性は全く考えなかった。
14時で作成した獅子座ラグナのチャートを疑うという発想がまず出てこなかったのである。
然し、今回、セミナーの中で、田中角栄のチャートの検証を聞いたら、蟹座であるということで納得できた。
まず、田中角栄を蟹座ラグナにすると、インディラガンジーのチャートに非常に似ているのである。
インディラガンジーのチャートを参考に、田中角栄のラグナを蟹座で検討したと、ビサリアジも説明していた。
インディラガンジーは、ラオ先生の『Nehru Dynasty』で取り上げていて、ヴァラーティアヴィディアヴァヴァンでは、何度も繰り返し研究し尽くしているチャートである。
インディラガンジーのチャートは、3つの星座交換がある非常に個性的で強力なチャートをしており、
特に月と土星の星座交換は、大衆からの人気とかカリスマを表すようである。月は人気を表し、土星は大衆を表す惑星である。
またラグナの両側をケートゥと火星が挟んでいて、パーパカルタリヨーガを形成しており、また2室と12室に同じ数の惑星が在住しているため、 犯罪傾向や、逮捕投獄を表すバンダナヨーガが出来ているという解説があった。
この配置が、全く同じように田中角栄にも出来ている所が見どころである。
また火星と太陽の星座交換が、ハウスは違うが、同じように形成している。
田中角栄も、インディラガンジーと同じく、まさに国家、国民を率いて一つの方向に導いていくようなカリスマ的指導者であり、民族指導者と言えるため、やはり、それなりの強力なチャートを持っていなければならないが、もし獅子座ラグナだとすると、月と土星は6−12室の軸で星座交換して質が大幅に低下してしまう。
また太陽と火星も1−9室の軸で星座交換するのは、宗教的探究や、学問などに打ち込む人を表しており、特に実業や政治の世界で活躍していくような人物には見えないのである。
一方で、蟹座ラグナにすると、2室と10室で火星と太陽が星座交換し、政府の行政の最高職(内閣総理大臣)に就任したり、10室支配で2室に在住する火星は、土建屋として、建設関係に関わったことを表している。
太陽は政治を表し、一方、土木とか土地とか不動産は火星が表示体である。
田中角栄が、アメリカの意向から離れて独自外交をすすめたのは石油資源などを自前で確保しようとしたからであり、つまりは政治活動とビジネス活動が一体化している。これが火星と太陽の2室と10室での星座交換である。また自分が取得した土地に新幹線を開通させるようにして、値上がりした土地を転売して儲けたり、政治と個人的ファミリービジネスが一体化しているのはこの配置なのである。
蟹座は本来、自分の家と家族のメンバーにしか興味がなく、自分の家族になった人物の面倒見はよいのである。
だから田中角栄が総理大臣となった古き良き時代には、日本国民の父親として、家族(日本国民)の面倒はよく見たと言える。
私が以前から民族指導者というのは蟹座であるという理論を持っていたが、それが証明されたかたちである。
田中角栄は一級建築士の資格を取り、土木建設の会社から始まって、政治家となっていることから、まさに蟹座ラグナで10室と太陽と火星が絡んでいる配置が説明できる。政治家としてゼネコンに便宜を図って、企業献金をもらう仕組みを確立し、土建屋というファミリービジネスもするようなイメージである。
然し、獅子座ラグナだと、10室支配の金星が8室に在住し、10室に木星が在住しているため、田中角栄の職業と一致しない。
従って、この位、見てきただけでも、もう蟹座ラグナであることが分かるのである。
田中角栄が蟹座ラグナとセミナーで聞いて、後で、子供の誕生のタイミングと一致しているかを検討してみたが、
例えば、 長女・田中真紀子の誕生した1944年1月14日のトランジットを見てみると、
5室支配の火星に木星がトランジットし、5室に土星がアスペクトし、さらに火星も5室と5室の支配星にアスペクトし、月も5室の支配星の上を通過していた。
また9室支配の木星の上にも土星と火星がトランジットしており、木星は逆行して9室にもアスペクトしている。
