再びドナルド・トランプの大統領就任を予測する

米大統領選で、共和党のテッド・クルーズが5月3日に撤退を表明したことを受け、
ドナルド・トランプが共和党で指名されることが確実となったとニュースが報じている。

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トランプ氏、共和党候補指名確実に クルーズ氏撤退
2016/5/4 10:20 日本経済新聞

【ワシントン=川合智之】米大統領選の共和党候補指名争いは3日、不動産王ドナルド・トランプ氏(69)の指名獲得が確実になった。対抗馬の保守強硬派、テッド・クルーズ上院議員(45)が3日、中西部インディアナ州予備選で敗れ、選挙戦からの撤退を表明した。

共和党全国委員会のプリーバス委員長は予備選の結果を受け、トランプ氏が暫定的な党候補だとしたうえで「我々は団結し、ヒラリー・クリントン前米国務長官を破ることに集中する必要がある」とツイッターで表明した。

米CNNによると、トランプ氏はインディアナ州の代議員の大半を獲得し、これまでに獲得した代議員数は1053人になった。7月の共和党大会までに過半数の1237人の獲得が射程に入った。

3位のオハイオ州のジョン・ケーシック知事(63)は選挙戦撤退を表明していないが、獲得代議員数は156人と大差がついている。トランプ氏の党大会での指名獲得は確実な情勢だ。

クルーズ氏とケーシック氏はインディアナ州での選挙協力で合意し、クルーズ氏に票を一本化する方針だったが、トランプ氏は50%以上の得票率を得て圧勝した。
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それまでテッド・クルーズに対して、「うそつき クルーズ」と罵っていたドナルド・トランプは、一転して「彼(クルーズ)は競争相手として不足なかった。彼には素晴らしい未来が待っている」と述べて、早くも大統領を意識した発言に方針転換しているとニュースが伝えている。

これは非常に興味深いことである。

私が当初、考えていたようにドナルド・トランプは、今年(2016年)の11月14日から2室に在住するマハダシャー木星期になると、アメリカの理想を語り、これまでのような否定的な発言は極力避けるようになり、全く別人のように人格が変容すると考えられる。

DonaldTrump_Chart
因みに私は以前、マルコ・ルビオが当選するのではないかという意見を受けて、その説を採用したが、ドナルド・トランプの指名が確実になったことをうけて、その説も吹き飛んだ形になる。これは大変、不名誉なことである。

従って、この失態を挽回するために初めからもう一度、検討し直してみたい。

まず、このまま行くと、米大統領選は、ヒラリー・クリントンと、ドナルド・トランプの対決になるが、どちらが勝利するかという予想の前にまず、ヒラリー・クリントンは本当に双子座ラグナなのかについて、過去の出来事の年表を作成して検討し直した

その結果、やはり、ヒラリー・クリントンは、双子座ラグナで良さそうである。

そうすると、現在、月/木星期であるが、やはり、月/木星期はそれ程、強い配置とは言えないのである。

従って、現在、サンダースに追い上げられて、やっとのことで過半数を押さえようとしているヒラリークリントンの情勢を見てもそれは明らかである。

ヒラリー・クリントンは、本来、泡沫候補である最も左寄りのサンダースに追い上げられて、苦戦を強いられてきた。

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サンダース陣営敗北認める クリントン氏「非常に興奮」
デモイン〈米アイオワ州〉=佐藤武嗣 2016年2月3日10時12分 朝日新聞DIGITAL

米大統領選の民主党候補者を選ぶアイオワ州党員集会で2日、クリントン前国務長官(68)の勝利が確定した。大接戦となった左派のサンダース上院議員(74)を支持者獲得率でわずか0・2ポイント上回り、再集計の是非が注目されたが、サンダース陣営が同日、敗北を認め、再集計を求めないことを決めた。

民主党は、州内計約1700の地区での党員集会の集計をすべて終了。クリントン氏の支持者獲得率は49・8%、サンダース氏は49・6%だった。アイオワ州民主党は「史上最も僅差(きんさ)だ」としながら、クリントン勝利は覆らないとの見解を発表していた。

この結果、7月の同党全国大会に向けた代議員の獲得数はクリントン氏が23人、サンダース氏が21人となる見通しだ。
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決して、楽に勝利はしていない。

