占星コラム


2009/2/5 スマイリー菊池の日蝕について

本日、以下のようなニュースがネット上で報じられており、 夕方のNHKのニュースではお笑い芸人のスマイリー菊池氏のブログに中傷記事を書き込んだ男女が名誉毀損容疑で、書類送検されたと報じていた。

調べてみたところ、スマイリー菊池氏はヨン様の物まねで知られるお笑い芸人である。



彼のブログには数百件の誹謗中傷の書き込みがなされて閉鎖に追い込まれるという、いわゆる”炎上”といわれる現象が起こっていたようである。

お笑い芸人をブログで中傷 男女18人を名誉毀損容疑で立件へ
2月5日10時50分配信 産経新聞  

お笑い芸人の男性(37)のブログに「人殺し」などと中傷する書き込みをしたとして、警視庁中野署は5日、17〜45歳の男女18人を名誉毀損容疑で近く書類送検する方針を固めた。ブログの悪質な書き込みが短期間に集中する現象は「炎上」と呼ばれ、著名人の言動をきっかけに始まり、ブログを閉鎖する事態に発展することも少なくない。こうした書き込みの一斉摘発は初めてという。
同署によると、書類送検されるのは、札幌市の女子高生(17)、大阪府高槻市の国立大職員の男(45)ら。自宅や職場のパソコン、携帯電話から書き込んだことが確認され、事情聴取に「殺人犯だと思い込んでしまった」などと供述しているという。同署で通信記録を調べ、書き込みをした数十人のうち、悪質な書き込みを繰り返した18人を特定。18人は昨年1〜10月、男性のブログで「人殺しが何で芸人やるんだ」「死ね、犯人のくせに」などと事実無根の内容で中傷した疑いが持たれている。
これとは別に、同12月に「殺してやる」と殺害予告の書き込みをしたとして、川崎市の20代の女が脅迫容疑で書類送検されている。男性の所属事務所が「(東京都)足立区出身の元不良」というキャッチフレーズで男性を売り出したことがきっかけで、インターネットの掲示板などで、平成元年に足立区で少年4人が起こした女子高生コンクリート詰め殺人事件に、男性が関与したとの書き込みが始まった。事務所が関与を否定しても書き込みは続き、男性が昨年1月にブログを開設すると、さらに悪質な書き込みが殺到。中傷は合わせて数百件に上ったという。男性はブログの書き込みを制限し、同8月に同署に被害届を出していた。


私が興味を持ったのは、彼が誹謗中傷されているその内容ではなく、何故、彼がこのような目にあわなければならなかったかである。

それでチャートを作成してみると、非常に興味深い配置をしていることが分かった。


彼が誕生した1972年1月16日は、日本では観測できなかったようだが日蝕が10時〜12時(UT)の間に起こっており、 チャートをみると、ラーフ/ケートゥ軸と太陽と月が非常に近い場所に近接しており、太陽が月の影に隠れて見えなくなる配置(日蝕)が生じていたことがよく分かる。因みに日蝕は南極で観測されたようである。

この太陽が昼間に消えてしまい暗くなってしまう日蝕は、前兆学的に不吉な印として扱われていたようである。
これは直感的によく分かる。 例えば、最近の映画『アポカリプト』でも日蝕を見て大衆が恐れおののく様子を描いている。
特に太陽は神として崇拝されており、そうした時代を考えると、太陽が暗くなってしまう現象は恐ろしい出来事であったと思われる。人々は光を失い、心理的に激しく動揺するのである。

2009年1月26日に山羊座で日蝕が起こったため、この日は、スマイル菊池氏のラシチャートに形成される日蝕が再現した時期であり、ラーフと、太陽と月がリターンしていたのである。



以前、ポールマンレイ氏が講座の中で、太陽に土星がアスペクトしている時、そのチャートの持ち主は、批判を受けているということを述べていたことがある。太陽は自信とかプライドを表すため、これに土星がアスペクトすることによって、その自信やプライド、自己尊敬の念、アイデンティティが批判によって挫かれるのである。

獅子座を運行中のトランジットの土星は昨年の12月末から逆行し、太陽にアスペクトしており、そして、その太陽は出生時のラシチャート上で日蝕を形成し、今回2009年1月26日にトランジットでも日蝕を形成したのである。またこの太陽にはさらに木星や水星もアスペクトしている。

昨年の5月にラーフが山羊座に入室して、太陽をトランジットした時に既にスマイリー菊池氏は、警察に被害届けを出している。太陽にラーフがトランジットしたことによって、心理的な動揺が始まったかのようである。

そして、 トランジットのラーフが太陽にじわじわと近づいていく間に、誹謗中傷の書き込みが続き、1月に入ってからさらに土星の逆行のアスペクトが加わったのであるが、同時に木星も昨年の12月10日より、太陽にトランジットしていたのである。

従って、今回、スマイリー菊池氏のブログには殺人の予告的なことまで書かれて、彼は身の危険を感じていたようであり、
そして、ついに警察が動いて、中傷者の立件に踏み切ったようである。