獅子座ラグナとすると、このようには説明できない。
さらに長男・正法(没1947/9)誕生時のトランジットを見てみると、
やはり、土星と木星が蟹座からみて5室にアスペクトし、月はラグナをトランジットし、火星は9室の支配星にアスペクトしている。
田中角栄が蟹座ラグナだとすると、5室支配の火星が2室の獅子座に在住しているので、これは角栄の秘蔵っ子であった弟子の小沢一郎を表している。
とすると、以前、小沢一郎のラグナを獅子座ラグナに修正したが、そのことも正しかったと思われた。
田中角榮を「オヤジ」として慕い、政治のイロハと人生の薫陶を受けたと語る。それは「どぶ板」とも言われる、人口密度の低い農村部から始め有権者の家を一戸一戸回っていく地道な選挙活動を決して怠らない事をオヤジから学んだという。
田中角栄の長男である正法(1947年、5歳で死亡)と小沢が同じ1942年生まれであったため、角栄は小沢を息子のように可愛がったとされた。それに対して小沢も角栄を慕い、田中派から独立した経世会に所属した国会議員で唯一、田中の裁判をすべて欠かさず傍聴した。同時に角栄の娘、田中真紀子との関係もよく(真紀子も、小沢を兄のような存在だと認識している)、旧竹下派の中では唯一田中家から許されているため、命日には田中家を訪問した。そのため親交が深く、真紀子の自民党離党、民主党会派入りに小沢は尽力した。また、「政治の父は田中角栄」と公言した。
(wikipedia 小沢一郎より引用抜粋) |
火星はゼネコンを表しているため、ゼネコンからの企業献金を得る仕組みを譲り受けたり、また新潟県の大手ゼネコン「福田組」の経営者だった福田正氏の長女である福田和子氏と、田中角栄の仲介で、小沢一郎が結婚することになるというような流れは、この2室(家族)に在住する火星が表している。
田中角栄は、偉大な民族指導者として高い評価を受ける一方で、汚職や政治の利権構造を作った元祖として批判されたり、その功罪が議論される人物である。
副島隆彦氏によれば、田中角栄はロッキード事件で捕まった時、 「ネルソン(ロックフェラー)にやられた」と漏らしたそうである。
ロッキード事件は、中国と勝手に国交を回復したり、アメリカから自立しようとした田中角栄を失脚させるために仕掛けられた事件であったそうである。
牡羊座で高揚する太陽がバラニーで、 CIAの動きとか、諜報組織とかに詳しく、アメリカの支配者層のことも知っていたと思われる発言が興味深い。
太陽は高揚しているが、ナヴァムシャで減衰しており、最初は栄華を得たが、最後の最後には部下から裏切られて、また権力を失って失脚していった辺りは、本質的には弱い太陽が表していたと思われる。
田中角栄のチャートは、インディラガンディーに匹敵するほどのチャートであり、2つの星座交換を持ち、高揚する太陽や金星といった強い惑星を持ち、その一方、ナヴァムシャで太陽が減衰していたりといった、非常に個性的で興味深いチャートである。
私にとって、ラグナ特定の作業は、知恵の輪を解いたり、ルービックキューブを解いたり、例えば、数学者が数学オリンピックに出て、難しい問題を解いたりするような活動に似て、一つの競技、スポーツ、あるいはゲーム、挑戦であり、それは最初に成し遂げなければあまり意味がない。
そういった意味で、小沢一郎の親分である田中角栄は出来れば自分でラグナ特定したかったが、然し、今まで蟹座ラグナという発想は、何回か見ていたにも関わらず、出てこなかった。これは残念である。
また田中角栄の人物像についての知識が不足していたので、蟹座を推測するような材料がなかった。
然し、追試で、検証してみても、子供の出産のタイミングから、田中角栄は蟹座ラグナである。
いろいろ角栄の歩みを伝える記事などを読んでも、非常に周囲に気を配る人物で、政敵にさえも花を贈ったりして、味方にしてしまうような魅力があったそうである。
その辺りは水の星座の特徴であり、主に蟹座の特徴ではないかと思われた。
また今回のビサリアジのセミナーは、東京の水道橋で行われたが、水道橋という地名には、水に関係する文字が含まれている。