これは、ヒラリークリントンが現在のダシャーにおいて、それ程、強くないことを物語っている。

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2017年3月2日から月/土星期に移行するが、出生図では月から見て土星は11、12室支配で5室に在住し、ナヴァムシャでは、月から見て、6、7室支配の土星が8室に在住し、ダシャムシャでは月から見て、1、2室支配の土星が12室に在住している。

これが大統領に当選した人の惑星配置であるとは思えないのである。

またこの時、木星は乙女座に入室し、土星は蠍座をトランジットしているため、8室と12室にダブルトランジットが生じている。

8室は中断、行き詰まりのハウスであり、12室は損失、引退のハウスである。

従って、ヒラリークリントンは勝てないと思われる。

ヒラリークリントンが双子座ラグナで正しければ、マハダシャー月期に国務長官を辞めているのである。

月期になって政治家を辞めて隠遁した人間が何故、再び、大統領になれるかは疑問である。

ヒラリークリントンは、月/ラーフ期に続く、月/木星期であり、10室支配の木星期であるからこそ、大統領選に担ぎ出されたのである。

本人は月/ラーフ期にはどうしても出馬したくてたまらなくなったものと考えられる。

(ラーフは牡牛座で高揚し、ディスポジターの金星が強いため、自身の内側に力を感じたと考えられる)

一方で、ドナルド・トランプのチャートだが、現在、ラーフ/火星期である。

マハダシャーのラーフは10室で高揚し、ラグナロードの太陽と接合しているので、ヨーガカラカとなっている。

アンタルダシャーの火星も4、9室支配のヨーガカラカであり、ラグナに在住して、ラージャヨーガを形成している。

また月から見てもラグナロードで10室に在住して、1-10のラージャヨーガを形成している。

そして、2016年11月14日からマハダシャー木星期になるが、木星期になって、注目すべきなのは、木星は5室支配で2室に在住して10室にアスペクトしている。

そして、月から見て5室支配で11室に在住しており、11室が強いことが分かる。

木星から見ても5室支配の土星と2、9室支配の金星が11室に在住しており、5-11、9-11、2-11のダナヨーガを形成している。

11室は肩書き、称号のハウスであり、大統領という称号には相応しいハウスである。

また10室には水星が自室に在住しており、バドラヨーガを形成している。

また水星はアールドラーに在住し、ラーフのナクシャトラに在住しているが、ラーフは10室でラージャヨーガを形成している。

水星はラーフのナクシャトラに在住することで、太陽と絡んでいることになる。

11室支配の月は3室で減衰しているが、減衰する月のディスポジターがラグナに在住し、また月から見て10室に在住しているため、ニーチャバンガラージャヨーガである。

また減衰する月は高揚するケートゥと接合しているので、更にニーチャバンガラージャヨーガを形成している。

そして、月は木星から見て3室で減衰しているので、パラシャラの例外則によってラージャヨーガ的に機能している。

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またナヴァムシャでは、木星は10室の支配星で、ラグナロードの水星と相互アスペクトして、1-10のラージャヨーガを形成している。

そして、ダシャムシャ(D10)では、木星は4室で減衰しているが、木星は3、6室支配で減衰しているため、ニーチャバンガラージャヨーガである。

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そして、木星はディスポジターの土星と星座交換しているのでニーチャバンガラージャヨーガである。

そして、減衰する木星が高揚する星座の支配星(月)がラグナから見てケンドラに在住しているので、ニーチャバンガラージャヨーガである。

そして、木星をラグナとすると、5、10室支配の金星が3室で高揚し、ラグナロードの土星と接合して、1-5、1-10のラージャヨーガを形成している。

そして、木星をラグナとすると、8室支配の太陽が10室で減衰しており、パラシャラの例外則を表し、ラージャヨーガ的に働く配置である。

太陽は政治を表している。

従って、ニーチャバンガラージャヨーガや、パラシャラの例外則、そして、1-10室の絡みなどが、出生図、分割図、ナヴァムシャなどで何度も繰り返されている。

1-10室の絡みは、大統領就任を物語る絡みである。

マハダシャーロードをラグナとした場合に1-10の絡みが見られないヒラリークリントンとは対照的であり、力の差は歴然としている。

従って、私はドナルド・トランプが大統領に就任すると、改めて主張したい。

因みにドナルド・トランプは偏狭な人種差別主義者と言われているが、実際の所、ドナルド・トランプはマハダシャー木星期には蟹座で5室支配の土星と2、9室支配の金星が5-11、9-11、2-11のダナヨーガを形成している。

