研究コラム

 

 

 


2005/3/1  ドメスティックバイオレンス(DV)、里谷多英の場合

里谷 多英(さとや たえ)1976年6月12日北海道生まれ 時間不明

フジテレビジョン人事局に所属しているフリースタイルモーグルのスキー選手。

東海大学第四高等学校体育コース、北海道東海大学卒業。

 

YAHOOニュースを見ていたら、フリースタイルスキー女子モーグルの有力選手・里谷多英に一部週刊誌が「DV離婚騒動」を伝えているという下記の(資料)のような記事が載っていた。

ドメスティックバイオレンスとは家庭内暴力であり、心理的に未熟な人間が引き起こすものである。幼児期の両親との関係などから、心に外傷が生じ、心理的な耐性が乏しく、相手が期待するような態度を取らないと暴力を振るったりする。十分に甘えさせてもらえず、両親に受け入れてもらえるかどうか不安な幼年期を過ごした人が、自分の思い通りにしたい肥大した自己を心の中に隠し持っており、それが相手が自分の思い通りにならないと表面化してキレて暴力を振るいだすという行為に発展するのである。

インド占星術的に考えれば月が傷ついていることが考えられるが、チャートを12:00で作成すると、月が蠍座で減衰し、火星が蟹座で減衰するので、月と火星で星座交換している。つまり、月と火星がコンジャンクトしているくらいの密な絡みを生じており、また月のディスポジターである火星は土星とコンジャンクトしており、かなり月は傷ついていると言える。

月が蠍座で減衰して、火星と絡むとアルコール中毒や暴力を表わすようである。また海王星も月にコンジャンクトしており、海王星も中毒症状や不安定を表わすため、アルコール中毒などの症状を表わしていると思われる。

然し、彼女の場合、減衰する惑星同士が星座交換しているため、ニーチャバンガラージャヨーガを形成しているのである。

この場合、ラージャヨーガ的な側面はどのような特徴として現れるのだろうか。

ネット上を検索していたら、面白い記事が見つかった。それは『里谷多英選手の金メダルで学ぶ心理学-親子関係の依存と自律-』というタイトルの記事である。その記事の中に彼女の父親に対する心理的依存に関するエピソードが掲載されており、一部を抜粋すると次のような事実関係があったようである。

 

・フリースタイル女子モーグルで金メダルを摂った時のインタービューで「お父さんにほめてもらえるのがうれしくて、スキーをしてきました。」 と感想を述べる。

・長野の世界選手権で良い成績を取れなかった時のインタービューで「良い成績を出すことよりも良い滑りをすることの方が、お父さんはうれしいよ」と父親がいってくれたことを告白。

・父親の死後、精神的支えを失い、五輪出場ばかりでなく、スキーも止めようとした。

・長野五輪で優勝を決めた時のインタービューで「父と一緒に滑りました」「でも、私のために滑りました」と語る。

 

その記事ではこの里谷多英の父親依存を精神分析的に解釈しており、自立への物語として肯定的に捉えていたが話はそう簡単には終わらないようである。

現在、彼女は結婚した夫に対してDVを振るっており(おそらく)、週刊誌で報じられる程、事態は深刻なようである。

インド占星術的には月と火星は5−9の関係にあり、月から見て、火星は9室に在住して、星座交換を生じている。従って自分と9室の関係が非常に強くなる配置である。これは通常、9室が良いだけであれば父親に恵まれて何ら問題はないはずだが、この場合、月と火星は減衰しており、やはり減衰の凶意を発揮しているのである。

彼女は父のコーチングのおかげでオリンピックに行けたのであり、父には様々な恩恵を受ける一方で、父親に心理的に依存する傾向が見られるが、いつ父親に見放されるかという恐れがそこに感じられるのである。父親の期待に応えなければならないという父親の顔色を伺う関係性だったのかもしれない。従って、彼女は父親との関係で恩恵を受ける反面、それによって苦しんでもいたのである。精神的に拘束されていたのである。

彼女はスキーを指導してくれる父親の存在やスキーで海外遠征し、オリンピックで金メダルを摂るなどの海外遠征などの留学運、海外旅行運があり、学習の機会、教師、栄誉、幸運、などに恵まれており、明らかに9室の象意でのラージャヨーガが認められるのである。

然し、同時にその父親に対する脆さや、依存性、恐れ、不安、夫と結婚した後は、父親に満たせてもらえなかった甘えたい気持ちが夫との関係の中で表面化し、ドメスティックバイオレンスに発展するというように9室の象意での脆さも見られるのである。

筆者の知人にも月と火星が星座交換している人物がおり、その知人は一度、アルコール中毒で病院に運ばれたというエピソードを持っているのだが、やはり海外運に恵まれており、海外留学や外国で働くなどの幸運、恩恵を受けているようである。