だから、今回、セミナーに参加した人も、またビサリアジ自身もそうかもしれないが、水の星座が関係していたのではないかと思われるのである。
また私自身は現在、金星/月期にいるのであるが、月は蟹座に在住している。
そして月期に入ってから、水道橋と縁が深くなっており、たびたび訪れるようになっている。
それで、今回のビサリアジの来日セミナーも水道橋であったことから、驚いたのだが、これは明らかに私自身も今現在、水の星座に関係するカルマがあり、また来日したビサリアジにも水の星座との関係が惑星配置から現れていたのではないかと思われた。
そして今回、田中角栄がクローズアップされたのは、今、田中角栄のチャートの10室に木星がトランジットし、土星もまもなく天秤座に入ることから、10室にダブルトランジットが形成されるからである。
そのようなことをセミナーが終わった後で考えていた。
以前、日本は水の国であり、ヤクザ(暴力団)、宗教家、右翼(民族指導者) のトライアングルによって形成されている国家であるとコラムの中で書いたが、もちろん、永田町の政治家と霞が関の官僚も、同じ水の星座で支配されており、料亭などでの密会とか談合といった文化が昔からあった。
そうした水の社会である日本において、蟹座ラグナの田中角栄は、一つの時代を体現する人物であったと思われる。
日本が高度経済成長期にあって、これから民族として発揚していく時代に政治家の子分や官僚たちに金を与えたり、接待して、政官財の汚職の構造や利権構造、天下りの仕組みなどを作った元祖は田中角栄だそうである。その当時の時代は経済発展さえして国民が豊かになってさえいれば汚職が大きな問題とされなかった時代である。
また角栄は多くの愛人がいて隠し子がいるそうだが、そうしたことも問題とされなかった時代なのである。
その角栄をアメリカの息がかかったマスコミの煽動によって国民が批判し、誰もが汚職政治家として蔑んだ。
アメリカの影響下から抜け出して日本が独自に石油資源を開拓しようとして導いた国民の英雄を、ニューヨークの金融資本家の策謀によって失ったのである。これは悲しき父親殺しの物語である。
日本の国民は諸外国からよく何を考えているか分からないと言われ、また日本人の殆どは精神病であるとよく書かれていたものである。
これは水の象意の中でも蠍座の象意ではないかと思われる。
また自民党の出生図を作ると蠍座に惑星集中しているのであり、赤坂の料亭文化とか談合・密室政治などは蠍座の象意である。
だから国民が蠍座だとすると9室は蟹座になるので、まさに角栄を失うというのは、アメリカに騙されて父親を失ったという国民の悲しい物語である。
もし、これを今のプーチンのロシアに例えてみたら分かると思うが、もしプーチンが外国の陰謀で失脚したら、国民は怒り狂うだろうと思われる。
またそうなる前に国民はプーチンを守るだろう。今のロシアでは、金融自由化によって激しい市場原理と欧米の資本支配によって苦しんだロシア国民にとって、欧米の手先である新興財閥(オルガリヒ)による寡頭支配を打破し、オルガリヒを国外追放して民族の誇りを取り戻したプーチンは国家の英雄である。
その民族の英雄となった指導者は、国益を追求し国家を拡張しなければならないため、北方領土問題などで既成事実を積み上げて領土の拡大に努めるのは必定である。彼の外交は勝つか負けるかであり、それが民族指導者の性質である。それは蟹座の性質でもあるのだが、民族指導者、あるいは独裁者は、戦争によって国土を広げたり、戦利品によって国民に益をもたらさなければならない。
話が少し脱線したが、日本国民が蠍座だとすると、そこから9室に該当する蟹座は父親であり、田中角栄は日本国民の父親である。
だから、アメリカの息のかかったマスコミの煽動で田中角栄を失脚に追い込んだのは、悲しき父親殺しの物語である。
本来、日本の国民にとって今のロシアのプーチンにも例えられるような人物をアメリカに騙されて国民総出で有罪に追い込んだのである。
