研究コラム

 

 


2004/11/10  アカデミー主演女優賞、シャーリーズ・セロン

 

シャーリーズ・セロンといえば「世界で最も美しい50人」に選ばれたこともある程の美貌の持ち主であり、日本でもシャンプーのCMなどに出演しているようであるが、最近、『モンスター』という映画において役作りで身体的変貌を遂げ、実在の人物になりきった迫真の共感的演技でアカデミー主演女優賞の栄誉を手にしたのである。

筆者もこの映画を見たが彼女の演技にひきこまれ感情移入し映画のラストまで画面に釘付けになったようだったのを覚えている。

『モンスター』はアメリカ初の女性連続殺人犯アイリーン・ウォーノスの人生と犯行に至る過程、人間像に迫る作品である。映画では軽く触れるだけであるが幼少時の不幸な家庭環境が犯行に至らせた間接的な原因であり、犯行には必然的な理由があったのだと映画は主張していた。彼女はこの映画の演技で大変な評価を受け、アカデミー主演女優賞も受賞したのであるが、彼女はアイリーン・ウォーノスを演じるにあたり、彼女の人生と運命に対する共感と尊敬をもってそれに望んだという。

このような不幸な人物の役を演じる時には俳優は非常にナイーブになり、観衆の評価も賛否が分かれたりする。不幸な人物の話し方や身振りなどを模倣して演じることが不謹慎に思われるためだ。例えば身体障害者の演技をする時などである。俳優がこうした演技で評価される時、彼女(シャーリーズ・セロン)は一体、誰のために演技をしたのだろうという厳しい批判の眼は確かにあるようである。 結局、自分の名誉のために演技をしたのではないか、もしそうだとすると自分が評価されるために人の人生を食いものにしただけではないかというのである。そのような批評がウェブ上に確かに存在する。

然し、俳優がその役の人物を研究し、似たような体験から感情を引き出し、演技を通じて、その人生のドラマを再現することは職人的技能であり、評価されてしかるべきものである。私たちはそれを通じてドラマを見ることができるのであり、そうでなければドキュメントや小説などを読むしかない。

シャーリーズ・セロンの経歴を辿ると、アルコール中毒で暴力的な父親に悩まされており、母親が酒に酔って自分と娘に危害を加えようとした父親を銃で撃ち殺すという幼少時のトラウマを抱えており、父親(=男性)に対する根強い不信感という点で、アイリーン・ウォーノスと共通点があったことは注目に値する。

チャートを見ると、母親のカラカである月は定座にあるが父親を表す太陽にコンバストされて力を奪われている。また月、太陽から見て、7、8室支配で生来的機能的凶星の土星はヴァルゴッタマで凶意を増し、月にコンジャンクトして傷つけている。土星は敵対星位に在住し、水星も月から見て、3、12室支配の機能的凶星であり、困難や損失をもたらす傾向を示し、敵対星位に在住している。 度数を見てみると月は太陽、土星という凶星に挟まれて傷ついており、また同室する惑星同士は一時的に敵対関係となるため、月に対する惑星の凶意を強めている。

このように母親のカラカは定座で強いにも関わらず、凶星から傷つけられているのである。 これは母親が気丈でしっかりしており、不幸があってもそれに負けずにシャーリーズを保護し援助したことに通じている。 そして、これはシャーリーズ・セロンの心とリンクしており、彼女自身いろいろな不幸があっても希望を失わずに頑張る強さを示している。

 

 

「この世界で私の夢をかなえるためにいつも多くのことを犠牲にしてくれたお母さん、

言葉にできないくらい愛してるわ。本当にありがとう。」

(03年度アカデミー賞授賞式 シャーリーズ・セロン スピーチより)

 

 

月がこのように多くの惑星からコンジャンクトされていることは濃密な人間関係の中で様々な感情を体験し、感情の引き出しが多くあることを示している。彼女が『モンスター』の中で役を演じる中でも多くの切羽詰る感情的葛藤や信頼、希望、不安、恐れ、多くの微妙な感情を表現できたのはそのためである。しかも彼女は水の部屋である蟹座で月が定座であり、自分を表す太陽も同室し、土星、水星も在住して、水の性質が強調されているので、なおさらである。

因みに月は19°37'、太陽20°46'であるため、チャートの持ち主が午前中の生まれなら、欠けてゆく月であり、午後生まれであれば太陽を通り越して満ちてゆく月になる可能性もある。

