占星コラム


2007/10/5 ホテル女王レオナ・ヘルムズリー

ニューヨークのホテル女王が、14億円を愛犬に残す遺言を作成したとネット上のニュースで報じられていた。

今月20日に87歳で死去した米国の「ホテル女王」レオナ・ヘルムズリーさんが、莫大(ばくだい)な遺産のうち1200万ドル(約14億円)を愛犬のマルチーズ「トラブル」のために使うようにとの遺言を残していたことが29日、分かった。欧米では富豪や有名人などがペットに遺産の一部を残す例があるが、今回は金額が大きく、米メディアの話題を呼んでいる。
 デーリー・ニューズ紙などによると、ヘルムズリーさんは、4人の孫のうち2人に対し、自分たちの父親の墓参りを毎年一回はするとの条件でそれぞれ500万ドルを贈ったが、ほかの2人には「彼らも知っている理由により」一セントも残さないとした。数十億ドル相当とされる屋敷や遺品などは売却し、慈善活動用の信託基金にするという。

 「トラブル」の取り分も信託基金とし、世話人として親族のローゼンタール氏を指名、同氏には1000万ドルを残した。

 ヘルムズリーさんは夫とともにニューヨークのホテルなど一大不動産帝国を築き上げた。(共同)

彼女は3度目に結婚した夫ハリー・ネルムズリーとニューヨークのエンパイアステートビルやホテルなど資産価値50億ドル(約5700億円相当)の不動産帝国を築き、生前、「ホテル女王」と呼ばれていたそうである。
彼女のチャートを作成してみると、不動産で成功する人のチャートに共通する特徴をよく示していた。
ポイントは火星の4室、10室への絡みである。 月からみて10室に火星が在住し、ムーラトリコーナの座である4室牡羊座と、高揚の座である山羊座の月にアスペクトしている。

また火星は、ナヴァムシャでは定座に在住して強いことが分かる。
ナヴァムシャでは木星から4室目の自室に火星がアスペクトし、土星から4室自室に火星が在住している。
ラシチャートでも火星は木星から4室に在住して10室にアスペクトし、土星から10室にアスペクトしている。

彼女はおよそ23歳〜58歳のマハダシャー木星期、マハダシャー土星期の何れかに巨大なホテルを次々に建設するか、取得したのではないかと想像できる。

しかし、23歳〜58歳というと人生でもっとも精力的に活動できる青年期、中年期である。
彼女の強い火星はダシャーロードから4室や10室に絡んで彼女の不動産王としてのキャリアを形成したのではないかと思われるのである。

チャンドララグナで検証すると、7室で木星が高揚して、強いガージャケーサリーヨーガを形成しており、9室支配の水星も7室に在住して、彼女がパートナー運に恵まれていることを示している。1972年に不動産王のハリー・ヘルムズリー(Harry Helmsley)と結婚したことで、夫婦共同で、ニューヨークのホテル王に成り上がり、夫の死後は彼女がその事業をやりくりしてきたのである。

結婚する前の1971年の夏頃から木星と土星が月から7室である蟹座にダブルトランジットしており、結婚するタイミングをよく示唆している。カージャケーサリーヨーガが1−7室の関係で形成されているため、結婚で地位が向上し、有名になる配置である。

彼女のチャートの特徴は6室と7室と8室に惑星が集中していることである。
従って、パートナーとの関係が良きにつけ悪きにつけ強調されており、人生経験がこれらで構成されることを表している。
6室は配偶者との争い、訴訟、離婚である。英語版のウィキペディアによれば、彼女は3回結婚しており、 離婚という人生経験を2回ほど味わっていると言える。中でも2番目に結婚したジョセフ・ルービンとは2回離婚したと書かれているため、結婚して別れてを2回繰り返したということだろうか?結婚しても長く続かないことをよく表している。

Leo Panzirer (m. 1938, div. 1952)
Joseph Lubin (Twice divorced)
Harry Helmsley (m. April 8, 1972 - d. 1997)

