占星コラム
2007/7/19 ジョージ・W・ブッシュのチャート
ジョージ・W・ブッシュのチャートである。 土星は8室の支配星でもあり、何か彼にとっては不自由感を与える表示体である。然し、相続という象意もある。 然し、この土星期に入った時に政治家としてのキャリアをスタートさせている。そして、大統領になったのは土星期の最後の方であり、大統領就任というのは政治家としてのキャリアの最終局面であることを物語っている。 また土星はもっとも強力な10室に在住しているのである。 然し、土星の減衰はキャンセルしていても減衰の象意がなくなるわけではない。従って、牡羊座で減衰する土星は短気で切れやすい忍耐力のない土星である。本来、土星が持っている形に従う能力や形を尊重する能力がなく、形を壊したり、従わなかったりする配置である。彼が国連決議を無視して同盟国と一緒に戦争を始めてしまったことにも見られるように彼は法律を侵したり、彼は非常に多くのこれまで築かれてきたルールを壊してしまった面に現われている。 7室の火星は戦争など対立し闘争する配置であり、土星と火星の10室での傷つけあう絡みは暴力の絡みである。 ラシチャート上では2室支配の太陽は12室に在住し、リーダーシップに欠け、実質的な支配力を損失した傀儡的な人物という解釈も成り立ち、また金銭の浪費癖もある人物なのではないかとも思われる。 そして、1室と3室が星座交換して、9室支配の木星が在住しているのはいわゆる努力しなくても成功できる人のチャートであり、1室が3室に絡んでいるため、マスコミへの露出が多いのが理解できる。何の努力もせずにスカウトされて芸能界に入ったタレントのような配置をしている。9室の支配星が3室に在住しているため、大統領だった父親の影響で出版やメディア関係で優遇されたという面も考えられる。 然し、ラグナに在住しているのはいずれも機能的凶星であり、何か欲望とか、意図あって近づいてくる人々に彼は囲まれているという印象を受ける。 彼のチャートの中でもっとも強いのは火星であり、火星は5、10室支配のラージャヨーガカラカであり、2室に在住している。2室は両親、家族、実家、家柄というものを表している。ブッシュ家はテキサスで石油で成り上がった一族であり、2室獅子座で強い火星は、実家の力による権力を表している。獅子座の火星はかなり傲慢で、暴力などの覇道でなり上がった印象を受ける。彼は1975年に原油や天然ガスの発掘会社を起業したとあるが、両親も関わる石油ビジネスであっただろうと思われる。 そして、イラク戦争はブッシュ家にとっての石油ビジネスであったとも思われる。 彼は大統領という役を演じるタレントであり、石油ビジネスで家族の富を増やすことのみを動機として活動している人物である。マイケル・ムーア監督の『9.11』にもブッシュ家が大統領の地位を利用してファミリービジネスをしていたことを証拠として示す内容があったのであり、チャートの配置からもそれが読み取れる。 ナヴァムシャで10室と6室で火星と太陽が星座交換したり、ダーシャムシャで土星と火星が星座交換したりしているのは強力な暴力的な絡みである。 彼は1994年11月8日にテキサス州知事に当選しているが、その時、土星/金星期で、木星と土星は10室牡羊座にトランジットしていた。 そして、大統領に就任した2001年1月20日は土星/ラーフ期で、土星と木星が両者とも11室で逆行し、10室にトランジットしていた。ラーフはラシチャート上で11室牡牛座で高揚し、木星からトランジットされており、ウパチャヤ凶星で明らかに威厳があり、強い配置である。そのラーフに対して、木星と土星がトランジットし、逆行しているので10室にもダブルトランジットが成立していた。 10室と11室というのは社会の成功者のハウスであり、もっとも社会的地位が高い人々を象徴するハウスである。 以上のように見てくると、彼が大統領になれたのもそれなりの理由があったことが分かる。 特にナヴァムシャで10室で多くのヨーガを形成し、ディスポジターの太陽が6室で高揚し、木星がその太陽にアスペクトしている配置は非常に強いのである。 そして、政治家にとって魅力を表す金星が強いことは大事であるが、金星は7室の支配星で5室で高揚している。ドレッカーナにおいても同様である。 ブッシュを応援するわけではないが王室の獅子座10室に惑星集中し、ラージャヨーガ、ダナヨーガを形成し、ディスポジターの太陽が高揚して強く、金星が高揚するさまはやはり強いと言わざるを得ない。ナヴァムシャの方がその人物の本質を表すのであり、人生の後半を表すのである。 従って、大統領の資質についてからかわれたり、批判されたりしても本質的には大統領になるだけの強さがあったのであると思われる。 このブッシュのチャートは、ラシチャートだけではその強さが全く理解不可能なチャートの一例である。 因みにジョージ・ブッシュは既にマハダシャー水星期に入り、現在、水星/水星期である。 政治活動を始めた頃から大統領就任までずっと1−7室のラージャヨーガを形成する土星期だったのであるが、今度、何もヨーガを形成しない水星期に入ったのである。 まず、水星期に入った後の2006年11月8日に行われた中間選挙で与党共和党は敗れ、民主党に連邦議会上下両院の多数派の座を奪われた。そして、その影響で彼のイラク戦争強硬姿勢の象徴だったラムズフェルド国防長官を更迭した。 そして、2007年5月には支持率が最低の28%に落ち込んだようである。 また、環境問題に関心が高い民主党に配慮し、脱石油依存対策としてバイオエネルギー導入や高速道路の有料化に着手するなど、民主党への妥協の姿勢が見られる。 この弱腰の姿勢こそ、水星期への変化を表していることが分かる。 そして、7月16日から土星が蟹座から獅子座に移動して、サディサティに突入したのである。 然し、獅子座に抜けると、10室支配の火星にトランジットして、火星の力を抑制し、制限することになる。 彼は以前、示したような威圧するような姿勢を辞めなければならず、また、彼がする行為というものが厳粛に監督され制限されるのである。 彼の強気な発言も押さえ込まれ、もう思ったことを口に出来なくなるのである。 イラン・イラク・北朝鮮を『悪の枢軸』として名指ししたような強気の発言は一切できず、これから2年半土星の制限を受けるため、引退までおとなしく静かに振舞わなければならない。 土星は4、8、11室にアスペクトして、幸福感を損ない、収入や社交に制限が生じてくるのである。
<<事実関係等はウィキペディアより引用抜粋>> |