占星コラム
2007/3/10 ビル・ゲイツのラグナについて
先日、日本MAセンター主催のプラサナン・ヘルケ氏のセミナーに参加した際に彼がビルゲイツのラグナを蟹座に設定していたのが印象的だった。ビルゲイツのラグナは他のサイトでも以前から双子座として紹介されており、私自身、アストロ・データバンクのデータを使用して作成したチャートも双子座ラグナであったため、これで問題ないと考えていた。 有名人チャート検証にて、ビルゲイツを取り上げた際もその前提で解釈していったのであるが、彼のチャートをダシャーの推移と合わせて正しく説明できたように感じた。しかし、蟹座ラグナの可能性を提示された上で、改めてチャートを検討すると、双子座ラグナだといろいろ問題が生じてくることも確認できたのである。 例えば彼の父親は弁護士であるが、蟹座ラグナとして考えると9室魚座を彼の父親のラグナとして考えることが出来る。 法律とは理想(木星)と、その文書・形式化、組織化(土星)であり、理想を長い年月をかけて、法文の中に著してそれを維持保存してきた集大成である。 それは民法の中に人間の自由や権利への願いとその闘争によって勝ち取ったものが書き込まれていることでよく分かる。そして、社会正義は法律によって維持管理されるのである。 彼の父親の職業を表す10室の支配星は木星で10室に土星と木星がアスペクトしていることから、土星と木星の強い影響を受けており、法律の仕事であると納得できるのである。 然し、ビルゲイツのラグナを双子座に設定して、9室水瓶座を父親のラグナとすると、10室は蠍座でラーフが在住し、支配星の火星は8室で5、8室支配の高揚する水星と接合している。そして、6室支配の月が魚座2室から水星、火星にアスペクトしている。 また10室は仕事を表すが、双子座ラグナだと10室の支配星は木星で3室獅子座に在住している。 またラグナロードの月が9室に在住し、5、10室支配の火星と相互アスペクトしており、1−10室の絡みが確認できる。 その名声を表す1−10室の絡みが3−9室の軸で生じており、3室で10室支配の火星が3室支配で高揚する水星とコンジャンクトしている。3室はコミュニケーション、文筆の部屋であり、自己表現、メディアの部屋である。 WINDOWSとはコンピュータを一般の人が気楽に簡単に使いこなせるようにする基本ソフトウェアであり、人々に表現力を提供する道具である。従って、この点でも彼の仕事の象意と非常に一致している。彼の10室の支配星が乙女座で高揚する水星とコンジャンクトしていることは彼が基本的にプログラマーであり、ソフトウェアの設計技師であるという点からみて、非常に妥当な配置である。 彼の10室は蟹座ラグナだと非常に強力で、ダブルトランジットが形成されることで理想を具体的な形にする力が伴い、社会的使命は非常に大きく発展性があると考えられるのである。そして彼ぐらいの仕事をした人間であればそれぐらいの強い10室でないと納得できない面があるのである。 それが双子座ラグナだとすると、10室支配の木星が3室に在住し、2室支配の月が10室に在住し、ラグナロードの水星が4室で高揚して、10室にアスペクトするが、4室には6、11室支配の機能的凶星の火星が水星を傷つけているのである。確かに4室で高揚する水星はバドラ・ヨーガで強力であるが、然し、10室との間にラージャヨーガを形成しておらず、これは問題である。彼の10室が1、5、9室などのトリコーナの支配星と絡んでラージャヨーガを形成していないというのは理解しにくいことである。 従って、彼の仕事の規模、すなわち世界中の人々がマイクロソフトのオペレーティングソフト(WINDOWS)を利用し、それが仕事に欠くべからざるものとなっているという現実を見るとき、彼の仕事の規模と使命の大きさが分かるのであり、それは蟹座ラグナだと納得できるが、双子座ラグナだと全く理解できない。
さらに蟹座ラグナに設定すると、彼の4室はシャシャ・ヨーガとマラヴィア・ヨーガが形成され、非常に強い配置である。従って、母親、住居、不動産、乗り物などには非常に恵まれる配置となる。然し、特に彼の住居(自宅)の写真を見るとき、蟹座ラグナであることを強く感じるのである。 彼の住居に関する写真や説明を読むと、その巨大さ(規模)、美しさ(室内装飾やデザイン性)、技術力(敷地内の至るところにセンサーやカメラを設置し、コンピュータを駆使して制御)、快適さ(敷地内のどこでも音楽が聞けるようになっている)などが、最高度に洗練されていることが分かる。どう考えても普通の人が住めるような家ではないのが分かる。特に音楽の表示体は金星であるが、敷地内の至るところで音楽が聴けるようになっているという快適さは強い金星が提供しているとしか考えられない。また建物が構造的、幾何学的に美しいことと、室内装飾が落ち着いた品のよい美を表現しているのは、派手な金星の象意を土星が抑制し、品のよい秩序ある美しさを表現していると解釈できるのである。 もし、双子座ラグナに設定すると、4室で水星が高揚してバドラ・ヨーガを形成して4室が強いことはこちらでも確認でき、また4室に火星が在住しているため、巨大な建造物を所有する可能性は高くなるが、金星が絡んでいないため、美の表現や快適さがこれだけ家に表現されたかどうか疑問が出てくるのである。また火星は6、11室を支配して機能的凶星化しているため、4室の象意において何か問題を起こす可能性も出てくるのである。家に関して訴訟が生じたとか、乗り物の事故とか、4室の象意を巡る障害が生じる可能性が出てくるのである。 このように彼が所有する実際の家を評価すると、蟹座ラグナで4室にシャシャ・ヨーガとマラヴィア・ヨーガが形成されて、極めて強力であると考える以外にないのである。 