そして、8室は配偶者のお金の部屋(7室から2室目)である。配偶者のお金で生活できることを表している。
つまり、これは遺産相続である。3度目に結婚したハリー・ヘイムズリーは先になくなって夫婦で共同事業で築いた資産のうち、夫の分も相続したのである。ラグナロードの土星が8室に在住しており、相続でお金を得たり、不労所得、権利収入という象意が生じてくるのである。これも配偶者絡みの象意である。

従って、月から6室、7室、8室への惑星の集中は結婚して幸福を味わい、配偶者中心の生活を送り、配偶者と争って、離婚して、慰謝料をもらう、あるいは配偶者が亡くなって遺産を相続するというようなことが主に人生に起こってくる出来事であるということである。

また火星とラーフが月から10室に在住しているが、これはまさに彼女の仕事を表しており、10室の火星は1室、4室、5室にアスペクトして、彼女のパーソナリティーを闘争的、支配的にし(1室と火星)、不動産を購入したり、建築するエネルギーを与え(4室と火星)、不動産投資にエネルギーを投入する(5室と火星)ことを表している。

特に4室の自室にアスペクトを返していることは4室に火星が在住しているかのような効果を生み出しており、10室も火星の影響を強く受けているが、4室も火星の影響を強く受けている。従って、彼女は職場では司令官であり、部下に命令して不動産の取得や建設、投資を推進するのが彼女の働きぶりを表している。ラーフはその火星の力を強め、世俗的な地位やお金に対する執念、満たされることのない飽くなき欲求による動機付けを仕事に与えている。

このように6室、7室、8室、10室にほとんどの惑星が集中し、まさに彼女の人生が配偶者と仕事に費やされたことが分かる。

そして、彼女は自分の遺産14億円をペットに残したのであるが、ペットは6室が表している。
6室には5室支配の金星が在住しており、ペットを飼うことは彼女の楽しみであったと理解できる。 しかし太陽が金星をコンバストしているため、しばしば彼女は高圧的で支配的であったため、楽しみには権威的な面が見られるのである。

ペットの6室から見ると、飼い主であるレオナ・ヘルムズリーのラグナは8室目である。従って、養ってくれる相手である。また遺産、相続という象意もあるため、配偶者が死んだ時に遺産をもらい受けるのも自然である。

またペットの6室をラグナとすると2室目に水星が在住し、ダナヨーガを形成し、2室で富のカラカである木星が高揚している。2室支配の月が2室に在住する1室支配の水星と相互アスペクトして、ダナヨーガを2重に形成している。2室とは自分で稼ぐというよりも家族からもらえるお金を表している。従って、このペットの犬が金持ちであるのが納得できる。

この6室は彼女の従業員との関係も表しているのであり、彼女は従業員もペットのように可愛がるのだろうと思われ、従業員との関係は楽しいものであるが、太陽がコンバストするのでしばしばその楽しみは高圧的な支配性によって妨げられるのではないかと思われる。それがパートナーとの関係になれば離婚に繋がるのある。6室にはさらに冥王星が在住しており、何か外部からの強制的な意思とかカルマとか、何らかの力によってこの6室の象意が極端に出てくることが分かる。ペットに14億円の資産を遺すというのは極端な出来事である。(この辺りの実際の事実の有無についてはよく分からない)

このようにチャンドララグナは非常に機能していることが分かる。
彼女の月のナクシャトラはダニシュターであるが、ダニシュターは母性本能をくすぐるような頼りなげな男性を好むようである。月から7室目の蟹座には木星と水星が在住して、上記の写真にもあるが、不動産王の夫、ハリー・ヘルムズリーはいかにも坊ちゃんぽい、妻に顎をなぜられている頼りげの無い男性に見える。(この写真一枚が彼女が母性本能をくすぐる男性が好きなことを物語っている)

