占星コラム


2007/8/25 ネイサン・ロスチャイルドについて



ネイサン・ロスチャイルドのチャートである。
ロスチャイルド家は20世紀の初頭には世界の富の半分を所有していたと言われている。
このロスチャイルド家の勃興についてはユダヤ人の歴史にさかのぼることになる。

西暦1世紀頃、当時ローマの属州だったユダヤ地方の独立戦争(ユダヤ戦争)はローマ軍によって鎮圧されて、ユダヤ人は国家を失って世界各地に離散したのであるが、近代の初めにはフランクフルトのユダヤ人居住区(ゲットー) などに住むようになっていくのである。

当時キリスト教は金利を取ることを禁止しており、またユダヤ人は差別を受け、職業のほとんどを禁止されていたため、金貸しぐらいしか職業が残っていなかったという。

そうしたユダヤ人の中で頭角を現したのが、ロスチャイルド家の初代当主マイヤー・アムシェル・ロスチャイルドであり、彼はドイツ・ヘッセン家のヴィルヘルム9世と古銭の趣味を通じて親しくなり、ヘッセン家の金庫を預かるようになり、資金調達に奔走し始めるのである。この時に高利貸しである金融業(フランクフルト・ロスチャイルド商会)を始めたのであり、その後、各国の戦争資金などの需要に乗じて、戦争をする国の両方に秘密裏に資金を貸し付け、勝った方から、 資金と巨額の利息を受け取るというようにして、金融業を発展させていったのである。

このマイヤー・アムシェル・ロスチャイルドの息子たちがヨーロッパ各地に支店を設立したのであるが、イギリスに渡って、ロンドン・ロスチャイルド商会を設立し、イギリスにおけるロスチャイルド家興隆の基盤を築いたのが、ネイサン・メイアー・ロスチャイルドである。

このネイサン・ロスチャイルドは1810年にロンドン証券取引所の支配者フランシス・ベアリングが亡くなったことで、ロンドン証券取引所の新しい支配者となり、その後「世界一の金融王」として台頭していったのである。



逆売り事件

このネイサン・ロスチャイルドには有名な逸話があり、それは当時、ロンドンの株式市場は皇帝ナポレオンの戦況について注目しており、ナポレオンが勝てば経済の中心がフランスに移るため、「売り」であり、ナポレオンが負ければ「買い」であると言われていたのである。

当時、自前の通信、馬車輸送や高速船などで独自の情報ネットワークを築いていたネイサン・ロスチャイルドは1815年のワーテルローの戦いでのナポレオン敗北の報をいち早く知ると、猛烈に売りに出たのである。

ネイサンの情報網のことを知る市場は即座に反応し、売りに集中して株価は暴落したのである。その後、ネイ サンは秘密の代理店を通じて、紙くず同然の値段になった株を大量に買取り、ナポレオン敗北の報せを受けて 、急上昇した株を再び、市場で売って、巨万の富を築いたのである。

これは例えば、日本の2004年度の長者番付トップに輝いたタワー投資顧問の清原達郎氏が何か銘柄を買うと、 清原氏が買ったというだけで、その銘柄が買われたりすることがあるようだが、その当時のロンドン市場でも 既にネイサン・ロスチャイルドの動向が市場を動かせる程、注目されていたからこそ可能となった詐欺的行為である。

あるいはアラン・グリーンスパンFRB議長が利上げをすると発言すれば市場が反応する(円安ドル高)のと同じ原理である。 この時に彼は300万ドルの自己資金を75億ドル(2500倍)に増やしたそうである。 このような詐欺的荒稼ぎは1910年前後にロンドン証券取引所の支配者の地位に就いて知名度と影響力を高めていたからこそ可能になったのである。

従って、水星期に入ってから既にこのような詐欺的行為で、棚からぼたもちのキャピタルゲインを得るような土壌が築かれていたことが分かる。

そしてこの莫大な資金を元手にイベリア半島出征中の大英帝国に軍資金を送ったり、ドイツのプロイセン政府に500万ポンドを貸し付けて、債券を発行させたりなど、国家に対する金貸し業を発展させ、また国家に対する融資によって、政府の政策に関与していくのである。