またラグナから見ると3、10室支配の金星が6、7室支配の土星と12室に在住している。

行為を表す10室支配の金星が蟹座に在住しているために民族主義者、愛国主義的な振る舞いをするのである。

またマハダシャーロードから見た場合に蟹座でダナヨーガが形成されている。

その結果として、人種差別的な態度になる傾向があるが、蟹座は自国民のことはよく守るのである。

従って、対外的には排斥主義で偏狭になり、外交的には孤立主義になっていく。

これは実際の所、良い兆候である。

何故なら、これまでアメリカが世界に軍隊を派遣して、戦争を作りだしてきたからである。

アメリカが世界に手を出さなければ、それだけで、世界の脅威が減少することは目に見えている。

アメリカの覇権の衰退が世界の変化の始まりである。

アメリカの建国図で2018年10月14日から蟹座12室に在住するマハダシャーラーフ期に移行するということが、こうしたアメリカの変化を象徴するのである。

それはドナルド・トランプがもたらすと考えられる。

例えば、ドナルド・トランプの陣営が掲げる政策は米国民にとって良いものばかりである。

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財政、税制、貿易、医療

財政面では、社会保障のための積極財政政策を唱える。

税制面では、法人税と個人の最高税率を引き下げて経済活動を促すと共に、年収5万ドル(約570万円)以下の夫婦世帯および年収2万5000ドル(約280万円)以下の単身者に対しては所得税を免除して国民の間の格差も是正するとしている。

経済格差については過去に拡大を止めるために民主党のバーニー・サンダース上院議員と同じく富裕税を提唱したことがあり、政策スタンスはリベラルや民主党左派に近いともされる。

また超高所得者、富裕層に対しては、ストックに対する懲罰的課税・富裕税を課し、ウォール街への規制を強化し、租税回避対策、インバージョン規制を行うなどとする。

これらの政策は中流の保護と低所得者の保護、金融規制を含んでおり、共和党主流派の小さな政府・民営化・資産再配分の否定(自由主義・リバタリアニズム)と相容れないため、共和党や米財界から社会主義や隠れリベラルという批判を受けており、エスタブリッシュメント層からはポピュリズムや反市場・反企業と糾弾されている。
グローバリズム拡散による単一市場に対しては否定的であり、保護貿易主義的とされる。TPPにも反対である。

医療保険改革では、PPACA、通称オバマケアにたいして明確に廃止を主張していなかったため、 テッド・クルーズ議員のスポークスマンは、「トランプの主張は馬鹿げている。他の大勢の社会主義者たちと同じように単一支払者制度(国民皆保険)を支持している。」と批判していた。

現在は、トランプは自らのプランを明確には語っていないが、サンダースが訴える単一支払者制度ではないとたびたび表明しており、 オバマケアへの反対を明言している。

トランプ陣営のスポークスマンが、「ユニバーサルかつ、自由市場に基づいて選択の幅を提供する社会主義的ではない制度」を用意するとコメントする一方で、 トランプは全ての人を被保険者とする保険を作るとして、共和党を「死にかけている人を助けるアイディアを嫌っている」と非難している。

(wikipedia ドナルド・トランプより引用抜粋)
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米国で広がった経済的格差や貧困を解決するために一方では、サンダースのような社会主義者が人気となり、一方では、ドナルド・トランプのような右翼的な独裁者タイプの人間が支持を集め、ファシズム的に上から問題を解決してくれることに大衆は期待しているのである。

そんな中で、ヒラリー・クリントンの立ち位置というのは中途半端でもあるのである。

サンダースのような社会主義(水瓶座)でもなく、トランプのような右寄りの独裁(蟹座)でもない。

従って、そういう意味でもヒラリークリントンは支持を集められないと考えられる。

現に民主党の候補者選びで、サンダースが追い上げて、ヒラリーと接戦を演じており、ヒラリーが楽に勝てないのはその為である。

私はアメリカの伝統的な保守の考え方が、何故、アメリカの世界からの撤退をもたらすかについて、政治評論家の副島隆彦氏の『世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち』を参考にしている。