ニーチャバンガラージャヨーガは減衰の象意が消えるのではなく、減衰の象意は経験するが、それが逆にラージャヨーガ的に働くということである。

実際、彼女を突き動かしていたのは、この父親への不安定な関係性であり、父親によく思われたいというある意味病的であり、決して幸福といえない心理状態が逆に競技への集中や強い動機づけになったのかもしれず、減衰の象意がまさに逆転してラージャヨーガ的に働いたと言えそうなのである。

 

(資料)

『里谷多英選手の金メダルで学ぶ心理学-親子関係の依存と自律-』 ( http://www.n-seiryo.ac.jp/~usui/news2/olympics/satoya.html )

里谷 DVを完全否定  フリースタイルスキー女子モーグルの両エース、五輪2大会連続メダル獲得の里谷多英(28)=フジテレビ=と、26日のW杯ボス大会(ノルウェー)で2季ぶりのVを飾った上村愛子(25)=北野建設=が28日、成田空港着の航空機で、W杯が行われたノルウェーから相次いで帰国した。一部週刊誌で、自らの家庭内暴力(DV)での離婚問題が取りざたされている里谷は、トリノ五輪の代表内定がかかる3月のフィンランド世界選手権の直前に、スウェーデン合宿を敢行することを明らかにした。  一部報道で私生活について報じられたことに対し、長旅の疲れも見せず里谷が自ら口を開いた。  先日発売された一部週刊誌が「DV離婚騒動」と伝えたもので、同誌によると、里谷が、2003年11月に結婚した東海大四高時代の同級生である夫A氏に対して暴力を振るい、それが原因で離婚危機にあるとしている。  里谷は記事には目を通しており、「お酒を飲ませてもらえなくて暴れているみたいだけど、アル中じゃないですから」と苦笑いしながら、DVは否定した。里谷の酒豪ぶりは有名だが、酔ってもさすがに手は出さないだろう。ただし、離婚問題については「ノーコメントです」と話した。  2季ぶりにW杯に復帰した里谷の頭の中は今、トリノのことだけ。世界選手権で3位以内に入れば、4大会連続の五輪代表に内定する。2月6日のW杯猪苗代大会では、3季ぶりの表彰台となる2位に食い込み、2大会連続五輪メダリストの実力を発揮している。  世界選手権の前には、スウェーデンで1週間の時差調整合宿を敢行することも決めた。「W杯は思っていたよりも結果が出た。エアとかの課題も見えてきたし…」。元女王は1年後にきっちりと照準を合わせている。 (デイリースポーツ) - 3月1日11時39分更新

里谷多英が3季ぶりの表彰台     表彰台で観客の声援に応える2位の里谷多英  フリースタイルスキーのW杯猪苗代大会最終日は6日、男女デュアルモーグルが行われ、女子で五輪2大会連続メダル獲得の里谷多英(28=フジテレビ)が安定した滑りで2位に入った。里谷のW杯での表彰台は02年3月に2位になって以来、3季ぶり。上村愛子(25=北野建設)は25位に終わった。男子は今大会がW杯初出場の20歳、野々垣宏記(白馬ク)がスピードのあるターンを武器に3位に食い込んだ。  得意のターンで軽快なリズムを刻み、第2エアは後方宙返りの「バックフリップ」も着実に決めた。予選を7位で通過すると決勝の1回戦、準々決勝は日本勢に貫録勝ち。準決勝も相手の自滅で難なく退け、決勝に進んだ。結果的に優勝は逃したものの、里谷復活を印象付けるには十分の内容だった。  「日本のファンの前で、久々に表彰台に上れてすごく幸せ」。03年11月に結婚し、昨季は1年間試合から遠ざかった。ようやく練習を始めたのは6月になってから。なかなか思うような動きができず、今年1月上旬にW杯に復帰したが結果は出せなかった。それだけにこの日の表彰台は予想外だったようで、いつもクールな里谷も「焦りはなかったけど、やっぱりうれしい」と素直に喜びを表現した。  98年長野で金メダル、02年ソルトレークシティーでも銅メダル。大舞台に強いエースは、来年2月のトリノ五輪に照準を合わせている。「休養が正解かどうかは分からないし、精神的にも変わっていない」と話しながらも「トリノに向け、もっと難度の高いエアをやりたい」とやる気満々だった。  ≪野々垣快挙3位≫無名の20歳、野々垣がW杯デビュー戦の翌日に早くも3位の快挙を達成。「きょうも緊張でほとんど何も考えられない状態だった。全然(好成績の)実感がない」と、初々しく話した。ターンでの安定性が持ち味。京都市出身で長野・飯山南高を経て、昨季からナショナルチーム入りした。国内でもタイトルとは無縁だが「やるからにはトリノ五輪を目指す」と夢を膨らませていた。  ≪上村惨敗25位≫期待の上村は予選で失敗し、25位と惨敗した。前日のモーグルでも10位に終わっており、「きのう、きょうと本当にムカつく」と、腹立たしげに口を開いた。第1エアの前にバランスを崩し、腕と脚を横に広げることしかできなかった。さらに着地も乱れ「転んだ瞬間、何してるんだろうと思った」と苦り切った表情だった。