| 2010/1/10 作家・渡辺淳一のチャート
 昨年の暮れに、書店の店頭に渡辺淳一著の『告白的恋愛論』が並べられているのに気がついた。
 
 
           
            |  | 目次
 一、純子の章 ふりまわされた恋
 
 二、姉妹の章 はじめて知った愛の妖しさ
 
 三、澄子の章 自殺未遂の女
 四、千景の章 性の自信を取り戻す
 五、真由美の章 強すぎる女への戸惑い
 
 六、裕子の章 逃げられて追いかけて
 
 七、貴子の章 自らの美学に生きる
 
 八、お市の章 ほかすには惜しいから
 
 九、久美子の章 性愛にかけた愛
 |   ふと手にとって、中身を見ると、渡辺淳一氏が今までの人生の中で経験してきた女性遍歴とそうした経験を通した気づきや理解、悟りなどについて、赤裸々に詳細に綴っている。
 
 渡辺淳一と言えば、失楽園を発表して、一世を風靡して以来、メディアに頻繁に登場する性愛的な作品ばかりを書いている作家というイメージがあり、あまり、まともな感じはしなかったが、この『告白的恋愛論』の内容は、経験した恋愛について客観的に正直に振り返って、男女の関係について真剣に考察している。
  この渡辺淳一氏のチャートを作成すると、以下のように月が射手座に在住しており、チャンドララグナで見ると、タイガーウッズのように6室支配の金星が12室に在住して、12室支配の火星と接合しており、先日から不倫騒動が全米のメディアによって報道されているタイガーウッズの配置と非常によく似ているのである。
 (因みに渡辺淳一氏の出生時間は分からないため、本来、12:00で作成するが、掲載しているチャートは仮にラグナを蟹座のアーシュレーシャに設定している)
 
 タイガーウッズの場合は、6室支配の金星と12室支配の火星が星座交換していたが、 星座交換していなくても、金星に絡んでいるので、象意としては似たようなものを表わすのである。
 
   すると、射手座ラグナにとっての金星は愛人を表すという前回、タイガーウッズのコラムの所で記した認識が、ここでも機能していることが確認できるのである。
 この『告白的恋愛論』という渡辺淳一氏の自伝的作品は、まさにそうした6室金星的体験を綴った作品である。
 
 例えば、タイガーウッズがレイチェル・ウチテルに宛てた以下のような電子メールの内容がまるで、ラブレターのようだとネット上で指摘されていたが、こうしたメール文は渡辺淳一氏の失楽園をはじめとする性愛文学にも出てくる情緒的で感傷的な内容であり、読んでいて、非常に共通点を感じるのである。 
          こうした感傷的で情緒的な関係性は、蠍座の金星や火星によって表わされていると思われる。
 
 
           
            | I know it's brutal on you that you 
              can't be with me all the time いつも君と一緒にいられないという事実は残酷だ
 
 
 Why didn’t we find each other years ago. We wouldn’t be having this 
              conversation.
 僕たちがわずか数年先に会っていたなら、こんな会話をすることもなかったのに
 
 
 I finally found someone I connect with, someone I have never found 
              like this.
 僕はやっと(人生を?)ともにする人を見つけた。これまでは感じることのできなかったそんな人を
 
 
 ※タイガーウッズがレイチェルウチテルに宛てたメール
 |   渡辺淳一氏は、医学部を卒業しており、医学博士までなった後、医者を辞めて、作家として活動してきている。
 
 受けてきた教育内容としては、理科系で、しかも、生物学とか、化学とかの要素が強かったと思われる。
 『Planet and Education』(惑星と教育、Naval Singh著、K.N.ラオ監修)によれば、水の星座や月は化学を表わし、特に蠍座は化学を表わす星座であるという。
 