また最近、現代ビジネスの『賢者の知恵』の中に「佐藤優が斬る!もしトランプが大統領になったら、世界はこう変わる」という論説が引用されているが、これを読むとアメリカの保守思想はアメリカをどのように変化させていくかよく理解できる。

佐藤優はおそらく蟹座ラグナであり、ファシズムの専門家である。共産主義の対向勢力としてのファシズムの意義について非常に明快に理解している人物の一人である。

アメリカの建国図の蟹座12室に在住するラーフは民族主義、ナショナリズムをもたらし、アメリカは世界の警察とならずに国内問題だけに注力していくという孤立主義的な立場を表している。

そうした態度が、ドナルド・トランプの大統領をきっかけに訪れると考えると納得できるのである。

世界の平和にとっては、その方がいいのである。

『新世界秩序』は、このアメリカの方針転換によって急速に進んでいくものと考えられる。

アメリカの世界覇権の失墜が鍵となってくる。

(参考資料)

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ドナルド・トランプ氏、日本からのアメリカ軍撤退「用意ある」
The Huffington Post | 執筆者:HuffPost Newsroom
2016年05月05日 21時28分 JST

ドナルド・トランプ氏は5月4日、CNNのインタビューに答え、「日本や韓国など同盟国は、アメリカ軍の駐留費用の全額を負担すべきだ」と述べた。そうでなければ、「アメリカ軍を撤退させる準備が必要だ」と語った。

トランプ氏はこの日、「私自身は韓国と良い関係がある。韓国にビルも持っている。日本とも良い関係があるし、日本にも(ビルを)持っている」と前置きした上で、アメリカ軍の駐留費用については、各国が全額を負担すべきと話した。

トランプ氏は、「今やアメリカが世界の警察の役割を担っており、そのために各国の軍事予算を大きく上回る費用を、アメリカ側が支払っている」として、各国が「アメリカを助けるべきだ」と持論を展開。各国は費用の100%、全額を負担すべきで、「なぜ、我々(アメリカ側)が支払う必要があるのだ」と疑問を呈した。

さらに、「私には退く用意がある」と、トランプ氏は強調。「我々を適切に扱わないなら、どうなるのか。簡単なことだ。彼らは自分で自分を守らなければならくなる」と語った。

また、「多くの人が『トランプは日本を武装させたいのだ』といっているが、私は(日本に)武装を望んでいない。ただ、少なくとも、経費は払って欲しい」とコメント。「アメリカは借金国だ。自動車やらなんやらで、経済対大国となった日本に、補助金を出し続ける訳にはいかない」と主張した。
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賢者の知恵
2016年03月11日(金)現代ビジネス

佐藤優が斬る!
もしトランプが大統領になったら、世界はこう変わる

「スーパーチューズデー」を制したドナルド・トランプ。これを受け、共和党議員やメディア、政治資金団体、ネオコンは総反撃に出る構えだ。発言が暴力的とされるトランプになぜこんなに支持が集まるのか。アメリカの実情から佐藤優氏がその理由を解説する。

叩けば叩くほど支持率は上がる

邦丸:このトランプ降ろしも「時、既に遅し」ということも言われているようです。

佐藤:そう思います。

邦丸:どうやら共和党の大統領候補の最終的な指名はドナルド・トランプ氏が勝ち取るんではないかという気配が濃厚ということですね。

佐藤:要するに、トランプは「共和党をぶっ壊す」と言っているわけですよ。それによって改革を進めるのだと。

邦丸:小泉純一郎さんみたい。

佐藤:そういうこと。今まで政治に関心がなかった人の声なき声を吸い上げてくれるということで、たとえば、「イスラム教徒をテロが解決するまで入国させない」というのは暴言だというけれど、冷静に考えれば、誰を国内に入れるか入れないかというのは、国の主管なんですよ。ですからこれは、違法な発言ではないんですね。

邦丸:はい。

佐藤:あるいは、「違法移民を送り返す」という発言も、不法滞在者を送り返すのは違法ではないですよね。トランプはバカじゃない。違法な発言はしないんです。

だけど、法律に違反していないけれど、世の中でタブーになっていることはある。そこを盛り上げることによって、今まで支持していなかった人の支持をかき立てることができた。