彼女と母親は不幸な体験があっても前向きに生きてゆこうとしており、月が満ち始めているのか、欠けてゆく最後の段階にいるのかは微妙な問題であり、これがチャートの持ち主にどう影響するのかは興味深い。満ちてゆく月の場合、太陽と土星の凶星に挟まれている状況を脱するため、微妙とはいえ違いが生じてくる。

然し、彼女の美貌から考えると、金星は身体を表す1室や1室の支配星、顔を表す2室や2室の支配星に絡んでいなければならないと考えられるが金星はどの惑星ともアスペクトしていない。そのため、金星は1室か2室にアスペクトしていなければならないと考えられる。

すると、ラグナは山羊座、水瓶座、獅子座、蟹座に絞られる。

仮にラグナを山羊座と仮定すると4室に木星在住で幸福な家庭、幸福な母親になってしまい、また演技や踊りを表す3室に惑星の在住がなく、支配星の木星が4室に在住し、他の惑星のアスペクトを受けないので、山羊座ラグナは考えにくい。

また水瓶座ラグナでも6室惑星集中となってしまい、病気、敵、借金、訴訟の象意が彼女の女優としての成功に合わず、また3室に木星の在住は良いものの、3室支配星が演技のカラカとは程遠い火星となり、4室に在住して他の惑星のアスペクトを受けないため、水瓶座ラグナとも考えにくい。

さらに獅子座ラグナだと12室惑星集中となってしまい、隠遁生活や病院で入院生活をしている人のようになってしまい、また彼女の長所である感情的表現力の蟹座が12室に入れば表現しなくなってしまうと思われるため、最終的残った蟹座ラグナであると考えられる。

蟹座ラグナであれば彼女の写真を見た感じとして直感的に蟹座の外見的特長であるふくよかな丸顔であり、1室に惑星集中で自己実現に集中する配置をしており、それは感情的表現であることを示している。演技、踊りなど表現を通じて広告、宣伝、アピールし、情報を発信する3室支配の水星が1室に在住し、女優の仕事を通じて自己表現や自己実現を成し遂げる配置となっている。また水星は乙女座を支配することで職人的の技巧という象意を持っている。

仮にラグナをアーシュレーシャに設定して見るが彼女の妖艶な外見はアーシュレーシャである可能性は高いと思われる。

 

(表彰一覧)

アカデミー賞最優秀主演女優賞

ゴールデン・グローブ賞最優秀主演女優賞

ナショナル・ポート・オブ・レビュー最優秀ブレークスルー賞

ベルリン国際映画祭銀熊賞最優秀女優賞

全米映画批評家協会賞最優秀主演女優賞

インディペンデント・スピリット・アワード最優秀主演女優賞

ゴールデン・サテライト・アワード最優秀女優賞

シカゴ映画批評家協会賞最優秀主演女優賞

サンフランシスコ映画批評家協会賞最優秀主演女優賞

ラスベガス映画批評家協会賞最優秀主演女優賞

バンクーバー映画批評家協会賞最優秀主演女優賞

 

(資料@)