さらに検討していくと、5室は才能や何を学習したか、どんな教育を受けたか、あるいは大学以上の高等教育を表すハウスであるが、彼はハーバード大学に入学し、コンピュータ科学を専攻している。 彼が蟹座ラグナであると考えると、 5室にはラーフが在住し、工学などの技術を表しており、5室支配の火星も技術を表しており、その火星が3室に在住して、高揚する水星と接合している。5室支配の火星は土の星座に在住して、土の星座で高揚する水星とコンジャンクトしている。 これらの惑星の絡みを見ると、彼が技術の才能があり、技術の教育を受けることが分かるのである。土の星座であるため、ハードウェアーの知識も含めた実際的な物質を扱う才能である。プログラミングとはハードウェアとソフトウェアを結ぶ中間領域も扱うのであり、土の星座の影響を受けていることが望ましいのである。彼が生み出したWINDOWSはソフトウェアであるが、彼が大学で学んだコンピュータ科学とは、ハードウェアの知識である。蟹座ラグナだと、彼の才能や教育を受ける内容が実際の彼とよく一致している。 然し、双子座ラグナだと5室には土星、金星が在住して非常に強い配置であるが5室は風の部屋である。従って、強い金星と土星の絡みからするとデザインとか、ファッションとか、芸術方面の才能ではないかと思われるのである。 以前、双子座ラグナの前提で、検証した時にはこの5室で強い金星と土星は彼がWINDOWSという創作物(5室)を産み出したことを表している配置であると解釈したのであるが、彼自身はプログラマーであり、ソフトウェアの設計者であり、技術者であって、デザイナーではないのである。従って、蟹座ラグナとしての5室の方が彼の才能、教育内容を表していることが分かるのである。 従って、WINDOWSがデザイン性にも優れているところは彼の金星が強い結果として一般的に考えることが出来る。例えばWINDOWSがデザイン性にも優れているのは彼のスタッフの貢献によるものと考えることができ、金星が4室でマラヴィアヨーガを形成し、彼自身の家のようなものであるマイクロソフト社にそのようなデザイナーがいてもおかしくないのである。WINDOWSのデザイン性などは彼の才能(5室)として考える必要はないのである。またWINDOWSは常にマッキントッシュのデザイン性や操作性を真似してきたのであり、WINDOWSの本質的な要素ではないことが分かる。 またその他の細かい点として、彼には妹がいるが火星が3室に在住して3室の支配星と接合する配置は弟、妹が存在することの約束である。双子座ラグナだと、3室に火星は絡まず、木星が在住するのみである。この場合、弟妹がいる可能性が高いのは蟹座ラグナの方だと考えられる。 また最後に彼はマイクロソフト社の主席ソフトウェア設計職を後任のレイ・オジーに譲り、事実上第一線から退いて、今後は「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ基金」の慈善活動に専念する予定とのことである。 蟹座ラグナだとラグナロードの月が9室に在住しているが、9室は職場(10室)を損失する(12室目)部屋であり、彼が職場を辞めて慈善活動(奉仕)に専念することを表していると考えられる。また9室は奉仕の部屋であり、今生で積む徳業を表している。 実際、「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ基金」の献金額は至上最大規模であり、マラリアの撲滅や飢餓問題、教育問題に対して、多大な貢献をしている。 然し、双子座ラグナにすると、2室支配の月が10室に在住している。2室も10室もアルタハウスであり、お金を稼ぐ部屋である。 この点において、私は恥ずかしながら、以前の検証にて2室支配の月が10室に在住していることは彼が自分のお金を使って社会の大舞台で活躍し有名になるとの解釈をしたのである。然し、やはり2室と10室のアルタハウス同士の絡みはラージャヨーガでもなく、ダナヨーガでもなく、お金を稼ぐという欲求(アルタハウス)と有名とか大舞台、仕事(10室)を表しているだけである。これだけ莫大な慈善事業を展開しているのであれば当然現われるであろうはずの精神性や宗教性がこの月の絡みの中に全く現われていないのである。 そして、彼が今後、仕事を辞めて、慈善活動に打ち込み、海外の発展途上国の問題に精力的に取り組むという象意からすると、ラグナロードが9室に在住する蟹座ラグナであると考える以外にはあり得ないのである。 従って、双子座ラグナというのは彼の慈善活動には全く当てはまらず、 彼の慈善活動はどう考えても蟹座ラグナでしか説明がつかないことが分かるのである。 従って、種々検討した結果、ビルゲイツのラグナは双子座ではなく、蟹座ラグナであると考えた方が妥当である。
念のため、ビルゲイツの結婚と、子供の誕生時のトランジットから、ラグナの蟹座ラグナで問題ないかどうか確認すると、
また第一子が誕生した1996年4月26日は9か月前のルールを適用すると、蟹座ラグナであれば蠍座5室に木星と土星のダブルトランジットが成立し、さらに火星が5室に対して8室目のアスペクトをしており、またトランジットの月がビルゲイツのラグナをトランジットしているため、ラオ先生の出産時の条件に合致している。しかし、双子座ラグナだと、9ヶ月前のルールなどを適用してもまず、土星と木星のダブルトランジットが5室や5室の支配星、9室や9室の支配星に形成することが難しいのである。 第二子が誕生した1999年5月23日は蟹座ラグナでも双子座ラグナでもどちらでも取れそうだが、木星のトランジットが非常に微妙な所で、蟹座ラグナであると考える必要が出てくる。 従って、結婚や子供の誕生などから考えてもやはり、蟹座ラグナの方が妥当であると考えられる。 |