占星コラム


2007/5/6 米大統領選の行方

民主党のバラク・オバマ氏の支持率がついにヒラリー・クリントンを追い抜いたようである。
当初、ハリウッドの民主党有力支持者がヒラリー・クリントンではなく、オバマ氏支持にまわったというニュースは1、2ヶ月程前に見たが、その頃は彼女は巨額の選挙資金を集めてまだ相当勢いがあり、オバマ氏を圧倒的に引き離していた。

然し、ここに来て、オバマ氏がついに支持率でヒラリー・クリントンに並び、追い越したようである。

米大統領選は2008年11月頃に行われるが、通常は2008年1月頃からオハイオ州、ニューハンプシャー州などで予備選挙が始まり、2月末、南部諸州がいっせいに行う予備選挙(スーパートゥーズデイ)を経て、4月から5月にかけてニューヨーク、オハイオ、カルフォルニアなどの有力票田の予備選挙が行われるようである。その結果、候補者が絞り込まれ、8月頃に正式に民主、共和両党の全国党大会で正式に指名され、11月に両党の候補が争うというタイムテーブルになっている。

従って、2008年1月頃から本格的に大統領選が始まると考えることが出来る。
このタイムテーブルで行くと、 ヒラリー・クリントンは1月頃はその大統領選の最も重要な局面に入るのであり、それから大統領選が終わるまで、大衆の前で自分をアピールして、注目を集めていなければならない。

然し、ダシャーを見ると、彼女は2008年1月25日から太陽/ラーフ期に入るのである。マハダシャーの太陽は3室を支配して、5室で減衰しており、ナヴァムシャでは9室支配でラグナに在住している。 本来、政治家や統治者というものは決断力を求められるので、強い太陽が望まれるのであるが、彼女の場合、太陽は5室天秤座で減衰しており、ナヴァムシャで9室支配でラグナに在住して強いとは言ってもトータルでそれ程強いとはいえない。天秤座惑星集中のため、自己主張するよりもむしろバランスや調和を重んじて争いを避けて、他者に譲る傾向も出てくると思われる。減衰する太陽が3室の支配星のため、特別な法則でラージャヨーガ的な効果を期待することも出来るが、それでも太陽が強くなるわけではない。

この太陽を置いておいても、アンタルダシャーのラーフはラグナから12室に在住し、月から3室、太陽から8室、マハダシャーの支配星(ダシャーロード)から8室に在住している。ナヴァムシャでもラグナから6室、月、太陽から1室、ダシャーロードから1室に在住している。

12室のラーフは欲望はあって人前に出て行きたくても出て行けなかったり、人と交流したくても交流できないとか、自己主張したくても自己主張できないとか、いろいろ欲求があっても、それが実現できない時期である。悶々として、何も得られないで我慢を強いられる時期である。また12室の基本的な象意は隠遁、損失、出費であり、リーダーシップをとって、大舞台で活躍するような時期ではないのである。

またトランジットを検討すると、2007年7月16日から土星が獅子座に入室するため、牡牛座に土星と木星のダブルトランジットが生じるのであるが、牡牛座は12室である。12室のテーマが実現していく時期であるが、大統領選に出馬するものにとってはあまり望ましくない。人前に出て行く欲求がなくなり、あるいは出て行く機会が得られないで、悶々として苦しむ時期である。おそらく、バラク氏に支持率で抜かれ、どのように選挙戦を展開していくかの方向性が定まらず、どこに行って誰に支持を求めていけばいいのか悩む時期である。(12室ラーフ)

そして、2007年11月22日から木星が射手座に入室して、3室獅子座に土星と木星がダブルトランジットするのであるが、ヒラリー・クリントンの3室には何も惑星が在住していない。そして、ラグナから見て3室、月から見て6室、太陽から見て11室である。ケンドラやトリコーナのハウスではなく、3室や6室の苦労を強いられるハウスである。苦労をする割に成功できないのがこれらのハウスである。従って、ダシャーとトランジットから確認して、太陽/ラーフ期のヒラリー・クリントンはとても大統領選を戦えるような状態ではないことが分かる。太陽からラーフが8室目に在住しているため、おそらく孤独感がつのり、また幸運が損失した状態で、思うように行かずに苦しんでいる時期である。

現在、彼女は太陽/月期で、2007年9月20日から太陽/火星期であるが、月は2室支配で10室に在住しており、太陽から見てもダシャーロードから見ても10室の支配星で6室に在住している。従って、10室の象意が何度も出てきており、今現在は注目を浴びる大舞台で、積極的に選挙活動し、それなりに大統領有力候補者の一人として注目を浴びていることが理解できる。