シャリーズ・セロンが家族の悲劇を乗り越え  

「サイダー・ハウス・ルール」や「スイート・ノベンバー」などで知られる美人女優シャーリーズ・セロン(27)=写真=は15歳の時、彼女の人生を変える家族の悲劇が起こった。夫に殺されると思った母親が彼を銃で撃ち、死なせてしまったのだ。しかし、彼女は忌まわしい出来事に人生を縛られずに前を向いて生きることに決めた。 アルコール依存症の父親との関係は非常に悪かった  シャーリーズは米女性誌のインタビューで自分の生立ちを語った。  彼女は南アフリカのベノニという小さな農場で育った。彼女の家族は道路建設会社を経営していた。シャーリーズは働いている人のために、よく歌って踊ったりした。ある時は、自分のお気に入りの映画「スプラッシュ」を再現するために噴水に飛び込んだこともあった。  しかし、農場で過ごした子供時代はいつも楽しいことばかりではなかった。彼女の父親チャールズさんはアルコール依存症で、がぶがぶ飲み始めると恐ろしいほど攻撃的になった。彼女と父親の関係は非常に悪かった。 15歳の時、泥酔した父親がピストルを発砲し、大声で脅し始めた時、母親が猟銃で撃ち殺した  忌まわしい悲劇は1991年6月21日、彼女が15歳の時に起こった。彼女が学校の寄宿舎から家に帰ってきた時、父親は彼の姉妹の家でウォッカを飲んで夕方を過ごしていた。  シャーリーズと母親のゲアダさんは農場に2人だけだった。就寝する前に家の戸に鍵をかけた。酔っ払った父親は夜、遅く帰ってきた。だが、鍵がかかっていたので、父親は怒り狂った。ピストルを発砲し、大声で脅し始めた。  「彼が私たちを殺そうとしていることは知っていました。彼を止めなければならないと思ったのです」(母親の警察の調書から)  母親は農場の猟銃で夫を撃ち殺したのだ。長い取調べの後、母親は1993年9月、正当防衛が認められた。 母親の強さで困難な時期を乗り切ることができた  あれから12年近く経つが、彼女はいまだにこの出来事について語ることにいい気持ちはしない。しかし、母親の強さで困難な時期も乗りきることができ、彼女は母親をほめたがっている。  「私は、他の人のために誇り高く振る舞い、頑張り通さなければならなかった女性に育てられ幸運だと思います。彼女はぶらぶらと時を過ごし、何て悪いことが起こったのだろうなどと嘆いていられるような贅沢できる時間はありませんでした」(シャーリーズ) 「ひとつの出来事で自分の人生が縛られてはいけない」と、前に進み人生を生きることに決めたシャーリーズ  そしてシャーリーズは前を向いて歩くことに決めた。  「私の母と私たちに起きた多くのことが不公平なことです。でも、ひとつの出来事で自分の人生が縛られてはいけない。だから、これらの怒りの感情を切り抜け、前に進むことにしたのです。自分がコントロールできるのは、どうやってこの地点から前に進み、人生を生きるかを決めることです」 19歳の時、膝を痛めて、バレリーナになる夢を捨て、ロサンゼルスの銀行でタレント・マネージャーに発見された  彼女は19歳の時、膝を痛めて、バレリーナになる夢を捨てた。1995年、女優になるため、ロサンゼルスに移った。彼女は銀行でタレント・マネージャーに発見された。  彼女は銀行でカリフォルニア州外の住所を持つチェック(小切手)を現金に換えようとしたが、銀行員がこれを拒否したため、彼女は怒りを爆発させた。タレント・マネージャーは彼女のガッツに感心した。 恋人で俳優のスチュアート・タウンゼンドと会って初めて結婚を考えたシャーリーズ  シャーリーズは2001年からアイルランド出身の俳優スチュアート・タウンゼンド(29)と交際している。  彼女は彼に会うまでは「絶対に結婚はしない」と思っていた。  「私が最初にスチュアートに会った時、『絶対に結婚はしない。私はゴールデン・ホーンとカート・ラッセルのような関係でいるわ。(結婚の)紙切れなんか必要じゃないわよ!』という感じだった。でも、彼は、私がみんなの前で『私はあなたと一生、一緒にいたい』と大きな声で言う儀式が何かとっても美しいことだとわからせてくれました」  2人のウェディングベルが鳴る日も近い? (09/25/02、ロサンゼルス=ZAKZAK特電)

 

(資料A-Hollywood News and Gossip Archivesより引用-)

最新ハリウッド・ニュース、シャーリーズ・セロン(28)と絆の深い母親 Monster(モンスター)の実在連続殺人犯役でアカデミー主演女優賞の栄冠に輝いたシャーリーズ・セロン、目に涙を浮かべた受賞スピーチで、観客席の母親に劇的な感謝の辞を述べた。 実はこの母娘、出身のヨハネスブルグ(南ア)でトラウマ体験を経た過去あり。13年前、休日で寄宿舎学校より帰郷した15歳のシーャリーズが、家族と出掛けたパーティを早く切り上げ、母親と共に帰宅した。ところが、家の閉門に怒り狂ったのは、後から戻ったアル中の父親。鍵穴も撃ちまくったショットガンで母娘を殺そうと迫ったらしく、母親は娘を救う為、家にあった銃で腕と胸を目掛けて夫を殺したという悲劇。 その後、16歳のシャーリーズ・セロンはミラノでモデル稼業入りし、家庭内暴力の自己防衛で南ア検察当局より告発を免れた母親は2年後、18歳の娘に夢を叶えるようハリウッドへの片道切符を贈呈。一年以内にアル・パチーノとキアヌ・リーブス共演のスリラー作、「ディアボロス/悪魔の扉」(原題:The Devil's Advocate)で大役を得た娘が10年後、夢のオスカー像に恵まれた訳であるから、母親の感激もそりゃあ一入に違いない。