研究コラム

 

 


 

2004/10/18 テコンドーの岡本依子選手

 

テレビ番組を何気なく見ていると、テコンドーの岡本依子選手の波瀾万丈伝が放送されていた。彼女の経歴を聞いているうちにチャートが頭に浮かび上がってきた。

彼女の場合は最も分かりやすいケースかもしれない。

岡本依子はテコンドーのシドニーオリンピックで銅メダル を獲得し、銅メダル獲得後のユニークな会見で一躍人気者 になったスターである。 アテネオリンピックではテコンドー協会の分裂により、オ リンピック出場が危ぶまれる事態となったが父母、そして 周囲のサポーターの署名活動により皆に助けられてアテネオリンピック出場を果たしたという幸運と高徳の持ち主である。

また早稲田大学人間科学部に入学し、3年生の時にアメリ カオレゴン大学に留学し、そこでテコンドーと出会い、大 きな目標を見つける。 日本では弁護士を目指し、司法試験の専門学校に通いなが ら、テコンドーの大会での良い成績を目指すが途中からテコンドー一本に集中する。

上記の中で父親が非常に理解があり、娘のテコンドーでの オリンピック出場が危うい時にいてもたってもいられなく なり、署名活動を展開してサポートするというように父親の保護に恵まれており、そしてまた留学先のオレゴンで人生の目標となるテコンドーに出会う。つまり海外生活や遠隔地への留学などによって人生にインスピレーションや目的を与えられるというように9室の象意の良さが感じられる 。

実際、チャートを作成してみると、魚座に月が在住し、月から9室目に木星在住、木星は月に5室目のアスペクトをしていた。また月から3室目に土星が在住し、努力を苦にせず、敵を打ち負かすというスポーツ選手に良い配置が見られる。また月から6室目で太陽がムーラトリコーナ、太陽から6室目に火星が高揚し、ラーフとコンジャンクトといる。6室はスポーツという象意を持ち、6室の凶星在住は敵を打ち負かすという象意がある。凶星が強い状態で在住しているのでスポーツ、特に格闘技などには必要な資質が十分にあることが分かる。

彼女は大学卒業後、弁護士を目指していたというが弁護士の仕事とは訴訟であり、相手との勝負事であり、弁護士にもしなっていたとしても訴訟問題を扱う才能があったと思われる。

 

木星と土星が相互アスペクトしており、ダブルトランジッ トが月から見て3室、5室、そして9室に形成されており 、このハウスでの成長、発展が見込まれる。 3室はパフォーマンスの部屋であり、努力、勇気、スポーツなども表す。3室ウパチャヤへの土星在住で敵を打ち負かすという象意が出てくる。またそこに木星がアスペクトして3室を強くしている。 5室は3室から3室目であり、スポーツを表すが学習の機会や知性、識別力、娯楽なども表し、9室から9室目であり、海外なども現す。 ダブルトランジットが形成されるハウスの象意は非常に幸運であることが彼女の経歴からも分かる。 従ってダブルトランジットは有効に機能しているようである。

ナヴァムシャも見てみると、月が定座で強いがラーフとコンジャクトしている。ラーフと月がコンジャンクトすると、暴力を開放したいという欲求が出るのかもしれない。(※筆者は月とラーフがコンジャンクトしている例をテコンドーの選手で3例ほど見ている)

また木星は獅子座の友好星座で太陽が一時的にも友好で強い友好関係にあり、月から6室目にアスペクトし、ラージャヨーガカラカの火星は6室射手座にアスペクトしている。

ある人の人生経験を聞くと、その人のチャートが逆算で思い描くことができるというのはインド占星術ならではである。

 

※ダブルトランジット・・・木星のアスペクトと土星のアスペクトが重なること(在住でも可)