またイングランド銀行は元々はネイサン・ロスチャイルドが直接設立した銀行ではないが、流動性危機に陥っ たイングランド銀行に対して、貨幣を供給して影響力を行使している。つまり、ロンドンの金融街の実質的な支配者の地位に君臨して、イギリスの中央銀行であるイングランド銀行を実質的に支配したのはネイサン・ロスチャイルドであるということになる。
こうして金融業での躍進から始まり、ヨーロッパ全土における鉄業事業に参入し(1835年〜)、南アフリカのダイヤモンド・金鉱山、ロシアのバクー油田など、情報、交通、エネルギー、貴金属などの実業に投資して世界最大の財閥として発展していくのである。

その後、米国が発展してくると、ロックフェラー家の興隆に資金面で協力し、米国に連邦準備銀行を設立させ 、また世界各国に中央銀行を設立させて、その中央銀行の株主として、世界の政府に資金を貸し付け、債券を発行させ、国民の税金でそれを支払わせるという国家借款による金融業を世界規模に発展させていくのである 。 このように金融業や情報、交通、エネルギー、貴金属などの主要な産業を通じて世界の経済を実質的に支配してきたのが、このロスチャイルド家であり、またロスチャイルド家の援助を受け、その後、石油事業を通じて台頭したロックフェラー家などの巨大な財閥が世界経済に君臨して、各国の政策に影響を及ぼしているのが現在である。

然し、そのそもそもの起源は、マイヤー・アムシェル・ロスチャイルドの「フランクフルト・ロスチャイルド商会」の戦争資金貸し付けから始まり、ネイサン・ロスチャイルドの偽情報による詐欺的な株での儲けなどをその後の躍進の起源としているのである。

このネイサン・ロスチャイルドのチャートだが、出生時間を12:00で作成し、それから若干、出生時刻を修正すると、冒頭のようなチャートとなる。この修正は、ネイサン・ロスチャイルドがロンドン証券取引所の支配者フランシス・ベアリングが亡くなって、それを引き継ぐかたちで新しい支配者となった時期をマハダシャー水星期の始まりに設定したものである。

西暦 年月 出来事 Vダシャー トランジット
1810年 ロンドン証券取引所の支配者フランシス・ベアリングが亡くなる。 ロンドン証券取引所の新しい支配者となり「世界一の金融王」となる。

※このロンドン証券取引所の支配者となった頃が人生の大きな転機であったことが分かる。
土星/木星 1810/7/15
木星:牡牛座
土星:蠍座
DT:山羊、蠍、牡牛
1815年

ワーテルローの戦い(イギリス対フランス)
皇帝ナポレオンが敗北した際にイギリス敗北のニセ情報を流して大儲けする。 この時、イギリスの名門の多くが破産する。

水星/金星 1815/7/15
木星:乙女座
土星:山羊座逆行
DT:山羊、魚、乙女

1810年を転機とし、問題の逆売り事件が起こるのは水星/金星期である。

水星は月から8室で高揚して、ヴァルゴッタマであり、恐ろしく強い配置である。 8室支配の水星が8室で高揚しているが、8室は相続、贈与とか不労所得、棚からぼたもち的な収入を表すのである。 8室は9室を損失するハウスであり、不道徳であり、また父親を失ったり、あるいは人の死によって得る収入などを表している。

この時、多くの名門貴族が没落したのであり、人が転落し破産している一方で利益を得ている。これこそが8室の利益である。 この8室の利益を高揚してヴァルゴッタマの強い水星が演出したのである。 水星は5室支配で投資を表し、8室の支配星は陰謀とか、悪意を表している。従って、ニセ情報を流して、人 を没落させて、自分が勃興するという象意が生じているのが分かる。

他にも月に火星が絡んだり、月から見て6室で木星が高揚し金星と接合して、ラージャヨーガ、ダナヨーガを形成しており、勝負事で強いことが分かる。投機などのようなゼロサムゲームに強いことが分かる。