率直に言うと、アメリカの南部のほうでは右手に3リットルくらいの大きなボトル入りのコーラを、左手に1キロくらいのポテトチップスを持ってムシャムシャ食べている、私の1.5倍くらい太ったおじさんが、みんなでUFOの話をしてる。

邦丸:ぷふふふ。

佐藤:あるいは、「最近、どの外国に行ったか」と聞かれて、「ニューヨークだぜ。ユナイテッド・ステイツだから、ニューヨークは別の国だ」と答えるアメリカ人がたくさんいるんですよ。そういう人たちが、「トランプ、なかなかいいじゃないか」と言っているんですね。

邦丸:ははあ~。

佐藤:トランプが「アメリカの若者を戦争に出すことにカネを使うな」と発言すれば「おおっ」と言い、「イスラム国なんかみな殺しにしてやれ」と言えば「おおっ」と盛り上がっているでしょう。

それを理屈で押さえようとするマスメディアや共和党のなかのネオコンは所詮はエリート。そんな彼らがトランプを叩けば叩くほど、「トランプはオレたちの代表だ」と言って、ますます求心力がつくことになりますよ。

アメリカの立ち位置が180度変わる

邦丸:現在は民主党、共和党それぞれの指名候補争いをしているわけですね。民主党は、バーニー・サンダースはお終いか、やはりヒラリー・クリントンかと言われています。共和党の指名候補では、トランプの勢いが強い。

7月にそれぞれが決着しますが、仮に共和党の指名候補がトランプになった場合、ヒラリー・クリントンはおそらく指名はされるだろうけれど、今はもうバーニー・サンダースよりもトランプへの攻撃が始まっているということは、そうとう危機感を感じているということですか。

佐藤:その通りだと思います。要するに、既得権益を全部ひっくり返されるという話ですから。それと同時に、国際政治も変えてしまいます。

要するに、トランプはアメリカ孤立主義者なんですよ。激しいことを言うんだけれども、「ルーズベルト大統領が真珠湾奇襲の後、第2次世界大戦に突入したのが間違いだった。ナチスが台頭していようが、日本が出てこようが、放っておけばよかった。アメリカはアメリカの繁栄だけを考えていればよかった。もっとアメリカを豊かにしよう。偉大なアメリカにしよう。アメリカ人の生活さえ良くなればいいんだ。あとは知ったことじゃない」という理屈です。

アメリカが石油を手に入れるのであれば、「アメリカのそばにあるベネズエラが生意気だ。少しシメて、あそこから石油をとってくるか」と、こういう感じですよ。

だから、意外と平和外交になる。

邦丸:平和外交!

佐藤:だから、中国もロシアも大歓迎。

邦丸:アメリカが出てこなくなるわけですものね。

佐藤:「金持ちケンカせず」ということです。トランプビルを中国に造るといったら、習近平も「いいヤツじゃないか」となる。

だから、世界秩序を全部、ひっくり返す。日本との関係も、まさに昔、鳩山由紀夫さんが言っていた「駐留なき安保」になる可能性もある。要するに、米軍が全部、退いちゃうんです。

「なんで、オレたちがあいつらのことを命を懸けて護らなきゃいけないの。自分の身を護りたいのなら、勝手に護ったら。アメリカにとって有害だということだったら出て行くけれど、アメリカ本土やグアムにいるよ」という感じになりますよ。

「TPPもやめる。日本のクルマにも家電にも思い切り関税をかけてやる。アメリカだけ良ければいいんだ。悔しければ、力をつけろ」と。こういう方針ですよ。だから、アメリカ人は拍手喝采なんですよ。

邦丸:民主党候補のバーニー・サンダースが予想外に支持を集めたのも、モヤモヤしている若い世代が、このままアメリカ国民でいて、われわれは幸せなのかと思っているところに、大学の無償化とか、スポッと胸に響く言葉を言ったからなんですね。

佐藤:モヤモヤなんていうレベルではないんですよ。私が去年の12月31日に対談した山口真由さんをご存じですか。

邦丸・西川:?

