2004/06/20  凶星化した水星、傷ついた水星

水星が凶星化していると、狡猾で、打算的で、策略家で、陰謀的で、悪意をもつ場合がある。最も最悪なのが、蠍座ラグナの水星であり、8、11室(ウパチャヤ、ドシュタナ)支配であり、陰謀、悪意(8室)、11室(名誉欲、収入欲)などの意味を生じる。その次は、牡羊座ラグナの水星で、3、6室(ウパチャヤ、ドシュタナ)の支配星である。魚座の水星は、4、7室(ケンドラ、ケンドラ)支配の機能的凶星であり、魚座で水星は減衰する為、魚座の水星も良くない。また射手座の水星も7、10室(ケンドラ、ケンドラ)支配の機能的凶星である。

水星は古代ローマの分割統治(植民地をランク付けし、えこひいきをして、植民地同士が横の同盟を結ばないようにする)や、その日本版である幕藩体制(親藩、譜代、外様)、参勤交代、5人組み制度、慶安のお触書などの統治の手法などに見られるような策略的な知性を表す。水星は情報収集、ゴシップの惑星である為、凶星化していればマスコミに嘘の情報を流したり、他人のプライバシーを盗聴したり、管理する傾向も示し、最近の日本でも問題になっている。猜疑心が強く、人を信用しないのも特徴である。冷戦構造における核抑止力などの戦力均衡による平和外交とか、三国志に登場する諸葛孔明が考え出した魏、呉、蜀の「天下三分の計」、モンテスキューの考えた「三権分立」などは力の均衡という現実的な手法によって、平和や正義を維持しようという性悪説にたった基本的に人を信用しない手法である。フランスのマキャベリの「君主論」、ヨーロッパにおけるメッテルニヒ、タレーランの外交政策など、必ずしも凶意を持っているといえない場合もあるが、水星の特徴をよく表している。水星は現実主義で、木星のように理想主義ではない。ひたすら現実に適応していくのであり、実践的で、即効効果がある。木星はモラルを持つが水星は持たない。そして、水星は凶星でもなく、吉星でもなく、中性であり、同室する惑星の影響を受けるのである。水星にとっては善も悪もなく、理想もないが、現実を検討する高度な知性が備わっている。(例−レーニンリンダ・トリップ