これはインドのインディラガンディーも同じで、ニューヨーク金融資本家の出先機関である世界銀行からの融資がパキスタンとの関係悪化を理由に削減されたため、世界銀行・アメリカに反発し、社会主義政策路線に国民を導いて民族の威信を取り戻した。
だから田中角栄もインディラガンディーも蟹座ラグナで、チャートが似ていて、同じように民族の指導者であり、また逮捕投獄を経験している。
田中角栄の時代では善だったこと、あるいは必要悪だったことが、今の時代には全く悪、許容できない不正となってしまい、今は、事業仕訳けとか、角栄の時代の遺産の整理に追われている。
水の国家の官僚たちも水の象意で、角栄によってうま味を与えられて、誰も田中角栄の足を引っ張るものはいなかった。
然し、田中角栄の子分達の時代になると、角栄のチャートの5室支配の火星が2室の獅子座に在住して、獅子座の象意となるため、 小沢一郎とか獅子座の人物は官僚とうまくやっていくことが出来ない。火は水に消されてしまうのであり、火の星座の人は水の星座の人に足を引っ張られたり、勝てないのである。
あの政治手法は、蟹座ラグナの角栄にしかできなかったことであり、 獅子座ラグナの人物では水に足をすくわれて失脚してしまうのである。
先日、島田紳助の暴力団との交際が発覚し、その後、島田紳助が引退して、マスメディアが賑わっていたが、 美空ひばりが活躍していたような時代には暴力団との交際は問題にはならなかった。然し、今では暴力団との交際は大きな問題となり、社会的に厳しい制裁を受ける。
今の時代ではもう民族指導者というものは出てこない。それはインドでも同じである。
もうインディラガンジーのように国家政策を社会主義に導くとか大規模な政策によって国民全体を一つの方向に引っ張っていくような強力なリーダーは出てこない。
民族主義者のスタンスとは国益の追求であり、国民の繁栄である。
然し、地球の問題というものは、一つの国家の守備範囲を大きく超えてしまったのである。
原発問題にしても、もう一国だけが廃止などしても、他の国の汚染の影響が、自分の国にも及ぶ。
一国の問題は世界の問題であり、世界の問題は一国の問題でもある時代になったのである。
そのために国連というものが、より重要になってくるが、民族主義者はそれを嫌う。
だから田中角栄も、国連などには全く興味がなかったと思う。それよりも二国間関係の方が彼にとっては重要だったと思われる。
これは北朝鮮もおそらくそうなのである。民族主義的指導者や、独裁者がいる国家は、国連などよりも、二国間関係を重視するのである。だから北朝鮮はアメリカと取引して二国間の契約を結びたがるのである。
ブッシュ政権の時、ネオコンという人々が台頭して、アメリカ新世紀プロジェクトなる、アメリカの力で世界を統治していくという右翼的な思想が強力に提唱された。
そのネオコンが国連(水瓶座)ぎらいなのはよく知られている。ネオコンというのは蟹座であり、ネオコンの意志とはアメリカという国家の民族主義的な発揚なのである。
それでイラクに侵攻したのであるが、この不正な戦争が国民からもある程度の支持を得ていたようにも思われた。
9.11によってアメリカ国民の意志をまとめ上げて民族的な発揚に結びつけたのである。
アメリカで赤狩りが全盛でアメリカの空気が右翼的なもので満たされた時、それを推進していたジョセフ・R・マッカーシー上院議員が、
イルミナティーの陰謀について激しく言及した。すると、マッカーシー上院議員は失脚し、どこかに消えてしまった。
民族主導者というのは、イルミナティ(水瓶座)に勝てないのである。
つまり、蟹座から見ると、水瓶座は8室に該当する。
あるいは、水瓶座でなくても双子座でも、天秤座でも4室や8室のモクシャハウスに該当して、水は風に勝てないのである。
それと同じように、社会に風が浸透してくると、水はどんどん力を失っていく。
だから田中角栄はまだ風の影響が浸透しない古きよき時代の人物である。
今は価値観が水の時代から風の時代にものすごい勢いで転換しつつあるのである。
(参考文献)
wikipedia 田中 角栄
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