しかし、この頼りなげのない男性はそれでも不動産王である。
月から7室をラグナとすると、火星が4室に在住して、パートナーも不動産王であることを表している。

彼女が脱税の罪で服役していた1992年-1993年は、トランジットの土星が出生の月に接合して、サディサティのど真ん中で最も厳しい時期であったことが分かる。その時に彼女のチャートに刻まれるカルマが噴出して、拘束とか、抑圧、制限、孤独など大変な試練を身に受けるのである。

彼女の犯罪のカルマを表していそうな配置を調べると、 彼女の太陽は8室を支配して6室に在住し、金星と緊密に接合してコンバストしている。6室と8室の絡みは犯罪のコンビネーションである。

彼女は『数十万ドル相当の宝石に課せられる税金を免れた』罪状で逮捕されたのであり、これは、本来政府に納めるべきお金(負債)を納めないで戦ったという罪である。

6室に凶星の太陽が在住していると、ウパチャヤ凶星で、借金をしてもお金を返さないでもへっちゃらでいる配置である。
負債を負っていても、それを返さないで戦うのである。そして、この太陽は宝石の表示体である金星と緊密に接合しているのであり、宝石に関することで我を張って、払うべき負債(税金)を払わずに着服しようとした罪で逮捕、起訴された(太陽+金星+6室+8室)のであると解釈できる。さらにそこに死ぬか生きるかなど、極端な結末を与える冥王星も同室している。

これらがの彼女の犯罪のカルマがサディサティーのタイミングで噴出して、服役につながったものと考えられる。
この辺り、ダシャーには太陽とか金星の絡みが確認できると思われるが、チャンドララグナでは確認できないようである。


(資料)

米国のホテル女王、愛犬に14億円の遺産遺す
2007年08月30日 21:21 発信地:ニューヨーク/米国

【8月30日 AFP】今月、87歳で亡くなった「財布のひもが固い」ことで有名だった米国のホテル女王、レオナ・ヘルムズリー(Leona Helmsley)さんが、死後もその評判を高めている。なんと、莫大な遺産のうち2人の孫には何も遺さず、愛犬のマルチーズ「トラブル(Trouble)」に1200万ドル(約14億円)もの大金を残したのだ。

 ヘルムズリーさんの遺言は28日、ニューヨークの裁判所で読み上げられた。その中で、愛犬トラブルには最高額となる1200万ドルの遺産が遺され、トラブルが死亡した際には、ヘルムズリーさんと1997年に亡くなった夫のハリーさんの脇に埋葬するよう記されていた。ヘルムズリー家の壮大な墓は、残された300万ドル(約3億5000万円)の信託財産により永遠に維持される。

 マルチーズのトラブルは、ヘルムズリーさんが所有したホテルチェーンの広告に出演し、注目を集めたことある。

 ヘルムズリーさんの徹底的な仕事至上主義、短気さ、時に非情といわれた一面や、財布のひもの固さは有名で「クイーン・オブ・ミーン(Queen of Mean、けちの女王)」とあだ名をつけられるほどだった。

 ヘルムズリーさんの遺族には弟のほか、孫4人、ひ孫12人がいる。弟には1000万ドル(約11億5000万円)の遺産とともにトラブルの世話が託され、孫2人には少なくとも年1回は父親の墓参りをすることを条件に、それぞれ500万ドル(約5億8000万円)が残された。しかし残りの孫2人は「彼らも知っている理由により」、相続から除外された。

 40億ドル相当とされる保有株式は、慈善活動用の信託基金にされるという。

 ヘルムズリーさんは1972年、不動産王ハリー・ヘルムズリー(Harry Helmsley)さんと結婚。ハリーさんとともにエンパイアステートビルを含むニューヨークの一等地の不動産や、全米に展開するホテルチェーンの運営を手がけた。

 一方、保有する巨額資産とは裏腹に「クイーン・オブ・ミーン」と呼ばれた異名にふさわしく、数十万ドル相当の宝石に課せられる税金を免れたとして、1992-93年にかけて脱税の罪で服役していたこともよく知られていた。(c)AFP