佐藤:東大をトップで卒業したあと、財務省に入省して2年で辞め、国際弁護士を目指してハーバード大学に留学中の方です。勉強法などの本もたくさん書いています。その彼女に「ハーバードはいかがですか?」とたずねたところ、「佐藤さん、ひどいところなので驚いたんですよ。授業料がいくらかご存じですか?」と言うんです。「いくら?」と聞くと、「7万ドルです」と。

西川:7万ドル!

佐藤:「1年で?」と聞くと、「10ヵ月で7万ドルです」と。つまり800万円。ロースクールまで最低6年かかるでしょ。ということは、授業料だけで4800万円かかるんですって。

邦丸:はあ~~~。

佐藤:その金額を払える家の子弟しか、もうハーバードには入れない。ひと昔前までは、軍隊に入ればハーバードに入ることができるという話があったんだけれど、もうそういう時代ではない。超富裕層の子どもしか入れない。アメリカのほとんどのエリート大学がそうで、エリート大学を出ると投資銀行で年収2000万~3000万からのスタートになる。

それ以外のフツーのアメリカ人は就職口がない。あるいは、大学を卒業してもアルバイトで日銭20~30ドルもらっている。

こういう状態になっているから、若い人たちは閉塞感なんていうもんじゃない。格差が絶対に追いつかないところまで拡がってしまっている。だから、大変な不満があるし、これは異常な社会になっていると、彼女は言っていました。

トランプはカネ持ちが嫌い?

邦丸:仮にドナルド・トランプ大統領が誕生し、「アメリカさえよければいい」という一国孤立主義の考えに従って、「アメリカ軍はどんどん退く。今までは世界の警察と言われてきたけれど、これからは違う。日本も中東もアメリカには関係ない」となったとしましょう。いわゆる武器商人がアメリカでは巨大な力を持っていると言いますが、彼らからすれば戦争はカネ儲けになる。だから煽るんですね。

佐藤:はい。なので、戦争になります。トランプは「それに関しては適宜、儲けてください」というスタンスですから。それはもう中東で空白ができるから、戦争が起きますよ。そして国内では、おそらくカネ持ちをいじめると思う。

邦丸:カネ持ちいじめ。

佐藤:トランプ自身が、土地と土建で這い上がってきたから、遺産を相続するとか、金融でカネを右から左へ動かすとかいうのは嫌いなんです。だから、そっちのほうには課税したりするでしょうね。産業資本を強化する建設業のような、額に汗する人を重視する。

邦丸:実業を重視する。

佐藤:産業が大事だということで。

邦丸:ウォール街をシメちゃうということですか。

佐藤:今回のネオコンやマスコミの総反発というのは、実はウォール・ストリートの反発だと思うんです。

トランプは、ウォール・ストリートの大ガネ持ちにとってプラスじゃない。ということは裏返して言うと、庶民感覚のところの人にしてみれば、「なかなかいいじゃないか」ということになる。

ウォール・ストリートをシメ上げて、アメリカを強くするためにはみんなにチャンスがなくてはいけないということで、大学の授業料を安くすると思う。

邦丸:奇しくも、バーニー・サンダースと同じことをすることになっちゃうわけですね。

佐藤:同じですね。バーニー・サンダースは社会主義的な方法、トランプはファシズム的な方法で社会政策をやろうとしている。だから図式的に見ると、新自由主義による格差が行き過ぎちゃったから、一方においては社会主義、他方においてはファシズムが出ているという感じです。

日本も他人事ではない。特に子どもの貧困がひどいでしょう。6人に1人が食を欠くことがある。一人親の家庭の子どもは2人に1人という状態になっている。この格差がもう少し拡大すると、日本においても一方でサンダース現象、他方においてトランプ現象が出てきますよ。

邦丸:今、アメリカほどではないにしろ、日本でも少しずつ出ていますよね。

佐藤:率直に言って、トランプの雰囲気は橋下徹さんのなかにあるでしょう。一方、日本共産党が「国民連合政府」と言い出して小沢一郎さんがそこに全面的に賛成しているということだから、こっちはサンダースみたいな感じですね。

両方ともそれほど影響力を持たないのは、まだまだ日本は格差がアメリカに比べれば知れているし、戦争に直面もしていないからですよね。ただ、どの国でもこういうふうになってくると思います。

佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」(2016年3月9日配信)より
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