 Naval Singh氏によれば、月や水の星座がラグナや水星からみて5室や5室に支配星に絡む場合に化学を表わすというのである。
 
 また木星が土星や火星などの凶星から傷つけられる場合に生物学を表すという。
 木星は生物(living being)の表示体のようである。
 
 医学の専門知識を収める基礎知識として、化学と生物学は重要であると思われるが、水の星座で、しかも蠍座に火星、金星、水星が惑星集中している配置は、彼の化学的素養を表わしており、そして、それは同時に彼の性愛文学などの創作活動にも直結していたのではないかと思われるのである。
 従って、そうした観点から、大雑把に、彼は蟹座ラグナなのではないかと推測したのである。
 蟹座ラグナだと、水の星座で化学の表示体である蠍座が5室になり、知性や創作活動を特徴づける要素となる。
 従って、彼は医者になったし、同時に作家になったと考えられるのである。 蟹座ラグナであれば、3室支配の水星が5室に在住して、文筆活動による創作を表わし、その水星に金星と火星が絡んでいるので、失楽園などの男女の濃厚な恋愛模様を描くような性愛文学に結実するのである。
 一方で、彼は「遠き落日」などの初期の作品の中で、野口英世の肯定的な面と否定的な面の両方を描いて、人間・野口英世を描き出すというような、理想化のない、批判的で、正確な人間描写も初期の作品においてしている。
 これは蟹座ラグナである場合、9室支配の木星が3室に在住していることによって、批判的で鋭い分析を可能にしているのではないかと思われるのである。
 
 おそらく乙女座に在住する木星は批判的で正確で現実主義で歯に衣を着せない分析を可能にするのである。
 これは現実を見ないで理想化する魚座と正反対に位置する乙女座の性質である。
 
 彼は『告白的恋愛論』によれば、若い頃は奥手で真面目な青年で、坊ちゃん的な性格であったことを述べている。
 そして、しばしば結婚のことを心配する母親が頻繁に登場することから、マザコンで、母親の影響が消えない特徴を示している。これは蟹座の特徴である。
  そして、彼の『告白的恋愛論』を読めば分かるが、彼は多くの女性たちと関係を持ちながらも、北海道の実家には、母親が縁談を勧めた妻がいるのである。 その妻は全く彼の恋愛遍歴の女性たちとは全く別次元の存在のようである。
 これはおそらく蟹座ラグナであると考えると、7室に在住する自室の土星が表しているのではないかと思われるのである。土星は8室も支配して、7室に在住しているので、結婚が避けられなかったカルマ的な相手である。
 
 非常に堅実で、実務的で、生活して行く為のパートナーであり、ビジネスパートナーのような関係性ではないかと思われる。 
          しかし、その妻の存在は、彼の恋愛経験には全くカウントされないのである。
 これはまさに蟹座ラグナであるとした場合の7室土星が表しているのではないかと思われ、こうしたことからも彼が蟹座ラグナではないかと思われるのである。
 
 彼は輝かしい受賞暦を持っており、これらは11室の象意であり、11室が強いことを表している。
 11室が吉星やトリコーナの支配星と絡んで強い可能性があると言えるのである。
 
           
            | 受賞歴 
 1965年(昭和40年) 第12回新潮同人雑誌賞 - 『死化粧』
 1970年(昭和45年) 第63回直木賞 - 『光と影』
 1979年(昭和54年) 第14回吉川英治文学賞- 『遠き落日』『長崎ロシア遊女館』
 1983年(昭和58年) 第48回文藝春秋読者賞 - 『静寂の声 ― 乃木希典夫人の生涯』
 2001年(平成13年) アイスランド隼勲章騎士章
 2003年(平成15年) 紫綬褒章
 
 (wikipediaより引用抜粋)
 |  彼が蟹座ラグナであるとすると、5室に在住する惑星群が11室にアスペクトし、さらに9室支配の木星も11室にアスペクトし、11室支配の金星は自室にアスペクトバックし、5、10室支配のラージャヨーガカラカの火星と接合して、5−11室のダナヨーガを形成している。
 これは彼が創作活動によって名声や称号を得ることを表していると考える事が出来る。
 従って、今のところ、大雑把に考えて、渡辺淳一氏の蟹座ラグナの可能性を考えている。
 
 人生の出来事とダシャーと、トランジットの一致を調べるステップが残っているので、蟹座ラグナの可能性というのは、まだ印象であり、可能性の一つである。
 
 
 タイガーウッズの事件や渡辺淳一氏の『告白的恋愛論』に遭遇したのは、ちょうど、トランジットの金星と太陽が、蠍座を運行している時で、タイガーウッズや、渡辺淳一氏の蠍座の金星にトランジットの金星がリターンしていた時である。
 
 太陽は1ヶ月周期の自分自身を表しているので、蠍座に縁がある時期にそうしたことについて触れる機会を得たのである。
 いつも思うことであるが、人間の活動というものは、惑星の運行や出生図が示すカルマによって、影響されているのである。 
          
 
 (資料)
 渡辺淳一 wikipedia 『告白的恋愛論』 角川書店 渡辺淳一著 |