警察の捜査によって救われたのは、おそらく木星がトランジットしていたからである。

従って、山羊座には日蝕が出来て、批判を受けてひどくプライドや名誉を傷つけられて、殺人の予告によって脅かされる菊池氏がいて、彼を執拗に誹謗中傷しようとする人々を象徴するかのようなラーフや土星のトランジットがあり、 そして、その誹謗中傷から彼を守るために立件に踏み切った警察、あるいは警察が動く所まで先導した人物なり、協力者を象徴する木星のトランジットがあるのであり、非常にストーリーが入り組んでいるが、各惑星の象意がそのまま出ているのが分かる。

ブログ炎上、被害のタレントが自ら公表
2月5日22時17分配信 読売新聞  

男性タレントのブログが悪意の書き込みで炎上した事件を巡って、被害者のスマイリーキクチさん(37)が5日、被害に遭ったのは自分であると公表したうえで、所属事務所を通じ、「このままでは仕事に影響し、家族も不安にさせるので警察に届けた」とするコメントを発表した。それによると、スマイリーキクチさんは約10年にわたって、東京・足立区の女子高生コンクリート詰め殺人事件(1989年)に関与したとする事実無根の中傷をインターネット上に書き込まれ、「殺害予告とも受け取れる内容にまでエスカレートした」としている。スマイリーキクチさんの被害届を受け、警視庁は今月4日、本人のブログに「殺す」と書き込んだ川崎市の派遣社員の女(29)を脅迫容疑で書類送検し、「人殺しが何で芸人やるんだ」などと書き込んだ17歳から45歳までの男女18人については来週にも名誉棄損容疑で書類送検する方針。スマイリーキクチさんは、これについて「今後このような事件が起きないことを心より願っている」とコメントしている。所属事務所のホームページによると、スマイリーキクチさんは93年、お笑いタレントとしてデビュー。NHKの「爆笑オンエアバトル」などのバラエティー番組のほか、大手家電メーカーの広告にも出演した。


彼のラシチャートの意味を考えてみると、太陽と月とラーフが接合して、日蝕が起こっており、そこに逆行の土星がアスペクトしている。
従って、人生全般にわたって、この絡みの影響を受けるのである。

上記の22時の読売新聞の記事によれば、スマイリー菊池氏は約10年にわたって、誹謗中傷をインターネット上に書き込まれてきたそうである。
10年前と言うと、おそらくマハダシャーラーフ期の始まりに対応しているため、ラーフ期になってから、このような誹謗中傷が起こったものと思われる。

このことから、太陽と接合して蝕を形成するラーフが激しく太陽を傷つけてきたことが分かる。
特に昨年2008年5月からはトランジットのラーフが山羊座に入室して、出生のラーフにリターンしていたので、マハダシャーロードのラーフに対するラーフのトランジットということで、ラーフとそれに傷つけられた太陽という事象が特に活性化していたと思われる。


そのラーフに対して、太陽(1/13)と木星(08/12/10)がトランジットして、火星(1/27)もトランジットすることで、このように話が大きくなって警察が動いて大ニュースになっている。

12:00作成のチャートから推測して、現在、ラーフ/太陽、ラーフ/月期辺りの可能性もあり、そうすると、マハダシャーロードのラーフと、アンタルダシャーロードのの太陽か、月にこれらの惑星がトランジットしている状況ではないかと思われる。

そして、注目すべきは菊池氏が、大きなニュースとなった後で、被害に遭ったのは自分であると公表したのであるが、これは正々堂々と、自分自身が名乗りを上げて、世間に自分の姿をさらしたということであり、これは木星が太陽にトランジットすることによって、彼自身の自己尊敬、プライド、自信を後押ししたのであって、中傷されるのに悩みながらコソコソと卑屈に振る舞うのを辞めたということである。

そして、月からみて2室に9室支配の太陽とラーフが接合した形となっているからか、菊池氏は、 「このままでは仕事に影響し、家族も不安にさせるので警察に届けた」とするコメントを発表している。また警察によって、中傷者を脅迫容疑や、名誉毀損で立件されたことについては、「今後このような事件が起きないことを心より願っている」とコメントしている。黙って被害者のままでいずに自己主張したことをこれらの配置が表しているとも解釈できる。

そして、警察が動いたのは木星というよりも火星のトランジットも大きかったかもしれない。
火星がトランジットすることにより、18人の中傷者の居場所を突き止めて、立件にこぎつけるという行動力を発揮したのである。
これは、牡羊座ラグナとか、火星というのは警察官の表示体とされているので、火星の入室は警察の具体的な行動と考えられる。

それによって、菊池氏が保護されるという結果自体は木星が与えたように思われる。

日蝕はそれが起きるハウスのテーマに関する変化を表すそうであるが、スマイリー菊池氏によってこの変化は今のところ良い変化であったと考えられる。
ラーフ期が終わった後で、木星期がやってくるので、この事件をきっかけにして、誹謗中傷が終わっていくことを示しているように思われる。
このような劇的な事件を通して、自己の尊厳を取り戻したと言える。

ラシチャート上で、太陽が凶星から傷つけられている人は大変そうである。その人は人生で何らかの批判、中傷を受け、その人の存在の基盤となる、アイデンティティ、自信、プライド、自尊心を傷つけられるのかもしれない。




(資料)

タレント炎上ブログに「殺す」29歳女を脅迫容疑書類送検 2月5日12時47分配信 読売新聞