また太陽/火星期にシフトしても火星は太陽とダシャーロードから見て10室に在住している。
然し、火星は減衰しており、力が発揮できない配置である。 依然として注目を浴びてはいるが減衰して力がなく影響力の点で問題が出てくることが分かる。 そして、火星はラグナから見て、6、11室の支配星で機能的凶星であり、2室で減衰している。

従って、彼女に対する批判にさらされる傾向が出てくると思われる。火星は攻撃の表示体である。2室で減衰して、彼女の発言が問題に発展する可能性も出てくる。 また2室は家族や両親の部屋であるが、家族や両親からの批判とか、不調和が生じてくる可能性もある。然し、この場合でも6室の支配星が減衰するため、特別な働きが生じる余地があるが、しかし、それを差し引いたとしてもあまり良い時期とは思えない。また6室の支配星のため、パートナーからの支持を失う可能性もある。つまり、夫であるクリントン前大統領が勢いづいているバラク氏を支持したくなる可能性もある。

6室や2室の絡みによって障害が彼女の家族や身近な支持者たちの内部から生じてくるという感じがする配置である。
そして、この時期、ダブルトランジットが12室に成立しており、悶々として自己表現ができない傾向が出てくるのである。

そして、太陽/ラーフ期になると、彼女は味方の支持を失って大統領選からの撤退と隠遁生活を強いられ、全く自己表現の機会を失ない、悶々として過すことになりそうである。 これは、本来の彼女の意志とは異なるため、非常に苦しいのであり、大統領になりたいという渇望は収まらず、飽くなき欲望のラーフが彼女を苦しめるのである。

従って、以上のような要素を総合すると、ヒラリー・クリントンは大統領になれないと思われる。
予備選の段階で、彼女は敗北を自分自身で感じ取り、隠遁的な環境の中で、バラク氏や他の候補者の選挙戦を見守ることになるだろう。そして、彼女は本来自分が大統領になりたかったという欲求を抱えながら、人前に出て行くこともできず、悶々として過すのではないかと思われる。

そして、2008年12月19日から太陽/木星期にシフトするため、彼女は大統領選が終わった後で、再び、社会的な自分の活躍の場を取り戻すことができるように思われる。木星は7、10室の支配星であり、対人関係や仕事を得るのである。

ビル・クリントン元大統領のチャートを見ても国権の最高職たる大統領に選ばれた時のダシャーは10室が複数絡んでおり、やはり注目を浴びる大舞台で最高のポジションにいる時は10室が絡むことが分かるのである。然し、ヒラリー・クリントンの場合、アンタルダシャーが12室に在住するラーフであり、とても注目を浴びる大舞台とは言えないのである。従って、彼女はこの時期、大統領選を戦う状態にはいないことが分かるのである。

おそらく大統領選を自宅の自室のテレビで見ながら自分があの壇上に登りたかったと思いながら、苦々しい思いで、見守っているというのが12室ラーフである。

 

(資料)
民主オバマ氏、クリントン氏を抜く 
米大統領選世論調査 2007年5月2日(水)21:00  08年米大統領選で初のアフリカ系(黒人)大統領をめざす民主党のバラク・オバマ上院議員が世論調査で、同党のヒラリー・クリントン上院議員を抜いて初めてトップに立った。  米ラスムセン・リポート社が4月末に発表した調査でオバマ氏が支持率32%を獲得、クリントン氏の30%をわずかに上回った。これまで各種の世論調査ではクリントン氏がトップを維持していた。3位はエドワーズ元上院議員の17%。同調査は4月23日から26日まで、全米の民主党支持者765人に電話で尋ねた。  3月下旬の同調査ではクリントン氏37%、オバマ氏25%で、12%の差がついていた。約1カ月間でオバマ氏は7ポイント上昇、クリントン氏は7ポイント下落したことになる。 朝日新聞 asahi.com