6室=投機、ゼロサムゲーム、競争
8室=不労所得、棚からぼたもち、相続、贈与、人の死に関係する収入

月から6室と8室というのはこのような象意を表しているのである。
6室が強い人を観察していると、株や為替などの勝負事、ゼロサムゲームが強いのである。
やはり、相場で勝つには勝負強さが必要なのである。

然し、ネイサン・ロスチャイルドは1836年に感染性膿瘍で病没しており、やはり、6室(病気)の象意を感じるのである。

彼がロンドン証券取引所の支配者フランシス・ベアリングが亡くなったことによって、彼が新しい支配者となった1810年をマハダシャー水星期の始まりに設定すると、出生時間が14:14前後となり、ラグナは射手座のムーラになるのである。

この射手座ラグナで正しいかどうかは分からないが、このラグナで考えるとマハダシャーの支配星である水星は10室で高揚し、バドラヨーガを形成し9室支配の太陽と接合して、ダルマカルマラージャヨーガを形成している。

彼はロンドン証券取引所で誰もがその動向に注目するほどの注目される人物となっていったのであり、ロンドン証券取引所の支配者、「世界一の金融王」の地位に就いたのである。この高い地位を表す象意、支配者という象意は10室に該当しているのである。

このユダヤ人資産家の典型的な絵柄はネイサン・ロスチャイルドを描いたものであり、こうした絵柄が有名となり、新聞などで世間の目に広まっていったことを考えると10室の象意を感じるのである。10室は注目される大舞台である。

そして、射手座ラグナにするとラグナロードが8室に在住し、6、11室支配の金星も8室に在住しているのである。彼がロンドンにロスチャイルド商会の支店を開くことが出来たのは父親から与えられた権利であり、ある程度、父親との血縁による強制的なものであった。8室は相続、贈与などにより、恩恵を得ることが出来るが、それには不自由さも付きまとうのである。従って通常、血縁関係などにより、相続というかたちで恩恵を受けるのが8室の象意であるが、別に父親の生前であっても贈与というかたちで8室の象意があらわれるのである。
そして、射手座の最初の度数にラグナを設定すると、1815年のワーテルローの戦いで、偽情報を流して、株の詐欺的大儲けをした時のダシャーが水星/金星期である。

金星は6、11室の支配星で8室に在住し、ラグナロードで8室で高揚する木星と接合し、不労所得、権利収入が得られる時期である。そして、2室支配で11室で高揚する土星からアスペクトされている。

月から見ても4、9室支配で、6室に在住し、2、11室支配で6室で高揚する木星と接合し、ラグナロードで9室で高揚する土星からアスペクトを受けている。

そして、ダシャーロードの水星から見ても2、9室支配で11室に在住する金星に対して、11室で高揚する木星が接合し、ダナヨーガや富の表示体が収入の11室で高揚するなど、富が得られる配置を形成している。

ラグナから見ても月から見ても富のヨーガを形成し、然し、それは6室や8室に絡んでいる。
水星から見ると、2、9、11室が絡んでおり、11室で木星が高揚するなど、絡む全ての要素が富を表している。

ポイントを絞ると、ラグナから6、11室の支配星である金星が8室に在住して、6室と8室が絡んでおり、通常、これは詐欺とか犯罪を表す配置である。そして、ラグナや月からみて6室や8室でダナヨーガを形成している。富のヨーガに6室や8室が絡んでいる。

このようなことから、この偽情報を流して、半ば詐欺的なかたちで、多くの人々を騙して、荒稼ぎしたこの1815年の出来事を表しているのではないかと考えられるのである。


(資料・参考文献)

【Web】
アンチ・ロスチャイルド同盟 http://www.anti-rothschild.net/
日本人が知らない恐るべき真実 http://d.hatena.ne.jp/rainbowring-abe/20050801

【文献】
『赤い盾』集英社文庫 広瀬隆著


<<本内容に関しての事実関係の大部分についてはウィキペディアより引用抜粋しています>>