米大統領選 オバマ氏急伸 黒人層も支持 初のトップに 5月2日8時0分配信 産経新聞  
「ヒラリー王国」侵食 戦略立て直し  【ニューヨーク=長戸雅子】2008年の次期米大統領選に出馬を表明している民主党のバラク・オバマ上院議員(45)が、同党最有力とされてきたヒラリー・クリントン上院議員(59)のおひざ元のニューヨークで支持を広げている。ヒラリー氏の強固な支持基盤の黒人層が「初の黒人大統領」の可能性を秘めるオバマ氏支持へと動き始め、4月30日に発表された最新の世論調査ではオバマ氏が初めて支持率でトップに立った。               
ニューヨーク市マンハッタン北部のハーレム。黒人が多く住む目抜き通りにクリントン前大統領の公式事務所がある。  貧困家庭に育ち、サクソホンが趣味の前大統領は、その生い立ちやフィーリングに自らの姿を重ねた多くの黒人層から、「肌の色が白いだけの黒人」と受け入れられた。  それは夫人のヒラリー氏にも受け継がれ、1月末の米紙などの調査によると、黒人有権者の間のヒラリー氏の支持率は60%で、20%のオバマ氏を引き離していた。その牙城で変化が起きている。  同事務所が入るビルから出てきた小学校教師ブレンダ・ウィリアムズさん(56)はオバマ氏に「黒人としての誇り」を感じ、「ヒラリーは有能で政治経験もある。でもオバマにはこれまでの少数派候補にない集票力がある」と期待する。  同じ地区に住む建設作業員のジェームス・ジョーンズさん(39)も「オバマが出ていなければヒラリーを支持した。黒人だからというだけでなく、彼なら人々のために本当に働いてくれそうな気がする」と話す。  オバマ氏の急伸を印象付けたのが、4月初めに発表された大統領選資金調達額(1〜3月)で、オバマ氏はヒラリー氏の2604万ドルに匹敵する2566万ドルを集めて、関係者を驚かせている。  同月26日の同党候補者による公開討論会の直後の米テレビ調査で、「最も説得力のあった候補」に挙げられたのはオバマ氏(37%)。ヒラリー氏は21%にとどまった。同月30日発表の世論調査会社ラスムッセンの調べでは支持率で、オバマ氏が32%とヒラリー氏(30%)を初めて抜いた。  迷いは地元黒人政治家にも広がり、同党のN・ニック・ペリー・ニューヨーク州下院議員は「現時点でどちらを支持するか決めるのは適切ではない」と態度を留保する。  ただ、「(1988年大統領選予備選に出馬した黒人運動家の)ジェシー・ジャクソン師は黒人による黒人のための候補だったが、オバマ氏は黒人社会以外にも支持を広げている。問題は米国に(黒人大統領を選ぶ)準備があるか否かだ」と氏の潜在力を否定しない。  黒人票流出を警戒するヒラリー陣営は黒人集会に前大統領を登場させ、ニューヨーク市初の黒人市長だったディンキンス氏の元参謀に協力を仰いでいるほか、政治実績を前面に押し出して違いを強調するなど、選挙戦略を急ぎ立て直している。 最終更新:5月2日8時0分

ヒラリー氏vsオバマ氏 舌戦いきなり熱く 米大統領選民主党候補 4月28日8時1分配信 産経新聞  
■指名獲得へ討論会  【ワシントン=山本秀也】2008年の米大統領選で、民主党の候補者指名獲得をめざすヒラリー・クリントン上院議員ら8氏による最初の公開討論会が26日、南部サウスカロライナ州オレンジバーグの同州立大学で開かれ、イラク政策などで論戦を繰り広げた。共和党も公開討論会を来月早々に予定するなど、大統領選の前哨戦がいよいよ本格化する。  民主党の候補者指名は、来年1月のアイオワ州党員集会から本番を迎える。しかし、今回は大票田のカリフォルニア州など各地で予備選、党員集会の日程を繰り上げる動きが出ており、与野党とも序盤で候補者が固まるとの観測が強く、討論会は出足から熱を帯びたものとなった。  討論会にはクリントン上院議員のほか、オバマ上院議員、エドワーズ元上院議員の有力候補らが参加した。  イラク撤退法案をめぐり民主党がブッシュ共和党政権と対立を深める中、オバマ氏は「予備役や州兵を含めたわが軍はもはや限界を迎えつつある」として、大統領の拒否権を覆して法案を成立させられる3分の2の支持獲得を訴えた。  クリントン氏は「もし大統領が戦争終結を図れないなら、私の就任後に終わらせる」と発言。イラク開戦決議を同氏が支持したことをエドワーズ氏に突かれたが、「当時の情報に基づく判断に過ぎない」と受け流した。  安保政策に関しては、米国の3大同盟国を挙げるよう質問されたオバマ氏が、欧州、日本に触れた後、なぜか中国に言及。「日本は多年の同盟国だが、中国は急成長を続けている。敵でも味方でもなく、競争相手だ」と論じた。  討論会終了後にNBCテレビが実施したインターネットによる簡易世論調査では、「最も説得力のあった候補」としてオバマ氏(37%)がクリントン氏(21%)を引き離した。 最終更新:4月28日8時1分